投稿者アーカイブ:岡本全勝

連載「公共を創る」第9回

2019年7月6日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第9回「町を再建するーまちとは何か 町をつくり直す難しさ」が、発行されました。
前回まで、緊急対応時の被災者支援で、これまでにない対策を打ったことを説明しました。そして、行政の役割が広がっていることを考えました。今回からは次の段階、すなわち復旧・復興の段階での、行政の役割の変化について考えます。

津波によって流された町や、原発事故による避難指示で住民がいなくなった町が出ました。津波被災地は、再度津波が来る恐れや、地盤が沈下していることから、そのままの復旧はできません。がれきを片付ければ復旧作業に入ることができた、阪神・淡路大震災とは条件が違ったのです。
町を復旧するのではなく、ほかの場所に移ってはどうか。国が、計画をつくって復旧してはどうかなど、様々な意見が出ました。しかし、住民や自治体の希望に応える形で、高台移転、土地のかさ上げ、元の町の復興を選び、それを支援することにしました。町を作り直すことは、様々な困難がありました。

カタカナ英語の弊害「ブラック企業」

2019年7月5日   岡本全勝

7月4日の朝日新聞オピニオン欄「私の視点」、尾鍋智子・桃山学院大学国際教養学部准教授「造語と言語感覚 「ブラック」使い方再考を」に、ハッとさせられました。

・・・最近のマスコミの言語感覚に首をかしげることが多いのは、私だけだろうか。最も不快な表現は「ブラック企業」のブラックだ。
なぜ不快なのか。「黒は悪」という短絡的稚拙さへの恥ずかしさや、「劣悪」「闇」で代替可能という思い、「ブラック企業」が和製英語の最新語としてリストに加わりそうなことへの憂鬱もある。だが、カタカナのブラックと英語のBlackが持つ意味の違いは、さらに重要な問題をはらんでいる。
Black is beautiful.「ブラックは美しい」は、1960年代に米国の公民権運動で使われた代表的標語だった。ブラックという色が悪いという偏見を、黒人自らがまず打ち砕き、人種差別と闘おうとした力強い言葉である・・・
・・・ブラック企業とは労働環境の劣悪さを指すようだが、完全な和製英語である。公民権運動を経た欧米においては、「ブラックは悪」というニュアンスでの新たな造語は許されないからだ・・・

カタカナ英語が、とんでもない間違いを生む例です。私も無意識に使っていました。反省します。この言葉を安易に使っているマスコミにも、問題がありますね。何か良い日本語を、考えなければなりません。マスコミがどのように対応するかを、期待してみていましょう。

JR九州、鉄道の売り上げは34%

2019年7月5日   岡本全勝

7月2日の読売新聞経済欄「経営者に聞く」は、青柳俊彦・JR九州社長の「多角化 地元と共に走る」でした。

・・・〈業績は徐々に上向き、2016年10月には青柳社長の下で東京証券取引所1部への株式上場を果たした〉
民営化当時、赤字だったJR北海道、四国、九州の3社は「三島さんとう会社」と呼ばれました。この呼び方は奇異に感じました。「本州だって島じゃないか」と思ったものです。上場した時は「三島会社でも上場できるんだぞ」と感慨もひとしおでした。民営化した頃、三島会社が上場できるとは誰も思っていなかったはずですから。
〈19年3月期連結決算で売上高は過去最高を更新した。売上高のうち鉄道事業の割合は34%にとどまる。流通・外食が24%、建設が21%、駅ビル・不動産が16%を占める。今や首都圏などでもホテルやマンション、オフィスビル、飲食店、ドラッグストアなどを手掛ける〉・・・

・・・〈18年3月、九州全域で1日あたり117本を減便し、列車の運行本数を1日3011本にした。民営化後、最大規模の減便だった〉
当社管内の在来線はほとんどが赤字です。乗客はさらに減る傾向にあります。「公共交通機関なんだから、赤字でもちゃんと運行しなさいよ」と地元からご意見をいただきますが、赤字のままでは事業を長く継続することはできないのです・・・

松井孝治教授、国会改革のあり方

2019年7月4日   岡本全勝

6月29日の毎日新聞オピニオン欄「国会改革のあり方」に、松井孝治・慶應大学教授(元民主党参議院議員、官房副長官)が「首相縛らぬ討論型に」を書いておられました。

・・・首相や閣僚が国会対応に多くの時間を取られ、外交交渉や政策面でのリーダーシップを発揮しづらいのが現状だ。首相や閣僚の国会での拘束時間は各国に比べて突出して長く、大きなハンディキャップを負う。首相や閣僚を時間的に拘束して追い詰めていく、昭和から続く「質疑型」の国会から、短い時間でより濃密な議論をする「討論型」に変えていくべきだ・・・

・・・各国首脳・閣僚は議会の拘束が少ない分、日々濃密な政策ブリーフを受け、海外を飛び回ってカウンターパートと日常的に交渉している。官僚時代の経験では、国会開会中は日程の合間を縫って閣僚らにいかに短い時間で政策を説明し、決裁を取るかに役所全体が追われる。省内で議論し、政策を研ぎ澄ますという他国では当たり前のことにかける時間は余りに短い。
国会で政策的な論争を交わしているならいいが、多くの場合、政府側は単に防戦に徹する。政府側の見解を述べ、問い返せば「そんなことは聞いていない。質問に答えろ」と言われる。重箱の隅をつつくような質問や揚げ足取りの質問も少なくない・・・

原文をお読みください。

満足感が成功を生む、職員のやる気

2019年7月4日   岡本全勝

7月1日日経新聞オピニオン欄、西條 都夫・論説委員の「「心の資本」を増強せよ 会社の生産性、カギは幸福感

・・・組織の活力を高め、イノベーションをどう起こすか。世界中の企業の関心事だが、米グーグルが大がかりな社内調査を経てたどり着いたキーワードは「心理的安全性」だ。
これはもともと米ハーバード大の研究者が唱えた概念で「この職場(チーム)なら何を言っても安全」という感覚を構成員が共有することだ。何かいいアイデアがひらめいたら、すぐに発言し、実行に移す。仮に新しい試みが失敗に終わっても、嘲笑されたり罰せられたりせず、引き続きチームの一員として尊重される(と本人が確信する)。
こんな「心理的安全性」の高いチームは仮に個々人の能力が劣る場合でも、「安全性」の低いチームに比べて、高い成果を上げ続けることが判明したのだ・・・

・・・「資本」の原義は事業の元手となる資金のことだが、そこから「ナレッジキャピタル」「ソーシャルキャピタル」などの言葉が生まれた。知識や人と人の結びつきが、企業活動の基盤という発想だ。それに続いて登場したのがマインドキャピタル、つまり「心の資本」という考え方だ。
米カリフォルニア大のソニア・リュボミアスキー教授によると、「自分は幸福だ」と感じている人はそうでない人より仕事の生産性が31%高く創造性は3倍になることが分かった。幸福心理学の第一人者である同教授は「成功が幸福を招くのではない。幸福(だと感じること)が成功を生むのだ」とも指摘する。
社員の心の状態が仕事ぶりに直結し、企業業績にも少なからざる影響を及ぼすのは、言われてみれば当然だ。働き手の「心の資本」の総和は会社の盛衰を左右する・・・

・・・最後に「自己決定」の重要性を強調したい。神戸大の西村和雄特命教授らが日本人2万人を対象に昨年実施した調査で、「主観的幸福感」を左右する因子として年収や学歴より「自己決定」がはるかに大きな役割を果たしていることが明らかになった。進学や就職など人生の節目で自分の進む道を自分で決めた人は、周囲から言われて決めた人より幸福感が高かったのだ。
この結果は、働き手が自分の今の仕事や配属先を「他人(例えば人事部)から押しつけられた」と思うか、「自分で選んだ」と思うかで、幸福感や意欲に大きな差が生じることを示唆している。
真の働き方改革を実現するには、社員の心の領域にも光を当てる必要がある・・・

拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』に書いたことに通じます。