投稿者アーカイブ:岡本全勝

人は物語を求める、2

2019年11月18日   岡本全勝

人は物語を求める」の続きです。
人は、ある出来事を見て、物語やいきさつの中に置いて理解しようとします。それだけでなく、自分にとってどのような意味があるかを考えます。

病気も医学で説明がつき、事故も因果関係によって説明できます。しかし、その説明に納得しながらも、人はそれだけでは納得しできないのです。
「なぜ私だけが、このような病気になるのか(他の人は健康なのに」「なぜ、あの人が事故に遭うのか(他の人は無事だったのに」。そこには、医学や事故の因果関係による説明だけでなく、「何か意味ある説明」が欲しいのです。
因果関係による説明を「理解」できても、意味ある理由付けをしないと「納得」できないのです。

そしてその際には、偏向が働きます。「自分は優れている」「自分だけは特別だ」と思いたいのです。
子供が、ヒーローに憧れ、自分をそのヒーローと思い込んで、わくわくします。子供だけでなく、大人も人事評価の際に、自分のことを5割増しに、他人のことは3割引で評価するという傾向があります。そうです、人は自分を中心に物事を考えるのです。
他人が病気になると「かわいそうに。どこかで病気をもらったか」と同情しつつも、他人事です。しかし、自分が同じ病気にかかると、「なぜ私が病気になるのか」と落ち込み、その理由を探そうとします。そして病原菌が原因とわかっても、納得できません。
「何か悪いことをしたかな」さらには「前世で悪いことをしたか」とまで悩みます。

他人がずるをしていることに対して、腹が立つことも同様です。「私はこんなに正直に努力しているのに。あいつはずるをして、うまくやっている」。
すると、ずるをしている人に対して、厳しく当たることになります。その人に罰が当たると、喝采します。週刊誌が売れる、スマホで悪口が拡散するのも、この性質によるのでしょう。

このような、物語を作る、自分を中心に考える、何か「原因」(因果応報の説明)がないと納得しないことは、サルから進化する過程で脳が身につけたものなのでしょう。

職員が仕事に頑張っている、けど

2019年11月17日   岡本全勝

後輩職員と話をしていて、思うことがあります。
本人が「××の件で頑張っています。こんな成果を上げました」と報告してくれます。良くやっていることは、私もうれしいです。「よかったね。さらに頑張ってね」と応援します。

ところが、何か変だなと思うことがあります。確かに彼や彼女は良くやっていて、成果を出しているのですが。「その仕事って、能力あるあんたが頑張るような内容かね」と思うことがあるのです。
「そんな仕事は、適当に片付けるか、暇な人に任せて。あんたは、もっと重要な仕事をした方が良いよ」と助言したいです。でも、与えられた仕事を一生懸命やっている彼に、そのようなことを言うのは残酷です。そして、それは彼の責任ではないのです。

問題は、有能な職員にさほど重要でもない仕事をさせている、上司にあります。
職員は、与えられた仕事をきちんとやらないと、評価が低くなります。もし彼が勇気と説得力があるなら、上司に対して「この仕事は止めましょうよ」と意見するでしょう。しかし、多くの職員はそんな勇気はないでしょう。ある仕事を止めるとか手を抜くことの判断ができるのは、上司です。

私が若い頃、ある先輩が「この仕事はさほど重要でないので、私の代で止めましょう」と、上司に意見したことがありました。その話を聞いて、びっくりしました。
当時駆け出しの私は、与えられた仕事はきちんとするもの、前任者より丁寧にやることと考えていました。そして、私が担当している仕事は「重要なのだ」とも。
しかし、先輩の話を聞いてなるほどと思い、私もそのような立場になったら、同じようにしようと肝に銘じました。また、止められない仕事でも、どうしたら手を抜くことができるかを、常に考えていました。早く片付けて、帰りたいですよね。

上司になったときは、部下に「その仕事はもっと手を抜けないのか」と質問するようにしました。
あなたも、前年通りの仕事をする際に一度立ち止まって、それが重要か、もう止めても良いかを考えてみてください。その際に、上司に言わずに1人で手を抜いたら、減点の評価をもらいますよ。気をつけてください。

人は物語を求める

2019年11月17日   岡本全勝

千野帽子著『人はなぜ物語を求めるのか』(2017年、ちくまプリマー新書)を読みました。この新書は中学生向けのようですが、この本はなかなか難しい内容です。

人はある出来事を見て、その事実を理解するだけではなく、なぜそうなったか、あるいはそれはどういうことか、その背景や前後を「想像」して、物語の中に位置づけます。著者の説明は本を読んでいただくとして、読みながら考えたことを整理しておきます。

どうやら人間は、ある出来事について、「その意味」を明らかにしたいようです。そして、「その意味」とは、自然科学的な因果関係だけではありません。また、自然現象でない社会の現象でも、「過去にもこうだった」と物語の中に位置づけ、その先を予測します。

そして、そのような物語やいきさつだけでなく、自分にとってどのような意味があるかを考えます。というか、そのような意味づけをしないと、納得できないのです。
天気は自然現象ですから、季節、気温、大気の動きなどで決まります。気象衛星とアメダスが示すとおりです。
しかし、晴れ男と雨女がいるように、晴れたときは「ぼくは晴れ男だ」と自慢し、雨の時は「この中に誰か雨男がいるだろう」と責任を転嫁します。遠足の日に晴れると、「日頃の行いが良いからだ」と意味をつけます。
血液型による性格の当てはめも、そうでしょう。「あの人はA型だから、几帳面だ」と。科学的には根拠がないと分かっていても、そのように「理解」するのです。
この項続く。

生まれた赤ちゃんに椅子を送る、君の椅子

2019年11月16日   岡本全勝

「君の椅子」って、ご存じですか。
企画のホームページ」には、次のように紹介されています。
・・・子どもたちに「生まれてくれてありがとう」の思いを込めて居場所の象徴としての「椅子」を贈る取り組みです。
「君の椅子」はデザイナーが心をこめて描いたデザインをもとに、北海道が誇る家具製作技術でつくられたオリジナルの手づくり椅子です。
デザインは毎年変わり、座面の裏に名前や生年月日、プロジェクトロゴや一連番号が刻印された“世界に一つだけの椅子”です・・・

14日に札幌に講演に行った際に、展示場を見に行ってきました。発案された磯田代表のお話も、聞くことができました。
かわいい赤ちゃん用の椅子が並んでいます。毎年デザインが変わるので、それぞれ違います。著名なデザイナーと技術ある職人さんが作っただけあって、素敵な椅子が並んでいます。
2006年から始まったので、最初にもらった子供は、既に中学生になっています。

この企画は、市町村単位で参加します。福島県では葛尾村が参加しています。
また、2011年3月11日の大震災の際に、被災地で生まれた子供たちに、椅子を送ることもしてくださいました。市町村役場の協力を得て該当する子供さんを調べ、申し込みのあった97人に送ったそうです。「希望の君の椅子
個人も申し込むことができます。私も知っていたら、孫に1つお願いしたのですが。もう遅いですね。

無茶な行政指導

2019年11月16日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、11月は、化粧品のファンケル会長、池森賢二さんです。ご苦労なさった人生を書いておられますが、きょう紹介するのは、役所の対応です。どうやら、無添加化粧品の評判を気にした同業者が、行政を使って嫌がらせをしたようです。

11月14日「小瓶革命
・・・人気がうなぎ登りとはいえ、世間的な認知度はまだまだ低い。当然様々な妨害行為や理不尽な目に遭う。1985年、厚生省の薬務課の職員が「おたくの会社は製造年月日を入れているようだが、インチキだという連絡があった。確かめさせてもらう」と言ってきた。ライバルからの嫌がらせだろう。
千葉県流山市の工場に調べが入り、説明した。化粧品は製造した原料をタルクという容器に保管し、3日後に瓶詰めにする。ファンケルではタルクに保管した日を製造年月日としていたら担当者は「製造年月日は瓶詰めの日で構わない」と話す。インチキどころか、良心的だったわけだ。この話はこれで終わった。

当時の神奈川県の薬務課の対応にも手を焼いた。「無添加とは何か」と聞いてくるので、「防腐剤などが入っていない化粧品です」と答えると「既存の商品は規制をクリアしている。ファンケルは我々のやり方にケチを付けるのか」などと因縁を付けてくる。そして「無添加」という言葉を使うなともいう。
そこで「新鮮作りたて」はどうかと聞くと、「それならいいだろう」という。別の担当者に変わると「新鮮というのは意味が不明確だから無添加ならいい」というので再び無添加に戻した。初めての商品とはそういう目に遭うのかもしれないが、余りにひどい。すると今度はチラシにもご指導が入る。とにかく県庁までチラシをもってこいという・・・

11月15日「行政指導と反社
・・・神奈川県の薬務課からお呼び出しがかかった。担当者にチラシを見せると「この表現はおかしい」「あの表現もダメ」とダメ出しを食らう。何度足を運んでもOKが出ない。しまいには「1文字も書くな」などと怒られる。チラシを出すことさえ、許されない状況に追い込まれた。
しょぼくれてエレベーターに乗ると同じ薬務課の人が乗ってきてくれて「大変だね。チラシがうまくいくヒントを教えましょうか」と言ってくる。何かと聞くと・・・

どのようにして、このとんでもない行政指導を切り抜けるか。続き原文をお読みください。公務員の皆さん、他山の石としてください。