投稿者アーカイブ:岡本全勝

魚谷雅彦社長の「メンターは求めよ」

2020年9月6日   岡本全勝

8月31日の日経新聞夕刊「あすへの話題」魚谷雅彦・資生堂社長の「メンターは求めよ」。
魚谷社長は、日本コカ・コーラ社長などを務めた、プロ経営者です。その方でも、メンターを持っておられます。経営者として有名な、椎名武雄・元日本IBM会長です。
悩んだときなどに、話を聞いてもらう。そして、背中を押してもらうのです。拙著『明るい公務員講座』で、一人で悩むなとお教えしました。それは、駆け出しの若で社員だけでなく、管理職などより上位の立場になっても同じです。

魚谷社長は、後輩たちに助言を送っておられます。
・・・メンターを得るには能動的に動くべきだ。私に「メンターになって下さい」と言ってくる若者もいる。本気の人は本当に連絡が来て、地方からでも東京まで会いに来る。本気でメンターを求めるなら、講演会などに積極的に足を運び、挙手して質問しあいさつする。たたけよ、さらば開かれん。・・・

アルファベット単語

2020年9月6日   岡本全勝

このホームページ定番の、カタカナ語批判です。
ものごとの略称として、アルファベットの単語が、日本語の文章の中で多用されるようになりました。これって、困るのですよね。その時はわかったような気になるのですが、正確には内容を理解していないことが多いのです。そして、覚えにくいのです。漢字なら想像がつくのですが、アルファベットでは推測もできません。

次の単語は、皆さんも目にしたことがあると思います。何の略称かわかりますか。その意味を、子どもに説明できますか。
PCR
PCB
BCP
TPP

SDG
ESG
CSR

GPS
SNS

回答は次回に

歴史の危機、社会の価値観の転換期

2020年9月5日   岡本全勝

8月31日の読売新聞文化欄、佐伯啓思・京大名誉教授の「歴史の危機 安倍政権の限界」から。

・・・いまから100年ほど前、スペインの文明論者であるオルテガは、その時代を「歴史の危機」と呼んだ。従来の価値観がうまく機能せず、新しい価値観はまだ姿を見せない。そのはざまにあって、人々の信念は動揺し、世の中はせわしなく変動する。
オルテガは、100年、200年単位の長い歴史を展望しているが、10年、20年単位の、いわばその「ミニ版」もありうる。

第2次安倍政権以降の7年8か月はまさに、歴史が動揺する時期であった。冷戦終結以降、当然とされた、グローバリズム、IT革命による経済発展、民主主義の政治、アメリカの覇権は、急速に陰りをみせ、問題を生み出している。中国の覇権主義、トランプ米大統領の就任、欧州連合(EU)での右派台頭は、如実にそれを示している。グローバリズムは富の格差や国家間競争をもたらし、IT革命は情報をめぐる世界的な覇権競争を生み、民主主義は往々にして政治を不安定化させ、アメリカの覇権はリーマン・ショック以来、地に落ちた。かくて、従来の価値観は失効しつつあるが、新たな価値観はまだ見えない。世界史の動乱期である。
こんな状態でかじ取りをする政治的指導者はよほどの覚悟と信念がなければならない。民主主義国の指導者が、世界中で民意や国際情勢に翻弄され続けているのも当然であろう。

しかも日本の場合、それに加えて、東日本大震災からの復興、デフレ経済、中国や北朝鮮からの脅威、人口減少や高齢化などがのしかかっていた。気の遠くなるような話である。安倍首相が政権運営を負託されたのはこのような困難の真っただ中であった・・・

拙稿「公共を創る」も、日本社会について、平成時代、令和時代が日本の転換点であることを議論しています。ただし私の議論は、日本の内なる社会が変わったことです。

内海健著『金閣を焼かなければならぬ 林養賢と三島由紀夫』書評

2020年9月5日   岡本全勝

先日この欄で紹介した、内海健著『金閣を焼かなければならぬ 林養賢と三島由紀夫』(2020年、河出書房新社)。9月5日の朝日新聞の書評で取り上げられていました。評者は、石川健治・東京大学教授(憲法学)です。

・・・金閣を炎上させた若き僧侶・林養賢に対して、精神科医の「メタフィジカルな感性」を駆使して肉薄し、人間と社会、文学と制度、主観的精神と客観的精神の根本問題に迫ろうとした、全体化的モノグラフの傑作。
各分野の古典へ目配りを怠らず、常に地図を示しながらのナビゲーションは、読者に安心と納得を与える練達の臨床医の筆である・・・

・・・出来事としての「分裂病」へのアプローチは、「了解が挫折したところから始まる」。「社会というフレーム」にぶつかって初めて像を結ぶ「狂気」を主題化するためには、彼が抗った「得体の知れぬ他者」としての「言語」「社会」「制度」「権力」を問うと同時に、そこで彼が示した「実存の強度」そのものに向き合う必要がある。
著者は、「語り得ぬもの」としての金閣放火にとどまらず、養賢と三島のその後をも執拗に追跡する。問題意識の拡がりは、1968年のパリ5月革命に想いを馳せるあとがきにも明らかだ。何を引き出すかは、読者次第だということだろう・・・

連載「公共を創る」第54回

2020年9月4日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第54回「日本は大転換期―憧れを手に入れ現れた閉塞感」が、発行されました。
成熟社会日本の問題、前回は、手に入れた自由が重荷になることをお話ししました。今回は、自由になると「私は何者か」という悩みが出てくることを説明します。

伝統社会では、生まれた家で、あなたの人生が決まりました。学問、職業、結婚は、親を見ると想像できました。しかし、家や中間集団に縛られなくなると、どのような職業を選ぶか、どのような人生を送るかを考えなければなりません。自分は何者かを、考える時間ができ、考えなければならなくなりました。これも、しんどいことです。

さて、豊かで自由を手に入れた日本。昭和時代より、平成時代や令和時代の方がはるかによくなったのに、元気がありません。それは、憧れを手に入れたことによります。憧れを目指して努力する、そしてそれが徐々に実現することで、喜びが得られ、元気が出たのです。では、次の目標は何か。そこが難しいのです。