投稿者アーカイブ:岡本全勝

政治家の演説

2021年4月29日   岡本全勝

4月25日の朝日新聞、社説余滴は、箱田哲也さんの「日韓を覆う演説不作」でした。

・・・鳴り物入りの訪米を果たした日本のトップは、世界の耳目を集めた共同記者会見でも「メモ読み」を貫いた。機微に触れる質問の回答が漏れたのは、事前通告に慣れすぎたゆえか。
個人の訥弁をあげつらおうというのではない。改めて憂えるのは政治家の言葉の貧弱さである。海の向こうから聞こえるスピーチはまばゆいが、日本政治家の名演説というと、すっかりごぶさたな気がする・・・
・・・政治記者の故・岩見隆夫さんは著書「演説力」で、政治家がテレビ出演や握手の回数を増やす「集票第一主義」に陥ったと指摘。「練り上げた演説文を個性的に工夫されたスタイルでぶち、肉声で訴える」ことを軽視していると嘆いた・・・

・・・韓国には比較的、演説上手が多い印象がある。
古くから武官に比べて文官が優位で、まさに「言葉が命」でしのぎを削ってきた名残だろうと、現地の政治家に聞いたことがある。そんな韓国でも最近は、名演説がすっかり影をひそめているらしい。
日韓の対立をほぐす過程に、政治家の姿が見あたらなくなって久しい。熟慮した言葉で隣国に語りかけるどころか「やりやがったなてめえ」とばかり、息巻く向きが双方に目立つ。
昨今の日韓関係の冷えこみには「演説不作」も影響しているのかもしれない・・・

若年介護者(ヤングケアラー)

2021年4月29日   岡本全勝

4月21日の日経新聞「私見卓見」は、宮本恭子・島根大学法文学部教授の「若年介護者を生まないために」でした。

・・・家族の介護や世話の負担が手伝いの範囲を明らかに超え、時間を費やすことが常態化している18歳未満の子どもをヤングケアラーという。「見えないケアラー」とも呼ばれ、どう発見するかが最初の課題とされる。筆者が島根県の子どもの生活実態に関する調査を独自に分析した結果から、島根県内だけでもヤングケアラーは推計1000人いることが分かった。
これらの子どもには、勉強がわからないことが多いなど学校生活への影響や、よく眠れないことがある、孤独を感じることがあるといった心身への影響もみられた。親の就労状況をみると、土日勤務や夜間勤務の割合の高さが目立つ。また、金銭的な余裕がない世帯の割合も高かった。
「見えないケアラー」が生まれてしまう背景には何があるのか。まず、社会環境の変化に追いついていない介護者支援の問題がある。以前に比べて世帯を構成する人数は少なくなり、介護を担うことのできる大人が家庭内におらず、必然的に子どもが引き受ける結果になっている実態に対応しきれていない。「介護の社会化」が不十分ということである・・・

・・・最後に「見えないケアラー」の正確な把握という課題がある。子どもは自分が行っていることが労働であるとか、それが介護であるという事実に気づくことも簡単ではない。家の手伝いをしている程度だと考えてしまっている可能性も高いだろう。したがって、子どもの側からSOSの声が上がるのを待っていることはできない。大人の側がこれを把握していくための仕組みが必要である・・・

最低賃金の引き上げ

2021年4月28日   岡本全勝

4月22日の朝日新聞オピニオン欄、竹内幹・一橋大学准教授の「最低賃金引き上げの意義 人として生きる費用必要」から。
・・・最低賃金の引き上げは先進国のトレンドになっている。昨年、スイスのジュネーブ州では最低賃金を時給23スイスフラン(約2700円)に引き上げることが住民投票で決まった。最低賃金としては世界最高だろう。他方、日本は時給902円(全国加重平均値)にすぎない。
一般的に、最低賃金を国際比較する場合は絶対額でなく、フルタイム労働者の稼得の中央値を100として最低賃金がその何%に相当するかを比べる。OECDのデータでは日本は44%で、加盟国でデータがある31カ国のなかで27位だ・・・

記事では、「多くの経済学者は最低賃金法は、賃金が一定水準以下の雇用機会を奪うので、低賃金でしか働けない貧困層の職を奪うだけだ、と長らく信じてきた」と書かれています。そして、その考え方が変わりつつあることも、紹介されています。

しかし、最低賃金を経済学の理論で扱うこと自体が、間違っていると思います。
賃金は、人が暮らしていくために必須です。その際に、最低賃金は、商品やサービスのように、需要と供給で決まってはいけないのです。高度な技能や人がやりたくない仕事について、需要と供給の関係で賃金が上下することがあっても、最低賃金は人が暮らしていけるだけの金額にしなければなりません。これは経済学ではなく、社会保障です。
連載「公共を創る」では、非正規労働者を貧困から救う政策として、同一労働・同一賃金と、この最低賃金引き上げを、書いているところです。

在宅勤務やインターネット検索では出てこない企画案

2021年4月27日   岡本全勝

4月20日の日経新聞夕刊「Bizワザ」は、「企画案が浮かぶ思考整理法」でした。

・・・企画・アイデアを提案したいのに、考えがまとまらないときがあるだろう。リモートワークで出会いや雑談が減り、ヒントも得にくい。そんなとき一定の手順に沿って思考を整理し、新たな発想につなげる手法が知られている・・・
・・・連想ゲームのようにマス目を埋めながら考えを整理していく「マンダラート」は気軽に取り組める代表的なもの。まずは縦横3マスずつ、計9マスからなる表を用意する。中心のマスに何かキーワードを書き込み、そこから連想される言葉で周囲の8マスを埋めていく。さらにその8マスの言葉を別の9マスのそれぞれの中心に転記し、再びそこから連想を展開する・・・
図も載っています。

出社するのと在宅勤務とは何が違うか。新規事業・アイデア創出に詳しい東京大学教養学部特任教授の宮沢正憲さんの説明です。
――なぜリモートワーク中はアイデアが浮かびにくいと感じるのでしょうか。
「無意識のうちに通勤中や勤務の合間の雑談からアイデアの種を得ている人が多いからだと思う。家にこもると、そうした情報源が一気になくなってしまい、何もひらめかないと感じるのではないか。リモートワーク環境においては自ら意識的に情報を取りにいく姿勢が重要になる」

――リモートワークをしていると、雑談での情報収集がしにくくなります。
「リモートでの会議は決められた仕事をこなすという面では非常に効率がいい。ただ一見無駄にみえる雑談のような時間は削られてしまいがちだ。意図的に雑談の時間を設定するのも大事だと考える。例えば雑談だけ1時間する会合を定期的に設けたり、会議中に雑談のための時間をつくったりするのもいい」

――雑談以外でどのように情報収集するといいですか。
「情報収集というと、インターネットでの検索が思い浮かぶと思うが、あまりおすすめできない。ネットでみつかるものは既にある程度広まっている場合が多いからだ。リモートでも何でもいいので、他人と話すなど手軽でない、手間がかかる情報収集に挑んでみてほしい。そうすることによって、自分の頭の中になかった新たな発見や情報が集まってくることになる。自ら動くこと。徹底的に情報を取りにいくことがアイデアを生む早道になる」