投稿者アーカイブ:岡本全勝

社員の育て方改革、タテ組織のOJTに限界

2024年3月27日   岡本全勝

3月11日の日経新聞オピニオン欄に、原田亮介・論説主幹の「Z世代社員の「育て方改革」 タテ組織のOJTに限界」が載っていました。

・・・人手不足で人材獲得競争が激しさを増すなか、企業が若手の育成に苦労している。転職も含めて自分のキャリア形成を重視する「Z世代」の価値観が、伝統的なタテ割り組織とかみ合わないからだ。職場内訓練(OJT)で育てる従来のやり方には限界があり、企業も「育て方改革」に動き出している・・・

・・・いま30歳までの若者は、一般には1990年代後半から2012年までに生まれたZ世代と呼ばれる。その育て方に一石を投じたパナソニックのイベントには他の会社からの照会が相次いでいる。実際どの会社も悩みは多い。
「40代以上は一定の価値観で育っているが、Z世代の価値観は多様。人事部もどうマネジメントすればいいか悶絶している」。20年も転職支援に取り組んできた人材会社のあるトップは今までにない世代、とみる。

第1の特徴は有給休暇の取得やリモート勤務を重視する層が増えていること。残業などで自分の時間を侵食される職場を選びたがらない。働き方改革、コロナの影響が意識を変えている。
第2の特徴は就職時に最初から転職を視野に入れている層が増えていること。リクルートワークス研究所が19〜21年に就職した人を対象にした調査によると、今の会社に定年まで働きたい人は2割にとどまる。「すぐにでも退職したい」と「2、3年は働き続けたい」を合計すると半数近い44.5%に達する。
3つ目はキャリア(仕事の専門性)を会社ごと、職場ごとに伝承してきた企業の組織文化に対し、キャリアは自分に蓄積され、転職しても持ち運ぶという意識が高いことが特徴にあげられる。
4つ目の特徴は、タテよりもヨコのつながりを重視する考え方だ。SNSを使い慣れ、同級生や同期のコミュニティーで立ち位置をいつも確認してきた。上司よりも異なる職場や違う会社の同世代がどう働いているかに関心が強く、副業にも意欲的だ・・・

・・・もう一つ気がかりなことがある。企業は年功部分を反映して従来厚めだった中高年への配分を見直し、初任給の引き上げなど若手に手厚い配分に改め、賃金カーブをフラット化させつつある。取り残される中高年は賃上げの実感に乏しく不満がたまりやすい。
また若手の指導役の中間管理職は通常業務以外に、若手のキャリアプランの作成などを求められており、負荷が増している。その処遇を手厚くし、コーチング研修などを強化しないとうまくいかない・・・

北村亘ほか著『地方自治論』新版

2024年3月26日   岡本全勝

北村亘、青木栄一、平野淳一著『地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで 新版』(2024年、有斐閣)を紹介します。2017年に出版された本の、新版です。

この本は、初学者向けに思い切って内容を絞ってあります。確かに、地方自治の歴史や外国の制度などは、専門家には重要ですが、入門書には不要ですね。
他方で、学校教育、子育て行政、高齢者福祉にそれぞれ1章をあててあります。
はしがきによると、法学部や政治経済学部学生だけでなく、福祉や教育学部学生や、公務員や政治家にも読まれているようです。納得。

自民党の派閥、その機能

2024年3月26日   岡本全勝

3月9日の朝日新聞オピニオン欄「派閥という存在」、野中尚人・学習院大学教授の「政権まわす非公式の舞台」から。

・・・自民党でなぜ派閥が続いてきたのか。国会論戦をはじめ、ほぼあらゆる表舞台を避け、派閥を通じて政治を動かしてきたからです。自民党政治はインフォーマルな裏政治なのです。
その特徴は、意思決定のプロセスを隠そうとすることです。国会で質問されてもまともに答えない。政府内の議論も文書を残さず、文書があっても消してしまう。国会や閣議のような公式の場で議論をかわして記録を残すといった、説明責任の姿が見当たりません。

それでも政権をまわすために、もう一つの舞台が必要になります。それが派閥です。カネを配り、ポストを配分し、事前に調整して物事を決め、国会対策までやっている。まさに自民党政治の背骨であり、裏政治を支えています。本当に派閥がなくなれば、自民党は大混乱に陥るでしょう。
岸田文雄首相は、岸田派を解散すると表明しましたが、自分の言ったことが政治に何をもたらすか、意味がわかっていないのではないでしょうか。ただ、表面を取り繕っているだけのように見えます。
自民党リーダーの劣化も、派閥と無縁ではありません。有能さを厳しくチェックされることもなく、有力者に気に入られれば重要ポストを得てしまう。派閥の仕組みはわかっていて永田町ではうまく立ち回るけれど、まったく日本のためになっていない・・・

スイス、傭兵と中立

2024年3月25日   岡本全勝

本の山から発掘され、気が向いたので、森田安一 著『「ハイジ」が見たヨーロッパ 』(2019年、河出書房新社)を読みました。

「アルプスの少女ハイジ」は、原作は読んでいなくても、テレビ漫画を見た人も多いのではありませんか。正しい発音は、ハイジでなく、ハイディだそうです。
宣伝文には、次のように書かれています。
「おんじはスイス傭兵だった――。白パンと黒パン、干し草のベッド、チーズ料理、フランクフルトへの旅、クララの病――子供の頃に夢中になったアルプスの物語には、意外な真実が隠されていた。原作に潜む19世紀ヨーロッパの光と影を読み解く」
このように、この童話を通して、19世紀のスイス社会を解説しています。原作は1880年、まだ100年あまり前のことですが、社会が大きく変わったことがわかります。日本も同じですが。

第2章は「おじいさんの履歴――スイス傭兵制」で、スイスの傭兵の歴史が書かれています。中世から、スイスはヨーロッパ各国への傭兵の供給源でした。たぶん山岳で働く場所が少なかったことが特殊な出稼ぎに向かわせ、山岳育ちで屈強だったことが各国に重宝されたのでしょう。戦前の日本軍でも、田舎の出身の兵隊が強かったとのことです。

そこに、スイスの中立国の成り立ちが説明されています。簡単に言うと、傭兵を要求する各国からの要望に応えるのですが、新教と旧教双方から味方につくようにとの要請を受けて困ります。そこで提案したのが、「スイス国内でそれぞれが傭兵募集をすることは妨げない。しかし国(当時はまだ邦の連合)としては、どちらにも味方しない中立を取りたい」です。各国がこの条件をのんだことから、スイスが中立国になります。なるほど、そのような経緯があったのですね。

京都市の外国人観光客数、50万人から800万人へ

2024年3月25日   岡本全勝

3月18日の朝日新聞夕刊「現場へ!世界遺産の人々1」「京都登録30年、静かな節目」から。

「古都京都の文化財」が世界遺産に登録されて、今年で30周年を迎えます。その課題を追った記事ですが、ここでは、急速な外国からの観光客を取り上げます。
記事によると「統計方法の変更で単純比較はできないが、登録時に年間50万人ほどだった京都市の外国人観光客数は、今や800万人」とのこと。

外国人観光客が増えたなあと感じていましたが、こんなに増えていたとは。京都市民は140万人余り。路線バスはいつも混雑し、迷惑に感じている人も多いようです。
詳しくは記事をお読みください。
世界的観光地になったことはうれしいことですが、住民との共存を考えないといけませんね。