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働く高齢者

6月30日に、2005年の国勢調査抽出速報が出ました。昨日の続きです。もう一つのポイントは、働く高齢者が22%だということです。日本はヨーロッパ先進諸国に比べ、異常に高いのです。フランス1.2、ドイツ2.9、イタリア3.4で、アメリカが14.4です。一様に、「諸外国では、仕事以外の人生の楽しみを見いだしている」と解説しています。それもあるのでしょう。また、「健康なうちは働かないと、怠け者に見られる」という説もあります。このほかに、「仕事が生き甲斐だ」「自分の居場所を確保したい」ということもあるでしょう。私の父がそうです。「もう隠居したら」という私の意見に、耳を貸そうとしません。家族も「仕事を取ったら、おじいちゃんはぼけてしまう」と言っています。
私も、労働とはいいませんが、元気なうちは社会に役立ちたいです。隠居という言葉にもあこがれているのですが。庭のない住まい、地域コミュニティに参加していない身としては、退職後、生き甲斐をどこに見いだすか。それが問題です。職員からは、「課長。退職後、福本補佐と一緒に職場に顔を出さないでくださいよ」とか「福本補佐と飲んでから、職員を呼び出さないでください」「昔の自慢話をしないでください。絶対するでしょ」と、今から防御線を張られています。

2006年6月30日 大阪市立大学

30日は、北村亘先生のお招きで、大阪市立大学へ行ってきました。学部生への講義、有志との座談会、研究会での発表と、3コマも働かせてもらいました。結構、人使いが荒いです(笑い)。
学生はみんなまじめで、よく聞いてくれました。でも、もっと笑ってくれてもいいのに。静かに聞かれると、「ほんまにわかってるんやろか」と心配になるのです。拙著をゼミで使ってくださっている先生もおられるとのことで、ありがたいことです。学生さんに聞いたら、「難しくてわからないところもある」とのことでした。ごめん。
研究会は行政学系の先生たちで、大阪市立大の稲継裕昭先生、永井史男先生のほか、松並潤先生(神戸大学)、辻陽先生(近畿大学)、徳久恭子先生(立命館大学)たちも参加してくださいました。短時間でしたが、いろいろ鋭い御指摘と、質問をいただきました。人前でしゃべることと質問に答えることは、私自身の勉強と頭の整理になります。また、機会があれば、呼んでください。

書類整理

今日は、執務室の書類片付けをしました。油断すると、数日のうちに総務課長席は書類に埋もれてしまいます。本業関係の書類の整理は簡単です。決裁はたくさん来ますが、ほとんどはサインして終わり。いくつかは、疑問点を確認してお持ち帰りいただけば済みます。決裁書類はたまりません。そのほかに、課長が持たなければならない書類は、まずありません。担当者がいるので、その人に返せばいいのです。
問題は、勉強のために取ってある資料・新聞切り抜きのたぐいです。原稿を書いたり、自分の勉強のために、関心ある記事や資料を取っておく癖があります。かつては、数ヶ月に一度、部門別に分類していました、最近は、このHPに載せたものは袋に入れて、一件落着としています。保存してありますが、たぶん再度見ることはないでしょう。それ以外の、政治・行政・経済・社会・文明論・国際政治・官僚関係の記事などが困るのです。しばらく時間が経つと「鮮度が薄れて」、捨てる気になるものがあります。これはその段階で処分。残ったものは、分類して封筒に整理しておきます。原稿を書いたりするときのために。もっとも、いつになるかわかりませんが。時々整理しては、「オッ、こんないい議論もあったな」と反省します。
今日はその他に、ここ数年間分の講演会や講義の資料を、一気に捨てました。段ボール箱1箱分です。まあ、よくもこれだけしゃべりに行っていたものだと、自分で感心しました。こんなところも行ったよな、こんなこともしゃべたんだ、こんな資料も使っていたな・・。これらを捨てることも、思い出を捨てるようなものですね。でも、そんなことは言っておられないので、これも思い切って捨てる。でも、今日一日でできたのは、部屋にある資料の3分の1ほどでした。今日は夕方からは一橋で講義、そのあと別の懇親会。あすは、大阪市立大学で講演会です。職員曰く「課長、本業は何ですか?」「うーん、なんだろうね」

受講生への連絡

昨年度に引き続き、今年も一橋大学政策大学院で講義をします。内容は、昨年度と同様に「日本行政の成功と失敗」です。骨子は変わりませんが、より、今起こりつつある政治と行政の変化について、具体事例を取り上げて説明します。まずは、三位一体改革を例に取り上げ、日本の政治と行政を分析します(第1章、第2章)。その後、日本の行政の解説に移ります(第3章)。

配付資料
これまでに配付した資料は次の通り(6月29日現在)。
1 レジュメは、p20まで
2 資料は、1-32、2-34、3-8、5-26まで
3 冊子は、4種類。 「地方交付税のあらまし(白表紙)」、「日本の財政を考える(財務省パンフレット)」、「ここまで進んだ小泉改革(内閣府)」、「行政評価」
まだもらってない人は、レジュメと資料は4階の講師控え室(岡本の箱)に置いてあるので、高橋さんに了解を得て複写してください。

講義予定
4月13日 開講、授業計画の説明。第1章 三位一体改革(日本の政治と行政を浮き出させたもの)経過。
4月20日 (続き)何を変えようとしているのか・その1。分権と見えてきた日本のかたち。
4月27日 (続き)なぜ進まないか、なぜ進んだか。中央集権と官僚主導。
5月11日 第2章 何を変えようとしているのか・その2。財政再建と負担を問わなかった日本の民主主義。
5月18日 (続き)日本の財政の仕組み。改善策。
5月25日 第3章 日本行政の成功と失敗(政治と行政を見る視角、政策を問う、私たちの成功)
6月 1日 (続き)私たちの失敗、近年の政治と行政の評価
6月 8日 第4章 行政機構と官僚制(官僚の失敗への批判、日本の公務員制度の特徴)
6月15日 (続き)官僚制の限界
6月22日 (続き)。第5章 政治の役割と行政の役割(統治の機構)
6月29日 (続き)行政改革
7月 6日 (続き)政と官、政治の役割
7月13日 休講
7月20日 第6章 転換の方向。質疑の時間

国家公務員の配置転換

政府は27日、国家公務員の人件費抑制の全体計画と、政府系金融機関改革の制度設計を決めました。このうち国家公務員削減は、5年で約1万9千人、5.7%を純減します。これまでは削減といっても片道(一方で増員あり)だったので、純減としてはその規模も大きく、また一律でなく部門別重点削減ということも、これまでにないことです。
しかし、もっとも大きな方向転換は、配置転換です。これまでは退職不補充の範囲で削減をしていたので、職員の配置転換がありませんでした。簡単に言うと、省庁を越えた大幅な職員移動はありませんでした。それが今回初めて実現するのです。
民間の方や地方公務員にとっては、配置転換など当たり前のことです。「今まで何をしていたの」と不思議に思うでしょう。しかし、いつも私が主張するように、日本国には各省公務員はいても、国家公務員はいないのです。国家公務員は、各省に採用され、政府には採用されていないのです。霞ヶ関には人事課長が13人います。実質的には100人くらいいると私は見ています。それごとに、人事は管理されています。
こんなことが今まで続いてこれたのは、右肩上がりだったからでしょう。これまでに大規模な配置転換は、国鉄分割民営化の時に行いました。国鉄職員を各省で受け入れたのです。もっとも、これは省庁間は移転ではありません。
さらに問題は、この多くの職員が地方出先機関の職員であるということです。生活の場が地方にあり、県を越えた転勤を想定していない職員が大半だと思います。もちろん、これまでと違った業務を覚えなければならないという課題もあります。これからも、解決しなければならない問題はたくさんあります。
さらに今回、政府に対策本部を作りました。それは、政府に人事政策・制度・運用の統一機関がないからです。私はこれも大きな問題だと思っています。