投稿者アーカイブ:岡本全勝

政策の検証

2007年12月19日   岡本全勝
17日の日経新聞「核心」西岡幸一コラムニストの「トップは20年後もつくる」は、今年亡くなられたNEC元社長と日立製作所元社長の功績と責任についてでした。本論も興味深かったのですが、次のようなくだりにも目がいきました。
・・1980年代から90年代の日本の電子産業絶頂期を築いた経営者・・
そのピークは半導体で米国を抜いて世界一に立った1987年、ちょうど20年前だ。当時の業界の自信を示す格好の材料がある。産業構造審議会が87年に発表した「2000年の情報産業ビジョン」だ。電子、通信、情報サービスを合わせた情報産業の生産額は2000年に140兆円、国内総生産(GDP)の20%を占め、電子産業だけで110兆円になるとした。電子産業は現在でも20数兆円にすぎない・・
私が関心を持ったのは、外れたかどうかよりも、外れたことの検証を行政が行ったかどうかです。官僚は新しいプランを打ち出すことは好きです。でも、それが5年後、10年後にどうなったかを検証しないのです。当事者は2年で異動。政策は引き継がれるより、新しいことを打ち出すと評価されるという風土があります。もちろん、この記事にあるのは民間活動の予測ですから、政策そのものではありません。しかし、この審議会は省庁の一組織です。

教育格差と情報開示

2007年12月19日   岡本全勝
17日の日経新聞教育面は、志水宏吉阪大教授の「学力テスト結果公表、地域内の差こそ問題」でした。
43年ぶりに行われた、全国一斉学力テストの結果です。それによると、家庭学習時間の増加や、朝ご飯を食べる子供の比率が増加していること。都道府県格差が報道されているけれども、40年前に比べ、地域間格差は驚くほど縮小しているのだそうです。
問題は、給食費など就学援助を受けている生徒が多い学校は、学力が低いことだと、教授は指摘しています。校区の経済状況が、子供の学力に大きな影響を及ぼしているということです。一般的に家庭の経済状況が子供の学習態度や学力に影響するでしょうから、これはいわば当たり前のことかも知れません。もちろん、貧しくても勉強ができる子もいます。OECD各国の中では、日本は親の地位と子供の成績が比例する度合いが少ない国だそうです(朝日新聞12月19日経済気象台「勉強しない経済大国」)。
また、教授は、今後の方向を二つ並べておられます。一つは、テストの結果を広く公表することで競争状態を作り出し、学校の自助・経営努力のもとで、子供たちの学力を高めていこうとするもの。もう一つは、「現場の力」を信頼し、テストの結果は内部資料として使うものです。そして後者を薦めておられます。私は、前者を取ります。
教師だけでなく、保護者・地域住民・行政関係者が情報を共有し、課題に取り組む必要があること。情報を一部の関係者だけで秘匿するのは、情報公開の流れに沿っていません。みんなが課題を認識することで、予算や人員を投入し、対策を打つことができるのです。情報を隠して「予算を欲しい」と言っても、周りの人は納得しません。
次に、競争のないところに、向上と改善は望めません。学校関係者に努力を促す意味で、競争は必要なのです。ここでの競争は、生徒の競争でなく、教員の競争なのです。また、「学力テスト結果は一人歩きを始める」と指摘しておられます。私もそれを否定しませんが、それを恐れていては、次の行動を取ることができません。大学入試・高校入試において、学力の序列化は公然と行われています。

人生前半投資

2007年12月19日   岡本全勝
18日の日経新聞経済教室は、守島基博教授の「格差是正に向けた経済政策、人的資本形成重視を」でした。
経済成長と公平を実現するために、人的資本形成を重要視しておられます。それは、個人の持っている知識や技術だけでなく、意欲、コミュニケーション能力、忍耐力をも含めたものです。そのために、人生の早い時期から形成すべきであることを主張しておられます。就学前から能力開発をしようというのです。問題発生後に「給付」するより、人生前半期に投資しようということです。
遅くなりましたが、18日の2008年度地方財政対策の概要、24日の2008年度国の予算案の、ホームページを紹介しておきます。便利になったものです。(12月25日)

官僚制問題の責任者

2007年12月18日   岡本全勝
今日は、佐々木毅先生「守屋問題と政官関係」、『公研』2007年12月号から。
守屋問題は・・改めて、官僚制に対する監督責任の問題を、浮き彫りにした・・この責任問題は、政と官との接点に関わる極めて重大な論点を含んでいる。私のもっとも理解できない点は、あれだけ官に対する批判を口にする政に、官に対する監督責任を自ら引き受ける覚悟がほとんど見られないという点である。政権党であれば、政策をコントロールすることは勿論のこと、それを効果的に実現するためにマシーン(官僚制)の整備に配慮することは当然のはずである・・現状は、官が自己統治をしているというべき状態にある・・
私は大連載「行政構造改革」(第2章四)で、官僚機構の管理と評価は政治の責任であることを主張しています。もちろん、現在指摘されている官僚問題は、官僚自身に責任があるのですが、民主制において行政を監督する責任と権限は政治にあります。この部分は、2008年2月号に載る予定です。

消費者や生活者の視点に立った行政へ

2007年12月17日   岡本全勝
17日に関係閣僚会合が開かれ、「生活安心プロジェクト・緊急に講ずる具体的な施策」がまとまりました。
「消費者や生活者の視点に立った行政へ」として、「安全・安心を第一に大きく発想を転換」を掲げています。そして、「これまでの政府の仕事のやり方は,生産第一の視点から作られてきたため,国民生活の安全・安心の確保という視点が,政策立案の中心に置かれていなかった。国民が日々,安心して暮らせるようにしていくため,安全・安心を第一に,消費者や生活者の視点に立った行政へと大きく発想を転換すべき時代が来ている。」と述べています。