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三位一体改革26

27日の新聞は、26日に開かれた国と地方の協議会4回目の様子を伝えていました。主に公共事業関係で、各省の案は交付金化です。これでは税源移譲につながりません。毎日新聞は「地方への影響力温存」と大きく書いていました。
財務大臣の交付税大幅削減案については、地方団体側は激しく反発し、麻生大臣も「ぶち壊すような激論はおかしい」と発言しています。
朝日新聞は「三位一体改革深まる対立」を、各大臣のスタンス解説図付きで解説していました。
東京新聞は、社説で「補助金改革、既得権維持が目に余る」でした。中学校教職員給与について「国庫負担廃止の見返りに税源が移譲されてもなお、教育の水準が低下するという理屈に、どこまで納得させる力があるのか」「厚生労働省は、補助率引き下げという対案を出している。これでは、地方側への行政の裁量はほとんど広がらない。省側の権限を維持しようという意図がありありだ」。また、同紙は「補助金削減の衝撃」の連載(中)「省益、負担は他省庁と地方に」「カネと権限は自らに、負担は相手に-。三位一体改革の成否は、こうした中央省庁の論理を崩せるかどうかかが大きなカギとなる」。
産経新聞は「三位一体、乱戦の構図」連載4回目「財務省vs総務省」を載せていました。(10月27日)
28日の読売新聞は、神野直彦先生の「三位一体改革・古色蒼然たる官僚の抵抗」を載せていました。「日本では、補助金が中央官僚支配の道具になっている」「地域住民の共同の財布である地方財政を、中央官僚から国民の手に取り戻すことが、その目的だといってもよい」「この改革に中央官僚は激しく抵抗している。・・その抵抗の論理は、戦後の民主化に抵抗した時以来の古色蒼然としたものだ」「義務教育費国庫負担金は、教職員の給与の50%を中央政府が負担し、50%を自治体に裏負担させるが、この負担金だけでは地域間格差は逆に拡大し、行政水準は確保できない。・・貧しい自治体でもどうにか裏負担に耐えられているのは、交付税が交付されているからだ」。ぜひ本文をお読みください。
同じ読売新聞には、全面広告で「今、日本が危ない!日本の義務教育が今崩壊しようとしている」と、著名人が名前を並べていました。誰も、教育費を減らそうとなど言っていません。教員給与の50%を国庫負担すると義務教育が成り立ち、それを税源移譲すると「崩壊する」というのは・・。
バカさ加減に、開いた口がふさがりません。なぜ、教育の質の議論を、教員の給与の半分を国が持つかどうかにすり替えるんでしょうか。この人たちは「国庫負担金のない高等学校教育は、既に崩壊している」というんでしょうか。
先生方は、物事をわかっていないか、誰かに言わされているんでしょう。自らの名誉を、自ら傷つけておられることに、悲しくなります。
私立学校は、義務教育費国庫負担金を受けていません。私立学校の先生や私立学校の卒業生まで名前を出しておられるのは、自分の学校が国から「差別」されていることをご承知なのでしょうか。あるいは、「国庫負担金をもらっていない私の学校は、教育が崩壊しています」と発言しておられるのでしょうか。まさか。うちの娘も私立中学校に通っていましたが、崩壊していませんでしたよ。
知事や高校の先生、私学の先生は、怒ってください。
東京新聞は、連載「補助金削減の衝撃」(下)、族議員は「生命線維持に必死」を解説していました。(10月28日)
新聞は毎日、三位一体の記事が花盛りです。しかしその内容は、「理念や理論編」でなく、「政治力学編」に移っているようです。例えば29日の毎日新聞では「三位一体改革は首相批判の接着剤」というようにです。
理論編では、絶対に地方案で進むはずですが、それを阻むために、省庁と「族議員」は力学編に持ち込もうとしています。
29日の各紙は、「各省ゼロ回答、1兆円どまり、目標ほど遠く」と書いていました。各省の抵抗について、各紙は批判的です。当たり前のことですが。産経新聞は「乱戦の構図」第5回「地方自治体間の対立」を、読売新聞社説は「激しさ増す補助金削減の攻防」を載せていました。
30日の朝日新聞社説は、「補助金削減、これは対案に値しない」を載せていました。「補助金を減らそうとまじめに取り組んでいるとはとても思えない。それどころか、小泉改革に従わないと表明したに等しい。小泉首相は閣僚や次官らを更迭するぐらいの気持ちで進まないと、道は切り開けまい」。わかりやすいです。日本経済新聞は「財政攻防4」を載せていました。(10月30日)

本業

今日は、官房長の代理で中越地震災害対策本部会議に出席しました。防災担当大臣出席の下、各省から被災状況と復旧支援の状況を報告します。また、課題が指摘されます。支援物資は、かなり届いているようです。テントも大量に用意されつつあります。項目も多く、1時間半以上かかりました。現地支援本部とは、テレビ電話で結ばれています。明日も、15時から開かれます。

副業

昨夜は、東大で客員教授をしたときの学生さんが、「同窓会」をしてくれました。2002年度と2003年度の合同です。大学院で研究を続けている人、官僚になった人と内定した人、民間への就職が内定した人。それぞれ、元気でした。

三位一体改革25

19日に、関係閣僚と地方団体代表との協議(分野別2回目)が行われました。新聞各紙によると「また平行線」だそうです。産経新聞によれば、「経産相が容認姿勢」とのことです。他の省の主張は、再度出席した厚労相を含め、補助率カットと交付金化です。
これが、地方団体の意見及び総理の趣旨にそぐわないことは、みなさんご承知のとおりです。補助率カットでは、地方の自由度が上がりません。それは、単なる負担の転嫁です。交付金化では、税源移譲になりません。地方団体が言うように、こんな会合だったらやってもムダですわ。調整なんてできません。
「総理の指示であっても、抵抗さえしていれば、進まない」といった「ごね得」は許されるのでしょうか。たぶん、総理は認めないと思います。
ある記者さん曰く、「地方団体は、自民党の有力な支持母体ですよ。総理も自民党の議員も、それを怒らせるような決着はできませんよね」。
でも、想定したくありませんが、地方案が進まない場合には、地方団体は「どのようにぐれるか」考えておくことも必要でしょうか。(10月20日)
20日の参議院予算委員会で、麻生総務大臣と財務大臣が対立したと、各紙が伝えています。所得税から3兆円税源移譲すると、交付税原資が1兆円(3兆円×32%)減ります。財務大臣は「新たに財源を見つけるのは難しい」。麻生大臣は「交付税が減少すると地方の財源不足が拡大する。いろんな手法で埋める」と答えておられます(朝日、毎日など)。
どちらが正しいか、よく考えてください。一見、財務大臣の説も、正しいと思えますよね。いつも私が使う「国の予算と地方財政計画の4本柱図面」で考えてみてください。3兆円税源移譲すると、国は△3兆円(税源移譲分)+1兆円(交付税跳ね返り分)=△2兆円です。ここで、財務大臣の手品がばれます。財務大臣がわかって言っておられるのか、事務方に言わされておられるのか・・。
21日の記者会見で、香山総務事務次官は次のように答えています。「これは、当然補てん措置を講ずべきものでありまして、この点については議論の余地はないと、私共は思っております。交付税の率を上げるのか別の方法をとるのか、そこはいろいろとこれからの議論だと思いますけれども。所得税が減ったために反射的に交付税が減る分については、減りっぱなしということは断じて有り得ないことでして、当然そういうことに臨んでいきたいと思っております」。
産経新聞は「三位一体:乱戦の構図」「倒閣か族つぶしか:首相vs族議員」を解説していました。何回か解説したように、この構図は本質的ではありません。でも、こういう対立構図は、小泉改革には有効でしょう。
ある記者曰く「小泉総理は、族議員と官僚の抵抗を『歓迎して』おられるでしょう。そうすれば、世論がますます小泉を支援すると。『私は旧来型の自民党をブッ壊す』ですよ」。なるほど。(10月21日)
22日の経済財政諮問会議では、交付税改革が審議されました。民間委員、麻生大臣、財務大臣がそれぞれ資料により、主張を述べられたとのことです。議論のポイントは、地財計画と実態との乖離をどうするかと、中期見通しをどうつくるかです。
もちろん財務省の主張は、交付税を大幅削減するためのものです。そのため22日の朝刊には、財務省の主張がいくつも「リーク」されていました。
夕方、国会から帰ってきたら(毎日国会に出勤しているので)、何人もの記者さんから「7兆円も交付税を削減したら大変ですが・・」と問い合わせがありました。
全:「そんなの、大蔵のいつもの手口やんか。毎年、夏と今頃になると、こんな記事が出るで。去年の新聞見てご覧。記者さんは1年で交代するから、知らへんのやなあ」
記:「そうなんです。でも、私だって、主計官から紙を貰ったら、喜び勇んで書きますよ。で、どうなるんですか」
全:「地財計画と交付税を削減するのは、閣議決定済み。ただし、安定的な財政運営ができるだけの額は保障することも、書いてある。16年予算で減らし過ぎて、地方団体の猛反発をくらったからね」
記:「じゃあ、削減額は、16年度とゼロとの中間ということでしょうね」
全:「12月末に予算が決まったら、二人で検証しようや」
地財計画議論の2つのポイントについては、別に解説しましょう。(10月23日)
23日の各紙は、22日の経済財政諮問会議を載せていました。総理は、義務教育費国庫負担金の削減に文部省などが強く反対していることについて、「みんな反対、反対という。しかし、やらざるを得ない」と記者団に述べ、地方案に沿って削減案をまとめる決意を強調しました(毎日新聞、読売新聞など)。
産経新聞は「三位一体・乱戦の構図」第3回を、毎日新聞は宮田哲記者による「ヤマ場の補助金削減・地方も問われる説明責任」を載せていました。24日の東京新聞は「三位一体改革ヤマ場へ」「地方:自由な財源、分権加速vs省庁・族議員:なくなる仕事・影響力」を解説していました。(10月25日)
26日の東京新聞は、「補助金削減の衝撃・三位一体改革の今」上「自立」を載せていました。「地方にとって三位一体改革は、国への依存体質から脱却するチャンス。だが、カネを手にすると同時に責任も負う。地方の想像力、そして覚悟が問われることになる」(10月26日)
25日の日本経済新聞社説「地方の自由度を広げる補助金改革に」は、三位一体改革の理念や意義をわかりやすく解説していました。「失敗は住民の責任に」とです。優れた論文だと思います。ぜひご一読ください。(10月25日)

本業

新潟中越地震や台風被害に遭われた方々に、お見舞い申し上げます。総務課長は、総務省の災害担当もやってます。主に活躍するのは消防庁ですが、通信や放送の被害、被災地支援などもあります。23日の夜から、忙しくなりました。職員は交代で24時間勤務です。