今日は、シリーズ『地方税財政の構造改革』(ぎょうせい)に載せる「三位一体改革の意義」と「今後の課題と展望」を書き終わりました。8月に書いた「地方財政の将来」(学陽書房)があるので、これを基に加筆しました。その後、汗だくになって、実家から届いた本を5箱整理し、充実した1日でした。
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一橋大学大学院の成績評価
一橋大学大学院の成績をつけて提出しました。27人のレポートを読んで評価するのは、結構大変なのです。最初に読んで理解し、評価ポイントをつける。これで2~3回は読みます。次に、その採点が相対評価・横並びがとれているか、チェック。ここまでは、8月中にしておきました。そして、今日、もう一度再確認して決定しました。
課題を示す際に、論文の書き方を指示してあります。
1 表題をつけること。ページをうつこと。
2 見出し、小見出しをつけ、目次をつけること。
3 最初に要約をつけること。
4 活字は12ポイント以上。
こうすることで私も読みやすいし、本人も何を言いたいのか、明確になります。
また、採点の基準も示してあります。
1 具体事例を対象とすること。
2 それを、岡本の主張に沿うか、批判して分析すること。
3 現在日本の行財政が対象なので、外国語文献や偉い先生の論文を引用する必要はない。
今回も、なかなか立派な論文がありました。一方で、良い評価をつけることは無理なレポートも、いくつかありました。何を言いたいのか不明。論拠があいまい、論旨が通らない。感想文に近い。事実はよく調べてあるが、分析と主張がない。分量が極端に少ない。相変わらず、誤字は多いですね。ワープロの変換間違いのほか、文章の複写貼り付けを間違って、同じ文章が2か所に出てくるというのもありました。提出する前には、もう一度読み返してください。
自治体の破たん法制
2日の読売新聞では、青山彰久記者が「自治体の破たん法制。国と地方の関係、包括的な議論で」を書いておられました。
「自治・分権の原則が、自分たちのまちのことは自分たちで決めるという自律と自己統治にあるとすれば、破綻法制を検討することにも意味はある・・。しかし簡単ではない」
「そもそも、地方に自己責任を求めるなら、それに見合う形で、地方が今以上に仕事を自由に効率的に行う権限も広げなければならないという論理も成り立つ。法律や政令・省令で仕事の基準や方法まで定める現行制度を変え、税源移譲も拡大すべきだろう」
「破綻法制だけを独り歩きさせず、国民が納得できるように包括的に設計できるかが焦点といえる」
6日から日経新聞経済教室で、「地方財政、破綻処理を考える」が載っています。「破綻処理」とは、センセーショナルな見出しですね。
今の法制度では、自治体も国も「破産」はできません。破産は法人=法律が作った人を「殺す」制度ですから、作るときに法律が必要なのと同じく、殺すときも法律が必要なのです。そのような法律はないので、国も自治体も破産はできません。第3セクターの多くは株式会社ですから、破産できます。民事再生法の処理もできます。
破綻は、一般的な用語で定義されていないので、定義してからでないと議論が混乱します。日本国債が格付けを引き下げられ、アフリカの某国なみになったのは、まだつい最近のことでした。この時も、日本の財政は破綻していると言われました。その後も借金残高は増えて、「国家財政は破綻している」という人もいます。
夕張市が巨額の借金を抱えたのは事実です。しかしこれは、「粉飾」をしたのであって、一般化されては他の自治体が困ります。国として自治体が行わなければならない事務(教育・福祉・消防など)の財源は国が保障しています。自治体が借金する際も、これまでは国の許可が要りました。変なことをしない限り、破綻しようがなかったのです。また、粉飾しないように監視するために、議会があり、監査委員がいるのです。
国と地方が巨額の借金を抱え「破綻している」ことと、粉飾した夕張問題とは、別です。対処方法も別々です。地方団体の借金が多いので「破綻処理」を考える必要があるというのなら、国家財政の方がひどいのですがね。
2006.09.06
中公新書「昆虫―驚異の微小脳」を読みました。すごいですね、昆虫は。私は、脳はすごいと思いつつ、それは人類もその他のほ乳類も昆虫も同じようなものだと、漠然と思っていました。一方で、同じ脳としては、昆虫は脳もマッチの頭くらいしかなく、どうしてえさを見分けるだけでなく、空を飛べるのかふしぎでした。
この本を読んで、半分わかりました。ほ乳類の脳と昆虫の脳は、発生的に別物なんですね。そりゃそうですわな、共通の祖先があったとして、立派な脳を持っていたとは思えません。ここは私の理解不足でした。目も構造が違うんです。また、蜂や蚊があんなに見事に飛べるのは、考えてみればすごいですよね。人類が作った飛行機は、まっすぐ飛ぶだけで、すごい量の装置がいるのです。コックピットは計器の固まりです。蜂なみの飛行をしようとしたら、計器はどれくらい必要でしょうか。それを蜂や蚊は、あんな小さな脳でやってのけるのです。まだまだ、わからないことは多いですね。
報道記者からの注文
今日、日本を代表する放送会社と放送組織の中堅幹部(早い話が、私と同年配の人たち)と、日本の将来を語りました。お二人からの注文は、「最近の全勝さんのHPは、読んでいておもしろくない。自己規制が多すぎる。もっと本音を書け」でした。うーん、そう言われてもねえ・・。