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日本はガラパゴス諸島

23日の日経新聞「電機再編」に、次のような記述があります。
・・隔絶した環境で、生物が世界と異なる進化の経路をたどったガラパゴス諸島。内向き志向が強い国内電機業界は、そんなガラパゴスに似る。典型が携帯電話機だ。昨年で9億7800万台の世界市場のうち、日本はわずか約5%の4800万台弱。限られた市場に大手電機9社のすべてが参入し、独自の世界で競い合う・・
「日本の産業界はガラパゴス諸島」説は、先日、ある学者から教えてもらいました。その名付けの卓抜さに、脱帽しました。
もちろん、日本が独自の商業文化を発展させることは、悪いことではありません。それが外国と勝負でき、勝てるものならば。しかし、隔絶した条件でのみ進化できるのなら、それは世界では勝てないでしょう。

農業政策

23日の朝日新聞耕論は、「農業再生への道は」でした。生源寺真一教授の発言から。
・・約8万ある水田集落の半数以上には、主業農家(総所得の半分以上を農業所得が占める農家)が1戸もない。
・・「今の農政は小規模農家の切り捨てだ」という批判があるが、小規模農家が弱者であるかのような議論は実態と違う。規模が小さい兼業農家は自治体や企業の勤め人も多く、専業や主業農家よりも経済的には恵まれている。農業を副業にしている農家の場合、総所得に占める農業所得は3%前後にすぎない。兼業農家を無理に排除する必要はないが、厳しい財政事情の下で、サラリーマン農家の小遣いを多少増やして終わるだけの財源の使い方では、都市の人々の支持は得られない・・
私も、農家を一律に議論する曖昧さに、疑問を感じています。専業農家とサラリーマン兼業農家、稲作農家とそれ以外の農家、じいちゃんばあちゃんの農家と壮年の農家、業としての農家と自家消費の農家を、区別して議論すべきだと思います。
そして、農家と農業を分けて議論すべきです。農業を振興することは必要です。しかし、それと農家を守ることとは、別です。
サラリーマン兼業農家は、土地を持っていないサラリーマンからすれば、資産を持った恵まれた人なのです。そして、通常はその人たちは、稲作です。米は余っています。その人たちの「何を」、公費で支援・保障しようというのでしょうか。野菜や果物は、兼業の片手間では、できません。
これに関しては、日経新聞経済教室8月27日の本間正義教授の解説「日本の農家は零細ではあるが、決して弱者でも困窮者でもない。農家の総所得は勤労者世帯より2割以上多い。ただし、農業所得は総所得の14%に過ぎない。日本の農家は零細ではあるが、農地という資産を保有し、勤労者世帯よりはるかに豊かである」や、29日の神門善久教授の解説「農家が農地の農外転用で手にする収入は年間4.8兆円で、毎年の作物生産額5.8兆円の8割に相当する。零細農家の多くは兼業農家で、土地持ちサラリーマンか土地持ち高齢者と言って過言でない。農外転用はまたとない錬金術で、農地は宝くじである」も参考になります(書くのを忘れていました)。

挑戦

22日の朝日新聞変転経済は、「シャープの挑戦、テレビをすべて液晶に」でした。
10年前、テレビもパソコンもブラウン管でした。画面の幅と同じくらいの奥行きがありました。今や、そんな大きな箱は、見なくなりました。若い人は知らないでしょう。
しかし、それには、厳しい企業間の競争があったのです。もちろん、かつてのNHKテレビ「プロジェクトX」のような成功例の影に、それよりはるかに多くの失敗「プロジェクト×(バツ)」があったのでしょう。私は、成功例も教科書になるけど、失敗例の方がもっとためになると考えています。
記事の中でも紹介されていますが、かつて日本の半導体メモリやDRAMは、他国の追随を許しませんでした。しかし、今や、後塵を拝しています。
これらの教訓は、挑戦しない限り、置いて行かれること。しかも、一度成功しても安泰なのは、数年しか続かないこと、などです。
先日、地方行政制度も、大きく変化をし続けていることを書きました(9月17日の記事)。制度以上に、現場では大きな競争にさらされています。国際競争・近隣団体との競争だけでなく、サービスなどでは民間との競争もです。市場化テストが、その手法です。

科学の伝道師

鎌田浩毅京大教授が、「火山噴火」(岩波新書、2007年)を出版されました。先生は、専門家が一般人へ知識を伝えるという「アウトリーチ活動」の重要性を説き、自らを「科学の伝道師」と称しておられます。このホームページでもたびたび、紹介しました。例えば、(伝道師活動)2005年1月4日。
今度の本も、火山災害について、一般市民に基礎知識と「減災」の知識を伝えようとのことです。お勧めします。