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輸入商社としての東大と官僚

22日の朝日新聞「戦後60年」は、東大でした。「小宮山宏学長は『世界一の総合大学を目指す』と宣言した」「日本はすでに30年前には先進国になっていたのだから、東大も世界の先頭を目指すべきだった。しかし明治以降、あらゆるものを外国から輸入してきたから、その発想がなかった」
「南原先生の時代は、欧米のものを持ってきて大衆に配るのがエリートの役割でした。今の日本は、高齢化、少子化、環境問題など、世界でも未知の問題が集中する『課題先進国』。モデルを追いかける時代から、自分でモデルを作らなければいけない時代になった。そして私たちが作るモデルが世界標準になる。知識の輸入ではなく、先頭に立つ勇気が必要だ」
かつて天下国家を考えていた東大生が、今は自分のことしか考えなくなっているという指摘があることに対しては、 「日本は国家や企業のために頑張ることを通じて個人を作ってきた社会だった。これからは個人が自分のために頑張る中からリーダーが生まれ、結果的に社会に貢献する」
その東大とセットになっていたのが、霞が関の官僚でした。欧米から先進行政を輸入し、日本中に行き渡らせました。各省は「総輸入代理店」であり、官僚は地域で生じる問題を拾い上げ解決する訓練を受けず・そのような思考はありませんでした(拙著「新地方自治入門」p57,p287)。

日本の政治

日経新聞が25日まで、国際面で「ブッシュ政権2期目、権力のツボ」を、各省ごと4回に分けて連載していました。それぞれの長官やスタッフが、どのような主張を持ち、どのような政策を展開しそうかを解説していました。
日本では、このような記事が書かれませんよね。せいぜい、経済財政諮問会議と日銀政策委員くらいでしょうか。これは、次のようなことを示しているのでしょう。
①大臣ほか政治家が、政策を明確にしないこと。
②各省の高級官僚も、政策を主張しないこと。
これまでの日本は、これでも済んだということでしょう。
日本に帰ってきたら、日本の各省についてもこのような記事を書いてくださいね、小竹洋之記者。(6月25日)
(利益団体・政党・改革)
23日の日本経済新聞「衆院選、政策責任者に聞く」で、与謝野馨自民党政調会長は次のように述べています。
「民営化の意義はどこにありますか」と問われて。「改革への意志、思想、哲学が問われる。改革で党が自己犠牲を払う覚悟も問われている。自己犠牲とは今までの支持母体を失い、支持母体に支えられてきた国会議員も失う、ということだ」

官僚と政治

21日の日本経済新聞が、「経済政策、政官に緊張関係。自民でも民主でも内閣主導一段と」を書いていました。
「両党とも『小さな政府』を掲げて官のリストラに取り組み、首相官邸を核にした内閣主導の経済政策運営を進めようとしているからだ。両党がマニフェストをまとめた際も、意識的に与野党と距離を置いたり、逆に根回しに走るなど官僚の対応も分かれた。霞ヶ関は、政治との新たな関係を模索している」
政治主導が進めば、当然、官僚と政治との関係も変わってきます。いえ、変わらなければなりません(拙著「新地方自治入門」p291~、一橋大学3)。

300,000番

30万番を19日朝に達成しました。18日の夜に見たときは299,500だったのに、朝見たら300,000を超えていました。「キリ番ゲット争い」が激しかったということでしょうか。ゲットしたのは、東大の八代さんでした。おめでとう。棚瀬画伯(このページの笛吹中年の作者)は、300,001だったそうです。残念。
2002年1月にHPを作り始めてから約3年半、その年の8月にHP作成ソフトを入れて本格的にページを増やしてから3年です。三位一体改革が盛り上がって、このページを見てくださる方が増えたようです。
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社会の変化

アンドリュー・ローゼン著「現代イギリス社会史、1950-2000」(2005年6月邦訳、岩波書店)を読みました。鋭い分析の本だと思います。「伝統と秩序の国」といわれたイギリスで、20世紀後半に、生活が社会変容といえるほど大きく変わったことを論じた本です。次のような構成から、この本のおもしろさが読み取れるでしょう。
第1部 生活の水準と生活の質(劇的な経済水準の上昇とその配分)
第2部 傾く権威(王室と貴族、宗教、結婚、労働組合が民衆の支持を失ったこと)
第3部 新しい機会、新しい役割(教育の広範な変化による、エスニック・マイノリティ、女性と仕事、青年と高齢者の役割の拡大)
第4部 イギリスを定義しなおす(アメリカ文化の影響とヨーロッパ大陸との関係)

私は「新地方自治入門」で、この半世紀の日本社会の変化を、行政の役割から分析しました。経済水準の上昇は、イギリスより日本の方が劇的でした。社会資本や行政サービスの拡充も、日本の方が大きかったでしょう。このあたりは、拙著では数字で示しました。しかし、国民の意識、社会での役割など社会の変化については、言及しましたが、拙著の性格もあり十分ではありません。
どなたか、日本社会の変貌を、この本のように多面的にかつコンパクトに分析してもらえませんかね。学者の方は、一部分を詳しく論じたり、諸外国の分析はしてくださいますが、現在日本の見取り図を書いてくださいません。