投稿者アーカイブ:岡本全勝

日本の発展の写真

2024年10月30日   岡本全勝

国際協力機構(JICA)が行っている、発展途上国政府幹部への研修の一部を担当することになっています。これまでも、危機の際の政府幹部の役割として、東日本大震災での経験を話しているのですが。今回は、明治以来の日本の発展に果たした行政機構の役割を話せとの依頼です。
拙著『新地方自治入門』や現在連載している「公共を創る」で、それにあたることも書いているので、引き受けました。

論点や図表も、それらを活用することができます。配布・投影資料を作り、英語とフランス語に翻訳してもらいました。日本のことを余り知らない人が多いとのことで、どうしたら通じるか工夫しました。
さらに数字や文章だけでなく、見てわかってもらうのがよいと思い至りました。東日本大震災での経験も、写真を基に話しています。しかし、今回の主題では難しいです。知人に知恵を借り、明治以来の日本の発展がわかる写真を投影しようと考えました。

インターネットで探すと、さまざまな写真が出てきます。しかし、著作権の問題などがややこしいです。
長崎大学図書館に、幕末明治期の写真があります。申請して、使わせてもらうことにしました。もっとも有料で、1回ずつ支払わなくてはならないので、1度だけにしました。
さらに知恵を出して、農林水産省に農業の発展がわかる写真を、日本を代表する電器会社に工場と作業の変遷がわかる写真を、千葉市役所に町の景色の変化がわかる写真を探してもらいました。皆さん快く引き受けてくださり、何枚もの写真を提供してもらいました。その中からいくつかを選び、投影資料を作成しました。

なかなか良いものができたのですが、利用条件から、ここでお見せできないことが残念です。さて、研修生にうまく通じるでしょうか。

不安定な政治が生む経済の低下

2024年10月30日   岡本全勝

10月11日の日経新聞オピニオン欄、森川正之・一橋大学特任教授の「不安定な政治が生む不確実性ショック」から」

・・・不確実性は古くから経済学の重要な研究テーマだったが、世界金融危機を契機に研究が加速した。そして不確実性の高まりが企業の投資や雇用、家計の消費に対してネガティブな影響を持つことが明らかにされてきた。出生率へのマイナス効果を示す研究もある。有力なのが「リアルオプション効果」といわれるメカニズムである。企業も家計も将来見通しを前提に現在の行動を決定するので、経済成長、物価、所得などの先行き不確実性が高まると、それが解消されるまで動かずに様子見をするという理論である。
大規模災害など予期せぬ出来事は、不確実性を高めるきっかけになる。「コロナ危機」も先行きが見通せない不確実性ショックという性格が強かった。経済活動の制限に伴う直接的なマイナス効果だけでなく、不確実性の高まりが追加的な影響を与えた。
「政策の不確実性」も実体経済活動を下押しすることを多くの研究が示している。予算、税制、法律改正、金融政策などの見通しが不透明だと、政策の影響を受ける企業や家計が積極的な行動を控えるからである。結果として政策効果が減殺されたり、意図せざる副作用を持ったりする。つまり政府が不必要な不確実性をつくらないことが経済政策としても重要である・・・

・・・日本経済は長期デフレからほぼ脱却し、人手不足が深刻になっている。こうした状況の下、生産性向上を通じた潜在成長率引き上げが経済政策の中心になるのは当然だ。ただ、研究開発、人的資本投資、規制改革などの成長政策は、その効果が現れるまでに時間がかかる。このため給付金や減税など短期の景気対策と比べ、政治的訴求力に欠ける面がある。
選挙では政治的にアピールしやすい「支援」がキーワードとして使われることが多く、財源論を度外視した様々な政策が提案される。しかし、コロナ危機で一段と膨らんだ政府債務は不確実性ショックの潜在的な源泉である。将来にわたる政策の予測可能性を高めて不安を払拭することが、企業や家計の前向きの行動を引き出す上で重要だ・・・

田中一村展

2024年10月29日   岡本全勝

東京都美術館で開催中の「田中一村展」に行ってきました。
生前には評価されず、死後に見いだされた作家です。私は1980年代後半から5年間、鹿児島に勤務しました。奄美大島も何度か訪れたのですが、この作家と作品を知りませんでした。

今回の展覧会では、子どもから晩年までの画業をたどることができます。子どもの時から神童と呼ばれただけのことはあります。7歳や8歳で立派な絵を描いています。ただ、その技だけでは、上手な日本画家で終わったのでしょうね。
途中から画風が変わり、そして有名な奄美の植物や鳥を描いた絵になります。素晴らしいです。そして独創的です。アンリ・ルソーの熱帯の植物に通じるものがありますが、一村の絵は日本画を基礎としているだけに、一種の様式美があります。

もし、もっと早くこの画風ができていたら、世の中に認められたのではないでしょうか。

人気指導者時代の終わり

2024年10月29日   岡本全勝

10月2日の日経新聞オピニオン欄、ジャナン・ガネシュ氏の「「人気指導者」の終わり 危機知らぬ市民、要求厳しく」は、興味深い指摘でした。
西側先進諸国において、かつては時代を代表する政治指導者がいたのに、昨今は人気のある指導者はまれで、在任期間も短くなっています。

・・・では、筆者が推測する原因は何か。何十年も続く平和と豊かさが、期待値を高める予期せぬ結果をもたらしたということだ。戦争の鮮明な記憶がある人は、西側諸国に今暮らしている人たちのごく一部だ。国が抑制できなかった金融危機を覚えている人は事実上誰もいない。
最後に世の終わりに近づいた新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、2年ほどで過去のものになった。
全面的な大惨事をこのように巧みに阻止できたことは本来、政治家に対する信頼を高めるはずだ。だが、人々は高い水準の秩序と進歩に慣れてしまい要求をさらに強める結果になった。

西側諸国の大部分では、もはや人気の高い政府などというものは存在しないのかもしれない。それでも「もっと懸命に働き、もっと良い統治を」というテクノクラート(専門知識を持った官僚)的な決まり文句は消えない。この世界観の伝道師は、市民の怒りに対する答えとして「有効性」を挙げるブレア元英首相だ。
ブレア氏は筆者が取材したなかで最も政策に精通した指導者だ。国が人工知能(AI)やその他の技術を習得すれば成果が高まるという同氏の見方は正しい。それ自体、国のためにやる価値があるだろう。
ただ、そうすれば有権者が元気になるという考えは精査する必要がある。選挙で何度も勝利を収めたあらゆる指導者と同様、大衆心理の不合理な面を多少なりとも知っているに違いない同氏にしては、これは奇妙なほど合理的な想定だ。

ブレア氏、オーストラリアのハワード元首相、米国のレーガン元大統領、フランスのミッテラン元大統領。一つの時代を象徴する人気の政治家、あるいは威厳ある政治家とさえ呼べるような大物はかつてはよくいた。
ドイツのメルケル前首相が最後だったのかもしれない。そのような政治家がいなくなったのは、これほど大きく異なる国々で政府の上げる成果が同時に悪化し、それに従って有権者が政治家を罰しているからではないはずだ(後から振り返ると、メルケル氏がどれほどうまく統治したのかも疑問だ)。
西側全体に共通する点が一つあるとすれば、それは政治の需要側だ。こうした国の有権者は皆(第2次世界大戦が終結した)1945年以来ずっと、平和で経済発展が悲惨ではない時代に人としての生涯を送ってきた。その輝かしい偉業がもたらした究極の結果として、我々市民を喜ばせるのが難しくなった・・・

資料の整理、少し片付けました

2024年10月28日   岡本全勝

仕事に関する資料や関心ある記事など、直ちに処理しなくても良い資料が、たまってしまいます。9月のイギリス旅行中の新聞記事などは、1週間かけて切り取り、3週間かけて整理し終えました。切り取った記事は、行きと帰りの電車中で読みます。多くは読んで捨てたのですが、気になる記事は半封筒に入れ、順次、このホームページで紹介中です。

そのほか、職場で回ってきた参考資料やインターネットで見かけた気になる記事が、半封筒に入っています。
「暇になったら読もう」と置いてあるのですが、そんな日は来ません。時々、思い立って取り組みます。結構時間がかかります。このほかに、気になって買った本も・・・。
原因は、追いつかないほどいろいろなものに関心を持ち、ため込むことです(反省)。脈絡なく溜まっているので、それぞれの資料を読む際に、頭の切り替えが必要なのです。でも、それが私を作っているのですから、仕方ありませんね。

どんどん入ってくる(気になって読みたくなる)情報(文章)を読んで、捨てるもの、利用するものに分別します。利用方法は、覚えておくこと、ホームページに載せること(かつてはメモにしたり分野別の半封筒に保管しました)、原稿などに活用することです。
この分別は、私の関心(仕事から勉強や趣味まで)で行うので、他人や機械に委託することはできません。「人工知能(AI)がやってくれる」という人もあるでしょうが、機械は過去の私の関心事項から選択します。新しい興味は、機械は選べないでしょう。「今まで通りしない」。それは、時にまちがいをすることですが、それが人間の脳です。

と、このように書いているのは、少々頑張って溜まっていた資料を片付けたのです。