岡本全勝 のすべての投稿

経済財政諮問会議「政府機能の見直し」国の出先機関の地方移譲など

今日28日に経済財政諮問会議が開かれ、「政府機能の見直し」が議題になりました。
「国と地方の仕分け」にあっては、国の出先機関の地方移譲が議論されました。昨年5月25日に諮問会議民間議員が、21万人いる出先機関職員を、国に残すもの10万人、地方へ移譲するもの10万人とに切り分けました。それを基に、地方分権改革推進委員会で検討していますが、委員会から全国知事会に、検討を再依頼しました。その結果が、このHPでも紹介した、2月8日の知事会案です。今日は、麻生知事会長と山田京都府知事が諮問会議に出席し、その案を説明されました。
民間議員は、知事会案を高く評価し、次の工程を提案しました
分権改革推進委員会で議論を加速し、仕分けの基本的考え方などを「骨太の方針2008」に盛り込む。さらに、分権改革推進委員会から、権限、組織・定員等を含めた出先機関改革の具体案を提示してもらい、これを実現するための計画を政府は平成20年度内に策定する、というものです。
またそこには、「各省は地方移譲について反対とのことであるが、現行の組織と職員をあわせて移譲することにより、事業執行についての不安は払拭されるはずであり、どのような弊害が具体的に生じるかを明確に示す義務がある」とも指摘されています。
総理からは、「国の出先機関の改革は、丹羽委員長が大変苦労をしておられる。これは、ぜひ精力的に審議を進めていただいて、地方出先機関改革の全体像を示してほしい」との発言が、あったそうです。
こうして国と地方を仕分けした後、国に残ったものについては、官と民の仕分けをします。それが市場化テストで、これについては対象を拡大することを提言しています。そして次に、現在の事務をスリム化するだけでなく、新しい事務の無用な拡大を防止するため、規制を新設する際のチェック強化を提言しています。

日本の停滞、イギリスの見立て

2月27日の日経新聞に、イギリス・エコノミスト誌の特集記事が、紹介されていました。「なぜ日本は失敗し続けるのか」です。
「・・日本経済が回復できないのは、改革の歩みを止めた自民党、党内の意思統一ができない民主党など「政治家」が元凶だと指摘した・・日本停滞の責任の一端は増益を記録しながら賃金を引き上げない企業にもあると指摘。改正建築基準法による住宅着工大幅減など官僚の失敗にも言及した・・」
20年以上前だったら、イギリスに、このような見立てをしてもらうことは、あり得なかったですね。「老大国」と言われたイギリスの復活が、うらやましいです。

中先生のコンサート

今日は、中博昭先生のコントラバス・コンサートへ行ってきました。先生は、元N響の首席コントラバス奏者です。私が富山県勤務の時、魚津短大の学長をしておられました。なんと、下手なフルートで一緒に演奏させてもらったこともあります。その時は大勢でした。先生から楽譜を渡され、「これを練習して、一緒に合奏しましょう」と言ってもらいました。残念ながら、私が一定水準に達せず、そのご指示は守れませんでした。
楽壇生活50年!77歳のお祝いをかねての会でした。演奏会の後は、場所を変えてパーティーへ。魚津から応援団が大挙して押しかけていて、それは賑やかでした。「今日は、フルートを吹かないの?」とか聞かれ、最近の練習不足を反省しました。

世界経済の変化

2月19日の日経新聞経済教室「最高・基軸通貨ドルの行方」で、ウォーラーステイン氏(世界システム論で有名)が、「世界システム、多元的に。覇権の維持難しく。崩れる世界経済の優位性」を書いておられます。歴史と地政学と経済学から、大きな流れて分析してあり、勉強になりました。
そこで学んだことの一つに、世界経済の歴史区分があります。私は、日本の経済を、戦後から石油ショック(1978年)までの高度成長期、石油ショックからバブル崩壊(1991年)までの低成長期、その後現在までのデフレ期の、3つに区分して説明しています。1945年から1955年までの戦後復興期を入れると、4期です。
ウォーラーステイン氏は、1945年から1973年までを第1期として、コンドラチェフの波の上昇期とします。これに続く1970-73から現在までの第2期が、コンドラチェフの波の後退期に当たります。第1期は日本も驚異的な経済発展を遂げましたが、西欧もまた同様で、世界経済の生産と利益が驚異的に拡大しました。第2期は、工業生産の収益性の低下と低賃金地域への工場移転、世界的な失業率上昇と資本大国(日米欧)による雇用喪失の負担の押し付け合いになったこと。工業生産から金融市場での投資・投機へと向かう資金フローの変化とそれに伴う長期的バブルの生成、国家間や各国内での所得配分の顕著な二極化などを指摘しています。
私は、1978年以降の日本経済を、バブル前後で二分しています。しかし、このように世界経済から捉えると、世界経済全体の変化があり、前半は押し付け合いゲームで勝っていた日本、後半はそれに負けた日本、という構図が見えてきます。日本経済の変化も、日本独自による部分と、世界経済の変化によるものと、二つに分けて説明しなければなりません。そして、不可避の部分と、対応可能なものとを分析しなければなりません。
そのほか、地政学的的な分析もあり、なるほどと思うことが多かったです。

道路特定財源と分権

232日の朝日新聞に、片山善博前鳥取県知事の、道路財源についてのインタビューが載っています。
・・道路が要るか、要らないかという議論はほとんど無意味。要る道路は要るし、要らない道路は要らない。1本ごとに審査し、教育など他の施策とどちらが優先度が高いか議論すればいい・・
(多くの首長が暫定税率維持を訴えていることについて)
そう言うのは、自治体の財政しか頭にないからだ。「民のかまどを考えたら減税を」という主張が少しでも出るのがバランスというものだが、知事会にそんな人はいないし、市長会も(暫定税率維持を求める署名をしなかった)6人以外は国土交通省の言う通り。残念だ・・地方6団体は総務省の外郭団体。情けない。この間まで、三位一体改革で「一般財源化しろ。自由をよこせ」と言っていた人たちが「道路にしか使えないように縛って、縛って」。緊縛趣味のマゾヒストですよ・・