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日本の官僚は内弁慶

日経新聞経済教室「ゼミナール」が、「公務員制度を変える」を連載しています。23、24日は、アメリカとフランス・ドイツの紹介でした。もっとも、これは政治任用との関係についてであって、公務員制度全般についてではありません。政治任用との関係では、このHP(2005年9月19日の項)で紹介したように、人事院の報告書が詳しいです。

省庁再々編

最近、省庁再編の議論が出ています。前回の再編経験者として、意見を求められることがあります。何度かこのHPでも書きましたが、ここで私の考えを整理しておきます。私は、もう一度再編をするなら、哲学が必要だと思っています。
(局の再編はカルタ取り)
今議論になっているような、担当業務・局を課題に従って再編することは、必要なことです。どんどんやればいいと思います。企業や地方団体は、しょっちゅうやっています。しかし、それはいわば並び替え、「カルタ取り」です。100ある局を、どう13省に組み替えるかでしかありません。前にも言ったように、家の間取りの変更です(「省庁改革の現場から」p192)。これは、省庁再編の軸とすると、第3番目です。
ただし、前回の再編は小さな政府を目指し、省庁の数を半減させました。今度新しい組織を作るとするなら、14番目の省=純増にするのかです。増やせばいい、となれば簡単ですが。小さな政府を目指すなら、この総数は守るべきでしょう。すると、新しい省をつくったら、代わりにどこかを減らさなければなりません。再編を提言する方には、「それは純増ですか」「省の総数を増やさないとしたら、どこを減らすのですか」と質問してください。
このような組み替えは、官僚に任せると現状維持か焼け太りになるので(自分の省が小さくなる案には反対します)、有識者の意見を聞いて、政治家が責任を持って、決断するしかないと思います。
(政治主導への対応)
では、第2番目は何でしょうか。それは、政治主導の強化に対応した組織改革だと思います。簡単には、内閣官房・内閣府のあり方検討でしょう。官邸を支える内閣官房・内閣府、そしてその機能を期待されながら効果が見えない総務省を含め、官邸を支える官僚機構をどうするかです。
内閣官房・内閣府には、この6年間、それなりに機能を発揮してきました。そのために、いろんな組織ができています。再チャレンジもそうですが。これからも、時代と社会の変化に対応するため、このような組織は次々と生まれるでしょう。しかし、それらをいくつもぶら下げたままでは、内閣官房・内閣府は、お化けのような組織になる恐れがあります。これらを順次、各府省に移植する必要があります。それが省庁再編につながるなら、それは意味があります。また、13省庁からの出向者で、臨時的な組織を生み続けるのか。これも課題です。新しい課題に対し、内閣として取り組む場合の、官僚機構・システムの問題です。
(霞ヶ関のあり方)
そして、第1番の軸は、霞ヶ関=省庁の仕事のあり方だと、私は考えています。何度か書いたように、この100年間、日本の行政は業界振興を仕事としてきました。それは、産業界・建設業・農林水産業だけでなく、教育業界なども含めてです。これからは業界振興でなく、そのルールを作ることと、消費者である国民の保護が、行政の主たる仕事だと考えています。また、民間にできることは民間に任せ、地方にできることは地方に任せればいいのです。発展途上国の行政から脱皮すること、これがたぶん、次の省庁再編の軸の一つになるのでしょう。また、それくらいでないと、省庁改革とは言えないと思います。私のいう哲学とは、このような意味です。

日本の官僚は内弁慶

21日の朝日新聞「水平線/地平線」に、吉岡桂子さんが「国際機関の長、ねらえる人材磨け」を書いておられました。国連など国際機関の職員に日本人が少ないことは、よく知られています。その事務局長にも、日本人は少ないのだそうです。それらのポストは、年齢では50代後半で、政治家や事務次官・局長を務めた人がほとんどだそうです。そして、そのポストを取るためには、会議に何度も顔を出して、人物を知ってもらう必要があるとのことです。そのようなポストを取るとしたら、若いときから送り込むことが必要なのでしょう。
ここで私が言いたいのは、日本の官僚は内弁慶だということです。国際機関、国際社会で活躍しようとする人は、少ないのです。それは、官僚の出世コースになっていないのでしょう。「官僚は黒子」といえばそれまでですが、こんなところでも「輸出」が少ないのは、発展途上国なのですかね。
国際機関だけでなく、国内でも「対外試合」をしない。これは日本の官僚の悪いところです。身内だけで議論して、ムラ社会で威張っている。もちろん、日本の中でしか議論をしていない私も、その一人です。他人を批判する資格はありません

気を遣うこと

いろいろ考えることがあって、書く話題には困りません。しかし、思うことをそのまま書いても、読んでいただけませんから、テーマを選ぶ必要があります。もちろん、実名で書いているので、それなりに気は遣います。現在でも、このHPは、官僚が実名で仕事関係を書く、数少ないサイトのようです。
読みやすく書くのは、結構頭を使います。いろんな職種、年齢の方が読んでおられるので。印刷物でなく画面であることから、文章を短く、句読点を多めにしています。分量を考えると、あまり深くは掘り下げることもできません。青山記者には、「全勝さん。最近あなたの書く論文は、ブログみたいな(短くわかりやすいが、奥行きのない)文章になっているね」と批判されました。
つまらない日々の暮らし(日記)にも、おつきあいいただき、ありがとうございます。私生活を一部とはいえ、公開することは、恥をさらすようなものです。しかし、知人には近況報告であり、若い人には「先輩はこんなことをしているのか」という実例紹介だと思って書いています。

実況中継

このHPは、大学での受講生への連絡のために作ったのですが、その後、仕事を紹介することが多くなりました。まずは、地方行財政、特に三位一体改革の実況中継が主になりました。そのほか、法律ができるまでとか国会というところも、仕事の実況中継でした。ただし、実況中継はその時は意味があるのですが、時間が経つと、過去の記録になっています。新しくページを見てくださる方には、読みにくいものになっています。それらのインデックスを作り、総括を書かなければ、現在では利用価値は少ないです。リンクの混乱も、まだ完全には修復していません。作りかけで放置したページもいくつか・・・。最近は、日本の政治と行政の解説が多くなっています。