岡本全勝 のすべての投稿

出先機関見直し、官僚の対応

3日の日経新聞は、「地方分権に官庁の壁、出先機関見直しで激論」を解説していました。各省が主張する「国が行わなければならない理由」に対し、丹羽委員長らが反論し、「ふまじめだ」と激怒している状況が、書かれています。
ある記者さん曰く、「この理由では、官僚の評価を落としますねえ。本人も、こんなことを、本気で思っているのでしょうか」

世論調査

今日は朝から、共同通信社の世論調査を受けました。先日、郵便で「選挙人名簿で無作為に選んだところ、あなたが選ばれた。土日に調査員が伺います」という知らせをもらいました。記者クラブの浜本記者に「当たった」と報告すると、「珍しい。この勢いで、宝くじを買ったらどうですか」と喜んでもらえました。前回の調査を見ると、全国250か所で3,000人を選んだとのことですから、かなりめでたいことですね。
問は、内閣支持・支持政党という定番のもののほか、景気、増税、裁判員制度でした。郵便には「引換証」が入っていて、これを調査員に渡すと、グッズがもらえるのです。調査員がちゃんと調査したかを確認する、優れた方法ですね。
問に答えたあと、今度は私から調査員に逆取材。何せ、滅多にないことですから。調査員一人で、何人くらいを受け持っているのか、何人に会えたか、回答はもらえたかなどなど。住所と氏名だけで訪ねていくので、家を確認するのが大変な場合があるとのことです。私の場合も、住宅地図に載っていなかった(引っ越して新しい)、表札が出ていない(住居表示板を出しているだけ)ので、昨日はわからなかったとのこと。「こんなにスムーズに答えてもらったのは初めてです」とおほめをいただきました。
その後、税金の申告書を、税務署まで出しに行きました。杉並区は住基カードをもらえないので、電子申告ができないのです。税務署は、自転車ですぐです。そして、キョーコさんに言われて、スーパーまで買い物にも行きました。それぞれ、社会人としての責務、国民としての責務、家族としての責務を果たした休日です。といっても、ほんのわずかですが。

規制の新設

28日の諮問会議では、規制の新設過程のチェックも議論になっています。現在ある事務事業をスリム化しても、新たに仕事を増やしては、尻抜けになるからです。
新たな規制の新設には、事前の政策評価が義務付けられれています。昨年3月に政策評価法施行令が改正され、項目が追加されたのです。しかし、民間議員ペーパーでは、自己評価であることなどの問題点が指摘されています。
課題の一つは、所管省の評価だけでよいかということです。規制は、いろんな方面に影響を与えます。例えば、過度の安全規制は、経済に悪影響を与えます。伊藤隆敏先生が、3月1日の日経新聞で、空港外資規制見直しについて、次のように述べておられます。
・・市場原理をうまく機能させるためには、規制をすべてなくしてしまえば良いというわけではない。安全保障など国の根幹にかかわる部分を守るために必要な規制もある。その際には、最小限で最も効果を上げられる規制のあり方を、慎重に探る必要がある。
所管省庁だけが縦割りで検討するのではなく、政府の規制改革会議や経済財政諮問会議の場を活用して、省庁横断的に多様な観点から規制の影響を分析・評価して判断すべきだ・・
もう一つは、規制の増殖をどう抑制するかです。
官僚の力は、金・組織と人・権限の3つだと言われます。お金については、財務省主計局が予算査定によって管理しています。組織と人については、総務省行政管理局が組織定員査定で管理しています。権限(許認可・規制)については、統一して管理されていません。もちろん、お金や人と違い、規制は数字で数えることは難しいという性質もあります。
大きな政府と小さな政府が議論になる際、日本は予算と定員では諸外国と比較して、大きな政府ではありません。しかし、この規制の量と範囲、そして国民がどれだけ官に頼るかが、大きな政府イメージをつくるのだと思います。

講演録やインタビュー

(3)官僚論
インタビュー「官僚論月刊『時評』2004年10月号

高橋 潤二郎先生との対談「行政改革と地方自治」、季刊「ユニバーサルデザイン」17号(2005年11月)
私の発言の見出しは、「こんなんじゃ日本はぜんぜん変わらへんやないか、官僚がこんなんでええのか」です。先生の発言の見出しは「新しい時代には、新しい思考の枠組みをもつ官僚が日本を背負うべき」です。この記事を見た職員は、「実物よりよく写ってますね」と言ってくれました。喜んで良いのかどうか・・。
今回の「場違いな対談」は、先生が拙著「新地方自治入門」を読んでくださって、「おもしろい、官僚にもこんなのがいるのか」ということで、ご指名をいただいたそうです。一般の書店には並んでいませんが、ご関心のある方はお読み下さい。
先生は、「岡本さんは、東大法学部ですか」と聞いてくださいました。「あなたの物の見方は、法学部ではないですね」という指摘です。これも喜んで良いのかどうか・・。私が「大学時代は、法律以外に政治学と京都大学人文科学研究所の今西錦司・梅棹忠夫・加藤秀俊先生らの著作を読んでました」といったら、先生も納得してくださいました。

学生の緊張と感激―教育水準を保つ工夫― 消防庁広報誌『消防の動き』2010年3月号巻頭言)

「最高の教育訓練のために-学生の負担が増え学生が喜ぶ授業」2010年9月、『消防大学校学友会報』第114号

「巻頭言」月刊『自治フォーラム』2011年1月号(第一法規)
自治大学校での研修の在り方について述べました。

政府機能の見直し・国の出先機関の地方移譲など

昨日の諮問会議、出先機関地方移譲については、29日の日経新聞朝日新聞が大きく取り上げていました。そこでは、「省庁の抵抗、必至」「官反発、予算・ポスト直結」という見出しがついています。
また、読売新聞は、地方分権改革推進委員会の解説として、出先機関見直しを取り上げていました。
記者さんとの会話
記:いよいよ進みますかね。総理の指示も出ましたし。
全:それは甘いで。新聞に書いてあるように、霞ヶ関は大反対らしい。
記:なぜ、反対するのでしょうか。だって、職員の身分が、国家公務員から地方公務員になるだけでしょ。
全:そうなんよ。地方機関の職員の大半は地元採用で、勤務地も変わらないんだけどね。
記:首を切るとか、事業予算が減るとかと違いますよね。行革といっても、国民生活にな~んにも影響ないですよね。リストラを進めてきた民間企業からすると、理解できませんよ。
全:そうだろうね。伊藤忠で大リストラをしてこられた丹羽会長からすると、理解不能だろうね。
記:受ける知事会は、引き受けても良いと言っているし。クビを切るわけでもないでしょう。反対する官僚は、エゴとしか見えないんですけど。
全:そう言われても仕方ない。
記:決めるのは誰ですか。
全:それは、総理だ。官僚は内閣の従業員で、各省の組織は内閣の下部組織だから、社長である総理が決めること。官僚が反対しているけど、それは従業員の抵抗であって、この場合は被告人でしかない。被告人が決定権を持っているわけではないのよ。
記:官僚が国家の将来を考え、彼らが決めているというのじゃないのですね。
全:日本国憲法には、そんなことは書いていない。行政=内閣の責任者は総理であって、官僚は従業員。
記:でも昔は、官僚が日本を引っ張っていったのでしょ。なぜ、官僚は、国家を考えなくなったのでしょう。
全:近年の官僚は、そういう訓練を受けていないんだろう。「大連載」の3月号と4月号に、そのあたりを解説しておいたので、読んでね。