15日から日経新聞「やさしい経済学-経営学のフロンティア」は、金井寿宏教授の「リーダー育成の連鎖」を連載しています。
17日は、「721の法則」です。リーダシップが発揮できるようになる上で有益だったのは、7割が仕事上の経験、2割が上手な人を通じての薫陶、1割が研修ということです。研修やセミナーが役に立つ割合は、とても低いです。
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日本語とワープロ
YOMIURI PC編集部『パソコンは日本語をどう変えたかー日本語処理の技術史』(2008年、講談社ブルーバックス)が、勉強になりました。
かつて、ワープロを作る際に、日本語が科学的に分析できていなくて、技術者が苦労したという話を聞きました。どのように、文字を入力するかです。アルファベットを使っている言語は、26文字を、キーボードで入力すればいいのです。タイプライターです。もちろん、大文字と小文字やコンマやピリオド、改行なども必要です。
しかし、日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を使うので、これら3種類が必要なのと、漢字が膨大で、キーボードで入力できないのです。日本語タイプライターは、普及しませんでした。現在は、ローマ字で入力して変換する方法が、主流です。でも、変換が、これまた難しいのです。同音異字がたくさんあります。
その次に、皆さんも経験あるでしょうが、変な語句に変換されることです。漢字を一つ一つ変換していけば、そんなことは起こりません。しかし、それでは面倒です。一つの文章や、文節で変換すると、「え~」というような変換が起こります。
「バブル」と打った後に、「のじだい」と入れると、「野路代」と変換された経験をお持ちでしょう。今は、「の時代」となりますがね。
名詞が主で、その後に付く助詞は従なのです。話している時も、「の」はその後の「時代」につくのではなく、その前の「バブル」に付くのですよね。同音異字・同音異義語の変換をどうしたら早くできるか。文脈の中で最適の語をどうして探すか。このような分析は、国文学は役に立たず、技術者が解決していったのです。
わたしは、かつて、音声入力を使っていたこともあります。マイクに向かって読み上げると、パソコンが文章に変換してくれるのです。その際にわかったのは、一語一語では、変換できないのです。前後の文脈からパソコンが良さそうな語を探してくれます。「のじだい」では、パソコンは困ってしまいます。「の」「じ」「だ」「い」と区切って発音したら、パソコンはさらに困ってしまいます。文章は、単語が単に順番に並んでいるのではなく、前後の意味の中で並んでいるのです。
日本語がワープロを進化させ、ワープロが日本語を分析しました。そのほかにも、興味深いことが書かれています。
軍事侵攻の経済的影響
ロシアがグルジアに軍事侵攻して以来、経済が大きな打撃を受けていることが、ニュースになっています。15日の読売新聞は、国外投資家がロシアから資金を引き揚げ、その額は約3兆円になると伝えています。ロシアは1998年に金融危機に陥りましたが、その後、エネルギーの高騰で好調な経済を維持してきました。しかし、今回の事件で、株は半分近くになり、通貨は10%近く下落しました。
軍事力を使うと、どのような影響があるかの例だと思います。(2008年9月15日)
(指導者の育成)
14日の日経新聞「風見鶏」に秋田浩之編集委員が、「短すぎる助走期間」として、次のような主張を書いておられます。
中国では、胡錦涛国家主席の後継者として、習近平副主席(55)と李克強副主席(53)とを競わせている。民主的ではないが、2012年の共産党大会まで、指導者の選抜試験が続く。アメリカでは、大統領予備選挙などを通じて候補者が鍛えられる。
ひるがえって、日本はどうか。公約なら、有能なブレーンを駆使し、体裁を整えられるかも知れない。だが、総裁候補がどこまで首相に求められている胆力を備えているのかは、約2週間の総裁選挙ではわかるものではない・・
行政訴訟を使いやすく
9月10日に最高裁判所が、土地区画整理事業の計画取り消しを求める訴訟を、認める判決を出しました。これまでは、計画段階では実際の権利侵害が生じていないという理由で、訴えが認められなかったのです。判例が変更されました。
その背景には、司法制度改革で、公権力の行使をチェックする行政訴訟を使いやすくしようとする流れがあります。これまでは、「行政のすることはひとまず間違いない」という前提だったのです。しかし、土地区画整理事業などは、実行されてからでは元に戻せない、戻そうとすると膨大な費用と期間がかかるので、事実上戻せなかったのです。
税より重い保険料
13日の朝日新聞が「税より重い社会負担」を解説しています。サラリーマン世帯の9割以上で、年金・医療保険料が、所得税・住民税・消費税負担より大きいのです。増税は国民の反発を受けやすく、保険料だと抵抗が少ないからです。
これらは、別々に考えられてきたのですが、国民にとっては「同じ負担」です。1997年に、消費税と保険料の増額が別々に決められ、全体像を考えていなかったこともありました。
さて、そこでも触れられていますが、年金は現役世代から高齢者への所得再分配ですが、高齢者ははるかに多く資産を持っているので、年齢軸での負担も図にするとわかりやすいでしょう。