岡本全勝 のすべての投稿

認知考古学

松木武彦著「進化考古学の大冒険」(2009年、新潮選書)を読みました。人間の心・認知の仕組みはどう進化してきたか。遺跡や遺物から、推測するのです。
ヒトの体と心の基本設計はどう環境によって作られたか、美意識はどう生まれたか、縄文から弥生土器へと形はなぜ変化したか、狩猟革命と農耕革命、民族の誕生、巨大なモニュメント、文字。これらの人類史的意義と、日本の場合を議論しておられます。事柄の性格上、そうなのかなと思うところもありますが、面白かったです。

おだやかな2月

東京は、昨日今日と天候に恵まれ、おだやかな休日でした。今年は例年になく天気が悪く、もう9回も雪が降ったそうです。といっても、富山県に比べれば、雪と言うほどのものではありません。
わが家の椿も、少しずつ花を開き始めました。今年はつぼみがたくさんついているので、楽しめそうです。
ご近所の家が取り壊され、整地されました。大きな夏みかん、ビワ、桃、カリンの木など、うっそうと茂っていて、小鳥たちの楽園でした。すべて切り倒されました。梅の老木は、花が盛りだったのですが。

事実の追求と国民的議論の片付け方・イギリスの独立調査委員会

18日の朝日新聞が、「イラク戦、独立調査委員会。英国式戦争のけじめ。前・現首相も公開喚問」を解説していました。次のような内容です。イギリスで、イラク戦争を検証する、独立調査委員会が開かれています。世論や野党の突き上げで、ブラウン首相が設置しました。歴史学者や元外交官ら5人で、構成されています。イギリス国会は強い調査権を持ちますが、二大政党制の下で、手順などをめぐって対立が起き、うまくいかないことが多かったそうです。そこで、政治的に中立で、一般の人から尊敬される議会外の「賢人」に調査を委ねる方式が生まれたのだそうです。もちろん、調査委員会にかけるということが、政治的意図を持つので、完全な中立はあり得ないのでしょうが、一つの知恵ですね。アメリカではニクソン大統領の時に、ウオーターゲイト事件の究明のために、特別検察官を任命したことを思い出します。政策ではありませんが、行政の検証として、日本でも、年金記録問題の調査のために検証委員会がつくられました。これについては、「行政構造改革 第二章第四節1政治の責任(2)行政組織の管理と業績の評価」で議論しました。

経済活動の基盤づくり・税制

19日の日経新聞が、「海外の稼ぎ、国内へ。企業の配当、非課税化で22%増、09年4~12月」を伝えていました。
これまでは、日本企業が海外で稼いだお金を配当として日本に戻すと、最高40%の税金がかかりました。それを避けるために、企業は現地法人に内部留保を貯めます。その額は2007年に、20兆円にもなっていました。
2009年度の税制改正で、4月から、海外からの配当をほぼ非課税にしました。すると、この記事の見出しにあるように、4~12月に海外子会社や現地法人から国内に戻ってきた配当は、約2兆円と前年同期に比べ2割増えたのです。
当時、「そんなことをしたら、税収が減る」という意見も聞きました。でも、日本に返ってこない限り、課税はできません。日本に返ってきたら、そのお金は消費に回るか、投資に回ります。それが、日本経済を活性化します。そして、その時点で課税されるのですから、税収の面から見ても、問題ありません。
このように、税制というのは、経済発展のための重要なインフラです。

新しいトラックをつくる・石井裕さん

(新しいトラックをつくる・石井裕さん)
日経新聞2月19日夕刊「人間発見」、MITメディア研究所副所長、石井裕さんの発言「出すぎた杭は打たれない」から。
・・真の競争は、100メートルを早く駆け抜けることではありません。競技トラックもストップウオッチも、競技のルールすらない原野をただ一人で孤独に耐えて走り、そこに新しいトラックをつくっていくことにあります・・