岡本全勝 のすべての投稿

便利になるのか複雑になるのか・テレビの進化

今日土曜日は、朝からケーブルテレビの切り替え作業でした。アナログ放送が来年停止します。デジタル放送だけになるのを前に、ケーブルテレビ会社が、機能を切り替えるそうです。わが家は、15年も前のテレビですが、一度修理しただけできれいに映ります。ある電器メーカーの製品ですが、修理に来たメーカーの方が、「これが、日本で作った最後の型のテレビです。当分きれいに映るでしょうから、大切に使ってください」とおっしゃいました。その後、故障もしないので、来年のデジタル化に合わせて買い換えようと思っていました。
ところが、ケーブルテレビだと、チューナーも会社が換えてくれるので、テレビを買い換えなくても、今日からデジタル放送を見ることができます。うーん、悩ましいところです。
ところで、今回またリモコンが大きくなり、ボタンの数が増えました。困ったことです。私は、国営放送のニュースと「ダーウィンが来た」くらいしかテレビを見ないので、たくさんチャンネルがあっても困るのです。
夕方からは、総務省の後輩の結婚式に出席。スピーチをして、新郎を褒めてきました。二人で幸せな家庭をつくってください。

数字にできるもの、できないもの

例によって、放ってあった本を、布団の中で読みました。坂上孝ほか著「はかる科学」(2007年、中公新書)です。この本にも紹介されていますが、クロスビー著「数量化革命-ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生」(2003年、紀伊國屋書店)を読んだ時は、目を開かれた思いをしました。ヨーロッパが世界に先駆けて「進化」したのは、時間(時計と暦)、空間(地図、海図と天文学)を数量化し、さらには音楽(楽譜)や簿記といったものを発明したことに起因すると述べていました。時間、距離、重さ、量などを、数字化したのです。その他、温度や明るさ、早さ、地震の大きさ、血圧に尿酸値など、科学技術はたくさんのものを、測るようになりました。
一方、測ることができないものも、たくさんあります。そして、表現しにくい、伝えにくいものも。
感情は、測ることも、伝えることも難しいです。悲しさ、うれしさは、「死ぬほど」とか「飛び上がるほど」と言いますが、その程度は本人しかわかりません。いくら同情されても。「あなたなんかにわからない」です。と言いつつ、時間が経つと、本人もその程度を忘れてしまいます。「死ぬまで忘れない」という恨みもありますが。
モノの価値はお金で計るようになりましたが、喜びや満足は、なかなかお金では測ることはできません。「金に換えられない」という言葉があります。「人の値打ちは金で計れない」とか、「かけがえのない命」も。
奥さんの優しさなども、数字で表せないですよね。「1キョーコ」「2キョーコ」といった単位があれば便利ですが。「私がこんなに愛しているのに・・」と言われてもね。夫の愛情を、指輪のダイヤモンドの大きさで測る女性もいるようですが。
音の高低や長さは数量化されましたが、メロディの心地よさは数量化されていません。人によって好みが違います。絵画もそうです。フィギュアスケートは、採点します。しかし、美しさを直接測ることはできないので、いくつかの採点基準を決めて測ります。
肌の痛みは、ある程度、各人に共通です。注射針の痛みは、たぶん共通でしょう。でも、「1注射」あるいは「3痛み」なんていう単位は、まだないのでしょうね。
客観的で、みんなが「触ることができる」ものでも、数量化できていないものもあります。匂いが代表でしょう。ワインも、フルーティだとか干し草のようなとか、比喩でしか表現されません。日本酒の「辛さ」は数量化されましたが、おいしさそのものは数量化されていません。ビールののどごしも。肌触りも、伝えにくい、数量化できないものでしょう。暖かい毛布の肌触り、冷たい金属の表面、ぱりっと乾いたタオル・・。

「明るい係長講座」

富山県庁で、購入できなくなりました。
この小冊子を元に、時事通信社の専門誌『地方行政』で、「明るい公務員講座」として連載しました。また、単行本にしました。「明るい公務員講座のページ

1996年、富山県職員研修所刊(2011年、?刷り)
これまで、いろいろなところで、組織管理を経験しました。「明るい係長講座」は、富山県総務部長の時に、研修会でしゃべった内容を、小冊子にしたものです。笑いながら読めて、中間管理職のコツがつかめます。
職場での部下の悩み、上司の悩みは尽きません。しかし、本人にとっては「大事件」かも知れませんが、経験者から見ると、案外簡単なことで悩んでいる場合が多いのです。私たちは、「人類始まって以来の大事件」には、そうは出会いません。パニックになったり、一人で抱え込んだりせずに、その道の先輩に聞きましょう。

「明るい係長講座」増し刷り
拙著といっても小冊子ですが、「明るい係長講座」(初級編、中級編)が、増し刷りされました。ありがたいことです。富山県職員研修所に、お礼を言います。「部下に読ませています」といったお話しも、時々いただきます。使っていただいている、ということですね。
平成8年に出たので、もう14年も前のことになります。「パソコンが職員一人に1台ずつ行き渡り、電子メールで便利になるでしょう」といった記述もあるくらいです。うーん、時間が経つのは早いですね。
「続編を書いて欲しい」「おわびの仕方を書いてください」「いやな上司に仕える場合は、どうしたらよいのですか」などなど、ご要望も多いです。いろいろ温めてはいるのですが、ほかのことが忙しくて。申し訳ありません。これも、将来の宿題です。(2010年3月3日)

「明るい係長講座(初級編)」
目次
1 自信を持とう
2 明るい職場
(1)いつもニコニコ明るい上司-職場の雰囲気についてー
(2)おはようございます-あいさつの効用について-
(3)北風と太陽さん-部下の指導について-
3 楽々職員術
(1)一人で悩むな抱えるな-仕事の進め方について-
(2)メモを使え-正確な報告について-
(3)家族にも分かる文章-文章の作り方について-
(4)傾向と対策-説明の仕方について-
4 中味と器
(1)人は外見で判断される-身だしなみについて-
(2)書類の山に埋もれるな-職場環境について-

「明るい係長講座(中級編)」
目次
1 よい上司になるためには
(1) 任せる上司は大物か-部下への委任について-
(2)ドタバタするよりスケジュール-業務の進行管理について-
(3)口伝よりマニュアル-引継書と事務処理要領について-
(4)何を切り捨てるか-優先順位について-
2 自分を磨く
(1)視野を広げよ-判断力の養い方について-
(2)私の発想法
3 心と体の健康
(1)新説アリとキリギリス-社会人として-
(2)誰にも悩みがある-心と身体の健康について-

消防関係のサイト

インターネットで調べていたら、消防関係のホームページって、たくさんあるのですね。消防本部が作っているのは当然として、関係者がいろいろ専門的なホームページを作っておられます。
先日、「火災調査探偵団」の作成者さんと、お会いする機会がありました。「私のホームページで宣伝しますわ」と請け合ったので、今日ご紹介します。
このサイトは知っていたのですが、匿名なのでわかりませんでした。でも、私の周りの人にきくと、「みんな、作者は誰か知っていますよ」と有名でした。そりゃ、これだけ専門的なことを書ける人は、少ないですわね。情報量の多さに、脱帽です。
火災原因調査を見ると、いろんな物から火が出るのですね。消防署の訓練なども、お勧めです。日記のページも。

日本はどこへ行くのか・その5

リーダーには、目標(戦うべき敵)を示すことと、その道筋を示すこと、そして国民に納得させることが期待されると述べました。
どのような国と社会をつくるのか。キャッチアップ型発展に成功したので、もはや「欧米」といった便利なお手本はありません。目標にしろ、道筋にしろ、いろんな課題に取り組み、成功と失敗を繰り返しながら見いだすしかありません。具体的には、これからの試行錯誤の過程を経て、見えてくるのでしょう。しかし、基本的にしなければならないことは、見えています。それは、次のようなものです。
1 まず、リーダーと国民は、何と戦わなければならないか。すなわち、克服しなければならないことは何かです。
実は、目標を示すことより、戦うべき敵を示すことの方が重要です。なぜなら、日本を成功に導き、そして停滞をもたらした要素は、日本人の思考形態であり、日本社会の構造だからです。これは、これまでの「国際環境」と「国民」で書きました。敵は内にあるのです。「坂の上の雲」でなく、我が内なる病巣です。
しかし、自らの欠点を認め改革することは、困難なことです。しかもその要因が、かつての成功をもたらしたのです。関係者は、それを否定されることを拒否します。その仕組みに依存している既得権益者も多いのです。
戦わなければならない日本人の思考形態、日本社会の構造の一つは、繰り返しになりますが、「キャッチアップ型思考からの脱却」です。
日本は多くの面で、世界最先端の国になりました。日本がトップランナーになったのです。すると、先駆者として、新しい課題に最初に直面するのです。例えば、日本は世界一の長寿国です。そこで、どのようにして、高齢社会を活力あるものにするのは、日本が実験するのです。お手本はありません。
この点について、小宮山宏元東大総長が、「課題先進国日本」と言っておられます。「課題先進国日本―キャッチアップからフロントランナーへ」(2007年、中央公論新社)。
そして、お手本を見て追いかけることに比べて、試行錯誤は効率が悪いです。それに、私たち日本人は慣れていません。
また、その際に重要なのは、課題を設定することです。これまでは、課題は与えられました。その試験問題に、より良い答案を書くことでした。これからは、何が重要な課題かを判定しなければなりません。受験秀才ではダメなのです。
もう一つ戦わなければならないことは、「内向きの満足からの脱却」=「第3の開国」です。
この20年の日本の停滞は、日本のガラパゴス化によるものだと、何度もこのホームページで書きました。世界最先端の技術や経済を達成したことに満足しました。しかし、グローバル化が進んだ世界では、内向きに安定する考えでは、世界から取り残され、衰退します。活力を持つために、世界で引き続き挑戦し、競争する必要があります。
また、国際社会の秩序づくりやルールづくりに、貢献することも必要です。他国が作ったルールで勝負するようでは、その時点で、後れをとっています。先に述べた「何が重要な課題かを判定する」ことが、ここにつながります。(この項続く)