岡本全勝 のすべての投稿

今年度の授業終了

今日、消防大学校では、新任教官科82名の卒業式がありました。これで、消防大学校の今年度の授業は終了です。大学校では、4月早々に始まる次の授業の準備とともに、施設の改修や補修工事が忙しくなります。ふだんは授業を行っていますし、学生が寮に入っているので、工事ができないのです。学生のいない時期に、工事を集中させなければなりません。
建物は、15年から10年ほど前に建て替えられました。比較的新しいのですが、雨漏りがしたり、機械が動かなくなったりと、傷んできますね。

政治の存在意義

17日の読売新聞・地球を読むは、佐々木毅先生の「新前川レポート」でした。
・・グローバル化時代における政府の役割は、経済環境全体の大きな変化の中で、限界はあるにしろ、まずは国民に一定程度の安定感を与えることを通して、社会の生存能力を維持することである。
言い換えれば、日々疾風怒濤の中に置かれているグローバル企業の動向から、一定程度自立した社会空間を国民に提供することが政府の役割であり、国民を漫然とこの疾風怒濤の中に投げ込んでいるのでは、存在意義がないことになる。それでは、グローバル化と民主政治を抜き差しならない対立関係に導くことにつながる。
先に触れた旧来のシステムの解体の結果、何が起こったかというと、それは比喩的に言えば、社会の信用創造の慢性的な劣化であった。過度の癒着の排除の後に登場したのは、バラバラの中での相互不信、相互無関心の増殖であった。官と民、中央と地方から株式市場に至るまで、究極的には少子化に至るまで、この劣化は至る所に深く根を張っている。
これは、経済や社会の前進を阻むゆゆしい兆候である。この立て直しは基本的に政治の課題であり、それは最終的には、政府の存在意義の確立を通してのみ実現可能である・・

二院制

17日の日経新聞「核心」は、土谷英夫コラムニストの「この二院制でいいのか」でした。歴史的、諸外国比較から、二院制のあり方を論じておられます。
政治とは、正解が最初からあるものではありません。それを見つけ出す過程が、政治です。今回の衆参ねじれは、日本にとって良い経験だと、私は考えています。おかしかったら変える。これができるかどうかです。

日本独自の洋服

16日の読売新聞夕刊に、「略礼服は海外で通じない」という記事が、載っていました。冠婚葬祭に、男性が着る、あの黒服です。実は、あの略礼服は、日本独自の服装なのです。セットになっている白ネクタイも、欧米では見かけないのだそうです。
私も、長い間、あれが正式な礼服だと思っていました。外国通の人から、「あれは日本製だ」と、教えてもらいました。その方は、略礼服を持っておられません。別の外交官の知人に聞いても、同様に答えてくれました。
記事によると、1950年頃、東京の紳士服メーカーが、考案したのだそうです。すると、そんなに古い話ではありません。でも、結婚式も葬式も、ほとんどの人が、あの服を着ています。
私は、かつて知人の結婚式に、ダークスーツで出席したら、「礼服を持っていないのですか」と、聞かれたことがあります(笑い)。最近は若い男性が、様々な個性のある服装で出席することも増えています。
略礼服は便利なので、モーニングコートや燕尾服は着ませんね。

地下鉄サリン事件から15年

先日、消防大学校の授業に、奥村徹先生に来てもらいました。奥村先生は、地下鉄サリン事件の時、聖路加病院で治療に当たられた救急医です。各界の第一人者に来てもらえる、お話が聞けることも、消防大学校長の役得です。
事件は、15年前の3月20日のことでした。東京の地下鉄で、一般市民を対象とした、猛毒によるテロでした。この年は、1月に阪神淡路大震災が起き、3月にこのテロ事件が起きました。まだ、つい先日のことのように、鮮明にニュースを覚えています。
先生に、その時のことを聞かせてもらいました。どうして原因がサリンとわかったか、治療法はなにかなどなど。先生から、御著書も頂きました。「緊急招集-地下鉄サリン、救急医は見た」(1999年、河出書房新社)です。ありがとうございます。
事件を教訓に、部隊や資機材の準備も進みました。今日も、東京消防庁は、地下鉄大手町駅で訓練をしました。消防大学校でも、訓練コースを作っています。起こってはならないことですが、現に発生したのです。こうしてみると、人間の想像力って、限られたものですね。