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お墓の管理と経営

8月11日の朝日新聞オピニオン欄は、お墓の特集でした。長江曜子聖徳大学教授が、次のようなことを発言しておられます。
・・欧州では、お墓の問題を、福祉行政の一環として位置付けています。例えばスウェーデンでは、所得の0.07%を埋葬税として支払い、葬儀や墓の使用権の費用に充てています。無縁の墓は整理されますが、政府がその後も責任を持って遺骨の管理と祭祀を続けます。民間がお墓を経営することは、「永続的に管理できるかどうかリスクが高い」として、認められていません・・
日本では、お寺さんなどの墓地や民間の霊園と、地方自治体の墓地があります(地区の住民が管理しているのも、あるのでしょうか)。国によって違うものですね。

悲しいカエル

このホームページを長くごらん頂いている方は、覚えておられるでしょうか。ご近所のカエルです(2008年7月28日、30日の記事)。2年ぶりに、会いました。握り拳ほどの大きさです。2軒ほど隣の、お家の前でです。しかし、かわいそうに、車にひかれて、死んでいました。昨日の朝、大雨が降った後です。雨につられて出てきたのか、友達に会いに行くところだったのか。この道路は、車の通行も少ないのですが、残念です。
わが家の近所は、道路は舗装され、両側は住宅。しかも、そんなに広い庭のある住宅はありません。何軒か、広い庭があるのですが、それらも次々と壊され、その庭も少なくなっています。どのようにして生きているのか、不思議です。彼が、最後の一匹でないことを祈ります。

高齢者向け産業

8月6日の日経新聞「経済教室」は、長沢光太郎さんの「豊かな加齢支える産業、世界に先駆け育成を」でした。
日本の75歳以上人口は、現在1,400万人。20年後には2,300万人になります。ちなみに現在、東京都の人口が1,300万人、小中学生の数が約1,100万人です。経済から見ると、すごい規模のマーケットです。
そして、一般に思われていることと異なり、大半の人は自立しています。75~85歳で介護保険の要介護・要支援に認定されている人は約2割でしかありません。もちろん、身体の痛みなどを抱えておられますが、60歳以上の6割は、ほとんど毎日外出するなど行動的です。そしてよく知られているように、お金を持っています。65歳以上世帯の金融資産は平均で2,400万円、全世帯平均1,800万円よりかなり多いのです。
個人の側から見ると、この人たちが満足できるサービスが提供されること、経済社会の側から見ると、この人たちにお金を使ってもらえるサービスを提供することが重要になります。高齢化社会の問題を放置して暗い社会にするのか、対策を講じて明るいものとするのか。この分野は、企業・経済・行政にとって、大きなフロンティアなのです。
その際に、個人と社会に安心な制度を提供することは、行政の役割ですが、活力ある安心社会は、行政だけではつくることはできません。社会と経済がそれを提供し、欠けた部分を行政が補完するのでしょう。経済・企業の役割は大きいです。
日本が、世界で高齢化の先端を走っています。中国は、高齢化率は日本より低いですが、すでに65歳以上人口が1億人を超えています。そして、この問題についても、日本を追いかけてきます。先日、中国の州政府職員と話した時にも、この話題になりました。彼も、深刻な問題だと考えていました。
日本が、高齢者対策、高齢者も安心して暮らせる社会と経済づくりに成功するかどうか。世界が、注目しています。

日本企業よりアメリカ企業の方が、長期経営

8月5日の日経新聞経済教室は、野間幹晴一橋大学准教授の「通説と異なる日本企業、アメリカ企業の方が、長期経営」でした。
それによると、「アメリカ企業は株主への配当が多いのに対し、日本企業の配当性向は低い」という通説は、調査結果で否定されています。日本の配当を支払っている企業の割合が8割を超えているのに対し、アメリカではこの20年で3割にまで下がっています。ただし、アメリカでは配当を払う一部の企業の配当額が大きいので、平均配当性向ではアメリカの方が高くなります。
これは、アメリカでは、株主に還元するよりも、事業への投資に利益を回しているからです。事業投資によって収益が上がれば、株価が上昇しキャピタルゲインが得られます。株主に対し、配当で還元するか、キャピタルゲインで応えるか。2つの方法があります。
また、「アメリカ企業は短期的な投資を行うのに対して、日本企業は長期的な視野に基づいて設備投資や研究開発投資を行っている」という通説も、調査結果から否定されています。どちらの投資も、日本企業の方が多く減らしているのです。
短絡的かもしれませんが、新しい投資先を見つけられない日本企業、新しい投資に消極的で利益を株への配当に回している日本企業という姿が見えてきます。もちろん、それを株主が支持しているということです。

中国人の日本認識の改善

8月3日の朝日新聞オピニオン欄で、小島寛之国際交流基金北京日本文化センター副所長によると、中国での日本旅行熱が高まり、また、青年知識層を中心に都市住民の日本への関心が、幅と厚みを増しているそうです。
新聞の世論調査では、15~20歳の若年層が、最も好きな国として日本を第1位に挙げたそうです。国民全体でも、最も好きな国で5位、最も行きたい国で3位です。中国大手旅行社の調査では、海外の人気旅行先で、日本は台湾と並んで3位です。しかも、1位の香港と2位のマカオは中国領ですから、日本が第1位ということです。
北京では、高級寿司店や日本料理屋、日本のファッションブランド店、日本人経営の美容院などが、中国人客でにぎわっています。今回のサッカーワールドカップ決勝トーナメント、日本対パラグアイ戦で、巨大スクリーンの前で、中国の人たちが日本を応援してくれたとのことです。急速に、対日感情が変化しています。
韓流ドラマが、日韓関係改善に果たした役割もありました。政府による努力も重要ですが、市民の間での相手国認識の好転の効果は大きいです。それには、人の行き来が増えることや、モノやサービスが売れることが重要です。