投稿者アーカイブ:岡本全勝

NPOと企業の復興協力、2

2013年11月25日   岡本全勝

なぜ今、企業がNPOのリーダーシップに注目するのか?グローバル・ビジネスリーダーとNPOリーダーの対話から」の続きです。
宮城:現地に入っていきいきと活動されている方にふれることで、私たちも勇気づけられますね。「右腕」の方々が東北に入る前後で、人間として進化していると感じるほどに変化することもあります。困難を克服して何かを掴むプロセスは、何物にも代えがたいと感じます。私が企業経営者だったら、社員にそういう成長をしてもらいたいし、そういう人を採用したいと思うでしょう・・
日色:NPOのリーダーは、リーダーシップのあり方としては最も難易度が高いと思うのです。なぜなら、企業でははっきり決まっているルールやゴールが、NPOでは曖昧だからです。例えば、企業には権限構造があるので、上下関係が非常にはっきりしています。また、売上や利益など、評価尺度も明確です。一方でNPOのリーダーは、権限ではなく、ビジョンで人を巻き込まなければならないでしょう。リーダー自身に人間的魅力があることが必要ですし、情熱をもって真摯に仕事に取り組まなければ、同じ志をもった仲間は絶対についてこないと思います・・
日色:やや大きな話になりますが、NPOのリーダーシップには、グローバルに活躍するビジネス・リーダーに求められる要素がたくさん含まれているのです 。今日のグローバル企業はフラット化していて、一ヶ所で全ての物事が決まることはなくなりつつあります。例えば私は日本を担当していますが、グローバルやアジア・パシフィックなど様々なレイヤーのステークホルダーを巻き込みながら、ひとつひとつの意思決定をしているわけです。
そうなると、意思決定に関わる人が、自分の部下ではないということが往々にしてあります。ラインが異なるところでも、一つにまとめて動かしていかなければならない。これが中々難しいのです。そうなると、権限で人をひっぱるのではなくて、ビジョンと人間的魅力でものごとを動かすリーダーシップが重要になってくるのです。ますます複雑化する組織の中で、ビジネスパーソンがリーダーシップを発揮するために、現地で活動するNPOから学ぶことは非常に多いと思います。これが、私がプロボノに個人的に興味をもっている理由です・・
指摘の通り、企業や役所のように、権限と職責が階統制になっていて、目標や規則も明確な組織内でのリーダーシップと、そうでない集団(政党、NPO、同好会など)でのリーダーシップは、異なります。さらに、その組織内の職員を動かすことと、組織外の関係者を動かすことは、これまた大きく異なります。取引先なら、利害関係で動かすことはできますが。政府の責任者が、国会、他の政党、マスコミ論調、そして国民意識を動かすことを、考えてください。

景気は気から、皆で縮こまると世界が小さくなる

2013年11月24日   岡本全勝

11月24日の朝日新聞「ベア検討、4社のみ」から。全国の主要100社への調査結果です。
企業の利益が増えています。その利益を、どこに振り分けようとしているのか、の回答です。設備投資が53社、従業員への還元が52社です。今年1~3月の政府の「法人企業景気予測調査」では、内部留保が6割で、従業員への還元は回答の6番目だったそうです。企業の意識が、はっきりと変わってきています。
新聞の見出しでは、企業が消極的な態度かと思わせますが、記事の内容は逆です(見出しの付け方に、難がありますね)。
この変化は、「景気は気から」と「合成の誤謬」で、説明できます。これまでの日本では、新興国の追い上げ、海外への生産の移転、デフレの下で、企業はコストカットの1つとして、国内での職員と給与の削減を続けました。他方、景気が良くならないと見通して、設備投資に消極的でした。そして、利益が出ても、内部留保にとどめたのです。各企業としては、正しい選択です。しかし、多くの企業がこの方針を続けると、
給与削減→消費者が使うお金が減る→消費が冷える→売れないと見越して企業が設備投資を控える→景気が悪くなる→給与を削減する→(繰り返す)となります。
企業が儲からなくて、内部留保がないなら、企業は倒産し、もっと深刻な事態になります。ところが、企業の業績は上がっているのです。すると、先ほどの悪循環・負のスパイラルを、好循環・成長のスパイラルに変えれば、良いのです。
みんなで、「これから景気は良くなるぞ」と思い、給料を増やします。すると、消費が拡大し、設備投資を増やす判断ができます。それがまた、景気を良くします。儲かったお金を貯め込んでいては、会社も発展しないし、経済も大きくなりません。お金は、使ってこそ、生きるのです。
もちろん、この解説は、ごく単純化したものです。例えば、売れない商品に設備投資しても、その企業にとって良い結果にはなりません。

NPOと企業の復興協力

2013年11月23日   岡本全勝

復興支援に協力してくださっている、企業とNPOの方の鼎談を紹介します。「なぜ今、企業がNPOのリーダーシップに注目するのか?グローバル・ビジネスリーダーとNPOリーダーの対話から」。
人材派遣を斡旋してくれているNPOのETIC.の宮城治男さん、それに協力してくれているジョンソン・エンド・ジョンソン社長の日色保さん、日本財団の青柳光昌さんです。
日色さん:・・社会貢献活動においても、「寄付をしたから、企業としての責任は果たしました」ということはあり得ません。私たちが直接手を動かすことによる効果は限定的です。一方で、パートナーである支援先のNPOがどんな団体で、どんなビジョンをもって活動しているのか、そして私たちがお手伝いしたことが、成果を生み出す上でどう活かされているのかということには、支援する以上は 責任を持とうと思っています・・
・・私たちも、大震災の直後には短期的な物資や資金の支援をしました。ですが、震災から2年半が経過した今では、より息の長い支援をしていきたいと思うようになりました。水が足りない所に水を配ることも重要ですが、やはり井戸を掘る方法を伝えたほうがより効果的かつ持続性があると思います。右腕派遣プログラムは、復興の担い手を送ることで地域のニーズを持続的に満たし、地域経済の循環を創出します。この点が、私たちが大事にしたいこととマッチしていました・・
青柳さん:・・日本財団はもともと本業としてNPO支援に力をいれてきました。そういった流れもあり、今回の震災でも様々な支援を進めてきました。その中でひとつ重要なことは、支援そのものに加えて、こういった活動の担い手をいかに育てていくかということです・・
藤沢烈さんに、教えてもらいました。
災害時の金銭と物品の提供といった支援に続き、被災直後の肉体労働的なお手伝い(ボランティア)が、大きく進みました。社会に理解され、たくさんの人が参加してくれます。課題は、その次です。
被災地の暮らしが元に戻るために、継続的な支援、ものや労働の提供でない知恵と人の参加です。これは、まだ試行錯誤中です。地元で何が求められているか、誰が何を提供できるかを探しながらです。他方で、継続的・組織的に支援できる仕組み、それに参加したいという企業や人の発掘とつなぎが必要です。
復興庁でも、人材斡旋に新しい仕組みを導入しようと、「Work For 東北」という試みを始めました(「民間人の被災地派遣応援の仕組み」10月4日の記事)。
繰り返しになりますが、企業の力、NPOの力を、どのように引き出すか。復興庁では、被災地で社会を変える実験をしています。そう思うと、仕事が楽しくなります。

予定、あるいは嘘つきの秘書?

2013年11月21日   岡本全勝

毎日夕方に、秘書が、翌日の日程表を持たせてくれます。なんと、昨日は「明日は、予定が一件も入っていません」とのこと。でも、私は、彼女に「嘘つき」と言い放って、帰りました。
今朝、8:30に出勤したら、直ちに来客があり、続いて電話がかかってきたり、部下からの報告が入ったり・・。結局、午前中は、自分の時間がとれませんでした。そこで、もう一度、秘書さんに「嘘つき」と(笑い)。
放課後は、異業種交流会に出席(夜の予定は、毎日の予定表には載せません。恥ずかしいので)。私の知らない分野の話は、勉強になります。しかも、その分野の第一人者ばかりです。「へ~、世の中こんなことになっているのだ」と。ぜいたくな時間です。他方、私が知っていて、向こうさんが知らない話もあって・・。

東京オリンピックの持つ意味、もたせる意味、3

2013年11月20日   岡本全勝

あえて切り口を際出たせれば、次のようになります。
競技施設といったハードだけでなく、ソフト。一回きりのイベントでなく継続的なもの。スポーツ競技という肉体だけでなく、知的なもの。競技だけでなく、日本社会。
尾田栄章・元建設省河川局長は、オリンピックを機会に世界の英知を集め、世界の主要な関心事について、解決策を探る国際会議を始められないか。「英知の五輪」を提唱しておられます(読売新聞2013年10月10日、論点)。
スポーツ競技の大会であるオリンピックに、あまりたくさんのことを期待してもいけませんね。なお、オリンピックには、「文化プログラム」もあります。ロンドンの例
前回の東京オリンピックは、戦後復興を成し遂げ、世界の一流国へ仲間入りした成人式でした。でも、東京オリンピックが、それら経済的社会的意義を成し遂げたのではありません。しかし、そのシンボルになったのです。日本人の多くがそう考え、世界の人がそう見たのです。
次回2020年の東京オリンピックを機会に、日本社会の目指すべき姿と、世界の中の日本を考えてみたいのです。
50年前の先輩やご先祖様に「半世紀経って、日本はこうなりましたよ」と報告する。そして50年後の後輩や子孫に「私たちは、こんな日本を残したんだよ」と言えるように。