時々、問合せがあるので、解説しておきます。
今回の東日本大震災について、政府の体制は、地震津波災害への対応と原発事故への対応とで、2つに分かれています。
地震津波災害については、緊急災害対策本部(本部長は総理大臣、事務局は内閣府防災政策統括官)が作られました。これはまだ存続していますが、実質的な活動は終わり、復興について復興庁が引き継いでいます。
原発事故については、原子力災害対策本部(本部長は総理大臣、事務局は実質的には経産省)が作られました。
原発事故は、まだその後始末が続いています。すなわち、第一原発の廃炉作業や汚染水対策、被災者への賠償、放射線量の計測、放射線に関する安心の確保、避難区域への立ち入り規制、避難指示の解除、除染作業(その一環としての中間貯蔵施設の建設)などです。被災者支援もそうです。これらを、原災本部の下で、それぞれの責任官庁が対応しています。
そして、避難指示が解除された地域で、また解除を見越して、復興庁が復興に取り組んでいます。
すなわち、地震津波災害は災害自体は終わり、復興の段階になっています。しかし、原発事故災害は、まだ終わっておらず(廃炉が作業中、避難指示が解除されていない地区が残り、放出された放射性物質の処理が終わっていない)、原災本部がそれに取り組んでいます。そして、復興に入れる地域・分野を、復興庁が担当しているのです。
投稿者アーカイブ:岡本全勝
ITを復興支援にどう活用するか、2
昨日のシンポジウムについて、適当な紹介サイトがないので、藤沢烈さんのブログにリンクを張っておきます。藤沢さんは、モデレーターを勤めています。
せっかくの試みなのですから、インターネットで紹介してくださいね(私が、見つけていないだけかもしれません。ごめん)。
私は、昨日書いたように、ITの発展とともに、その活用はどんどん進むと考えています。ただし、技術があれば社会が変わるとは思っていません。それを人間がどう使うかです。これについては、別途書きます。
ITを復興支援にどう活用するか
今朝は、グーグル社が主催し、経団連会館で開かれたシンポジウム「地域活性化 2.0―東北と全国から考えるインターネットの可能性」で、挨拶をさせてもらいました。もう一人の挨拶は、総理夫人でした。
このホームページでも何度も書いているように、発災直後にインターネットは大きな力を発揮しました(例えば2013年11月3日の記事)。東日本大震災は、「災害対策についてのインターネット元年」でした。これだけ、携帯電話やインターネットが普及したのは最近ですから。さらに現在では、スマートフォンが普及しつつあるので、もっと活用の幅が広がるでしょう。大災害は起きてはほしくありませんが、起きたときには大きな威力を発揮するでしょう。
今日の集まりは、救助や応急の時期ではなく、復旧から復興の段階で、インターネットをどのように活用できるかを考える会でした。この分野は、これからの手探りの状態です。
ITは、あくまで手段です。それを使いこなすのは、人です。私は、民間が復興に参加してくださる際に、ITは有効な手段になると考えています。どこに、どのような人が、どのような支援を待っているか。他方で、どこに、どのような人が、どのような支援をしても良いと考えているか。お金でない、知恵やノウハウの支援です(イノベーション東北の例)。それを探してつなぐ際に、インターネットは便利です。これを一つひとつ探すのは大変です。でも、インターネットなら、コストもかからず、簡単につないでくれます。
もちろん私たち行政も活用しますが、民間(企業やNPO)が支援してくださる際に、重要な道具になると考えています。ITという道具から発想するのでなく、民間が復興に参画する際にどう使えるかという人や団体から発想してほしいのです。若い発想、民間の力で、新しいことに挑戦してください。
砂原准教授、サントリー学芸賞
夕方からは、サントリー学芸賞の授賞式に、行ってきました。前にも紹介しましたが、砂原庸介・大阪大学准教授が受賞されたので、お招きいただきました。
パーティでは、そうそうたる学者・研究者の方と、お話しをすることができました。行政学や政治学では、少しは面識がある方がおられるのと、「初めまして」と名刺を出すと、「岡本さんですね、一度お目にかかりたいと思っていました」とお世辞を言ってくださる方もおられて。
官僚として、あるいは官僚にしては、いろいろ珍しい経験をさせてもらいました。今も、これまでにないことを、しています。この経験を、後輩たちだけでなく、学界や社会に還元しなければと、思ってはいるのですが・・。
異業種交流会は、楽しいですね。元気をもらえます。サントリーのワインも、おいしかったです。
アジアの復活と日本の貢献
12月6日の日経新聞経済教室、キショール・マブバニさん(シンガポール、リー・クアンユー公共政策大学院長)の「アジア中間層、17億人に」から。
・・アジアについて、日本がぜひ知っておくべき重要な数字が一つある。今日、アジア全域で所得が一定水準以上の中間層は合計約5億人だが、2020年までに、現在の3.5倍の17.5億人になると見込まれることだ。これは世界史上かつてない現象であり、日本の将来にも重大な影響を与えるだろう・・
アジアの中間層はなぜ爆発的に増えているだろうか。ある意味で、これは驚くべきことではない。アジアの繁栄の「復活」は、ごく自然な成り行きである。
西暦元年から1820年までは、世界の二大経済大国といえば常に中国とインド、すなわちアジアの国だった。欧州、続いて米国が台頭したのは、この200年のことに過ぎない・・
ただし(アジアの)復活の時期は、いくつかの偶然の要素が重なった結果である。中でも重要なのは、日本がアジア国家として初めて近代化に成功したことだ。アジア諸国は日本に礼状を書くべきだと拙著の中で強調したのは、このためである。日本の近代化の成功で、アジア各国ではあとに続く気運が高まった。日本の成功がなかったら、アジアの大半は、先進国の仲間入りを果たした国がまだ一つもないアフリカ、アラブ、中南米のようになっていただろう・・