投稿者アーカイブ:岡本全勝

ヨーロッパ、校内スマホ禁止

2025年2月23日   岡本全勝

1月29日の朝日新聞に「欧州、苦肉の校内スマホ禁止 中高で広がる、法制化も議論」が載っていました。
私も、最後に引用した「たばこが特定の年齢や特定の場所でしか喫煙ができないように、スマホについても検討すべき時が来た」との意見に賛成です。お酒、賭博、有害図書などと同様に、未成年の発育を妨げるものは規制すべきです。

・・・ベルギーでは、日本の中学・高校にあたる多くの学校で、スマートフォンを禁止する動きが出ている。欧州各国にも広がり、それに反対するデモまで起きる事態になった。

11~18歳が在籍する、首都ブリュッセルから南西へ約30キロにあるこの学校では、約10年前から先駆的な取り組みとして、学校にいる間のスマホの使用を禁止している。ニコラ・スピルスティンズ校長(48)は「生徒同士の会話の時間が増え、SNSによるトラブルも起きにくい」と説明する。
スピルスティンズ校長ら教師の悩みの種になっているのがSNSだ。
利用者の好みに合わせて投稿が表示される「おすすめ」を見続けることで依存的になったり、同級生らの顔写真を使った「なりすまし画像」の投稿がいじめにつながったりするのだという。「スマホに依存すると、子どもは『孤立』する。校内だけでも使わせないのが一番の解決策だ」とスピルスティンズ校長は指摘する。
校内でのスマホ使用を禁止するとともに、SNSの危険性や影響、なぜ他人の写真を勝手に投稿してはいけないのか、といったことを教える授業も始めた。

一方、スマホの校内での使用を禁止する動きは、各国にも広がっている。ユネスコが2023年に発表した報告書によると、世界の4カ国に1カ国が、学校でのスマホの禁止を法律やガイドラインで定めている。
フランスもその一つで、18年に幼稚園から中学校までを対象に、校内でのスマホの使用を全面的に禁止する法律を定めた。オランダでは「勉強の邪魔になる」として昨年から、小学校から高校を対象に、スマホだけでなく、タブレット端末やスマートウォッチも禁止に。イタリアは昨秋から中学校までを対象に、デジタル教育などの教育目的も含めてスマホを全面的に禁止した。

世界保健機関(WHO)は、若年層のSNS依存を防ぐために、学校でのスマホ禁止は有効との見方を示している。
昨年9月に発表した欧州、中央アジア、カナダの11歳から15歳の約28万人を対象にした調査の報告書によると、全体の11%がSNSの使用を自ら止められない「依存状態」であることがわかった。男子の9%に比べて女子は13%と割合が高かった。
WHO欧州地域事務局のナターシャ・アゾパルディ・ムスカット国別保健政策・システム部長は、「たばこが特定の年齢や特定の場所でしか喫煙ができないように、スマホについても検討すべき時が来た」と指摘し、規制が必要との考えを示した・・・

管理と運営の違い2

2025年2月22日   岡本全勝

管理と運営の違い」の続きです。
「管理」という言葉には、内部を管理するという印象がつきまといますが、外部の変化を見ることが必要です。その要素を加えて「運営」という言葉を使いました。

もう一つ「管理」に欠けていて、「運営」に含みたい要素があります。それは、目標を掲げること、未来を見ることです。
管理でも、日々に新しい出来事があり、それに対応する必要があります。前例通りではすみません。とはいえ、「維持管理」という言葉があるように、現状維持の印象がつきまといます。
しかし、組織を継続するためには、日々の出来事に対応するだけでなく、目標を持って長期的に考えることも必要です。短期的でなく長期の目で見るのです。「蟻の目と鷹の目」「ゾウの時間とネズミの時間」です。
受動的対応と能動的対応の違いでもあります。

役所の各課には「所管」はあるのですが、「目標」が定められていないことが多いです。これも、管理と運営の違いを生む原因でしょう。

船長に例えたこともあります、船長は船員を管理しているだけでは不十分で、目的地まで船を運航しなければなりません。潮流を読み天気の変化など外部の要素にも対応して、船を進めなければらならないのです。船内を見ているだけではだめで、外を特に前を見なければなりません。
官僚には法解釈学だけでなく立法学が必要だと、私は主張しています。それに通じます。「過去の分析と未来の創造と:官僚の限界

国鉄からJRへ、38年

2025年2月22日   岡本全勝

1月29日の日経新聞に「国鉄超えたJRの歴史、純利益15倍に 10の数字で解剖」が載っていました。巨額の赤字を生んでいた国鉄が、民営化によってここまで変身しました。
・・・1987年の分割民営化で誕生したJRグループは、2025年1月29日に旧国鉄(日本国有鉄道)の存続日数「1万3818日」を上回る。公営から民間に転身して約37年10カ月、本州3社の純利益は15倍に増えた。歴史的な民営化がもたらした変化を10の数字で解剖する・・・

・2024年度の連結純利益見通しは本州3社で総額7020億円。民営化した1987年度の15倍になりました。
・1965年頃の従業員数は約46万人。現在は7社で約17万人です。

朝日新聞オピニオン欄に載りました

2025年2月21日   岡本全勝

今朝2月21日の朝日新聞オピニオン欄「複合災害、防災庁の役割は」に、私の発言「一元的窓口と司令塔機能、重要」が載りました。中林一樹教授と並んでです。
・・・能登半島地震の被災地は、復旧の途上で豪雨災害に見舞われた。複合化・激甚化する災害に対して、石破茂首相は防災庁を2026年度中に設置する方針を示し、議論が本格化している。今後起こりうる災害に備えるため、国や自治体に求められるものとは・・・

かなり詳しく取り上げてもらいましたので、記事をお読みください。私の主張の主な点は、次のようなものです。
・防災庁は内閣府防災部局の充実と復興支援を(政府に復興を支援する組織がない)
・防災庁は窓口の一本化と司令塔機能を(実働部隊はそれぞれに任せる)
・官邸に置く「本部」より「館」を構える長所がある(復興庁の経験)
・生え抜き養成は非効率、各省庁の専門家を生かせ(出戻り組の活用を)
・能登地震が人口減時代の復興の試金石(過疎地では元の街に戻すことは不可能)

朝日新聞ウェッブ版では、より詳しく述べています。「「ミスター復興」の反省と防災庁への注文 選択と集中で生活の再建を」(2月20日配信)
・・・石破政権肝いりの「防災庁」新設へ向け、検討が本格化している。複合化・激甚化する災害に平時から備え、緊急対応と復興支援の要となる新組織には、どのような体制が求められるのか。東日本大震災の復興に長年携わり「ミスター復興」の異名を持つ岡本全勝・元復興事務次官に、課題を聞いた・・・

例えば次のような文章。
「現在の内閣府防災と復興庁、そして東京電力福島第一原発事故の被災者支援部門を統合し、各統括官の下で役割を分担するのが、組織統制上もよいと思います」

世界の目に映る、日本の不平等

2025年2月21日   岡本全勝

1月28日の朝日新聞「世界の目に映る、日本の「不平等」 国連の女性差別撤廃委、秋月弘子副委員長に聞く」から。

・・・ジェンダーギャップ指数が146カ国中118位の日本。日本社会の男女の不均衡について、昨秋、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)も改善すべき点を指摘しました。委員会の副委員長を務める亜細亜大学の秋月弘子教授(国際法学)はジェンダーをめぐる「日本の当たり前は世界の非常識になっている」と話します。

―CEDAWの仕事はどのようなものですか。
家族関係などの私的な領域から政治経済まで、あらゆる分野でジェンダー差別をなくす措置を取るよう求める女性差別撤廃条約という条約があります。日本を含めて189カ国が締約しています。委員会は締約国の状況を審査し、解決策などを提案します。具体的には、私たち委員が1年に3回ジュネーブに集まり、1回に8カ国ずつ審査していきます。政府の他に、その国の市民団体などからも報告書を上げてもらい、そこに性差別があるのかないのか、精緻な「ジェンダーレンズ」を通して見ていきます。

――今回の日本への勧告にはどのように関わられたのですか?
独立性、公平性の観点から自身の国籍国の審査には一切関与できないことになっています。
ウェブサイトで公表されてから最終見解を読みましたが、ネットなどを中心に「日本の問題に口を出すな」という批判があがったことは非常に残念でした。

―日本がジェンダー平等に近づくためにはどのような取り組みが必要だと思いますか。
ジェンダーの問題は政治、経済、すべての分野にまたがっています。今は内閣府男女共同参画局が担当していますが、それでは十分ではありません。専門家を育成し、政策の立案や実行を推進するジェンダー庁をつくるべきです。
そして独立した国内人権機関も必要です。審査にあたって市民団体からCEDAWに提出された報告書は基本的に公表されます。しかし今回の日本審査では、公表された44の報告書以外に公表されない「極秘」扱いの報告書が20通近くあったそうです。
政治的な混乱や紛争があって、報告書を送ったことで国内で迫害や相当な嫌がらせを受けることが懸念される場合に非公表扱いにするのですが、日本も、差別を問題提起したことで攻撃される危険があるような状況になってしまったのかと驚きました。