9月10日の読売新聞1面トップは、「震災被災者の法テラス無料法律相談、3年延長へ」という記事でした。詳しくは原文を読んでいただくとして、次のように書かれています。
・・避難生活や住宅再建などを巡る法律相談が今なお増加傾向にあるためだ・・
・・13年度の相談内容の内訳をみると、最も多いのは離婚や相続など家族同士の法的トラブルで39.2%だった。次いで、知人との貸し借りなど金銭トラブルが25.4%、二重ローンなど多重債務に関する相談が13.7%だった。復興に伴う自治体による土地買い上げなど不動産を巡る相談も10.5%あった・・
二重ローンなど災害に起因する経済問題が多いと思っていたのですが、家族間の争いがはるかに多いのですね。法テラスについては、このページをご覧ください。
投稿者アーカイブ:岡本全勝
社会を観察するのではなく、社会に参加し貢献する学問
東京大学出版会のPR誌『UP』2014年9月号、山下晋司教授の「公共人類学―人類学の社会貢献」から。
・・近年、大学の、あるいは学問の社会貢献が問われているなかで、「公共哲学」「公共政策学」「公共社会学」など「公共」を冠した研究分野が現れてきている。人類学も例外ではない。「公共人類学」(public anthropology)という新しい分野が立ち上がってきているのだ。その背景には、アメリカ人類学会会長を務めたジェームズ・ピーコックの言う”public or perish”(公共的でなければ、滅亡)に示されるような人類学会の危機意識がある。社会に貢献しなければ、人類学は生き延びることができないというのである・・
・・従来の人類学では学問的な営為としては、参与より観察の方が勝っていた。逆に、公共人類学においては、観察よりも参与に力点が置かれ、当該社会が直面する問題の解決に向けて貢献することが目的となる。その意味では、公共人類学は、マックス・ウェーバー流の没価値的な客観性の追求から、価値創造に向けての実践への転換の試みである・・
通帳無しに預金を払い出す。損失は0.005%
昨日紹介した9月8日の日経新聞、被災地の産業復興特集に、次のような記事もあります
東日本大震災の直後、東北の地方銀行最大手の七十七銀行は、三陸沿岸などの津波被災地で通帳や印鑑を失って途方に暮れる住民の預金引き出しに、上限10万円として応じました。
件数は、3万9030件。大勢が臨時窓口に押しかけ、本人確認も十分できず住所・氏名・連絡先と拇印をもらうだけというケースもありました。預金残高10万円未満なのに、10万円を持ち帰る人もいました。
多額の損失やむなしと思える状況ですが、結局損金発生はたったの2件でした。残高を超えて引き出した人は、後日、超過分を入金して帳尻を合わせました。損失発生率は0.005%です。氏家照彦頭取は「天文学的数値。良いお客様を持った」と、感謝しています。
日本社会、特に東北地方の、律儀さとまじめさを示すデータです。大災害後に暴動も略奪も起きない、冷静で成熟した社会。これは、他の先進国でも発展途上国にもないすばらしいものです。日本社会を支えている社会的共通資本でしょう。
被災県で、産業復興が進む
9月8日の日経新聞は、被災地の産業復興が着実に進んでいることを、特集しています。
そこでは、被災3県で、製造業ではこれまでの電子部品から、自動車や航空機、医療産業に軸足を移す構造変化が起きていること、農業や水産業でも付加価値の高い商品開発に取り組んでいることを、具体事例を示して解説しています。大きな企業が進出してくれています。また、地元企業も新しい取り組みに挑戦しています。
他方で、中小企業では、生産が回復したのに販路が戻らないこと、人手不足が深刻なことを取り上げています。
石巻市、魚市場の復旧
今日は、大臣のお供をして、石巻市の被災地視察と、宮城県知事との意見交換に行ってきました。これで3県知事にお会いしました。
石巻市では、魚市場の復旧が進み、岸壁に沿って900メートルにもなる大きな建屋ができています。そして高度衛生管理をするので、壁で密閉されています。魚市場といえば、これまでは屋根はあるけど吹き抜けで、魚も人も、さらにはカモメも猫も自由に出入りができました。しかし、衛生管理をするために、最新の施設は密閉されるのです。着実に復興は進んでいます。