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災害時のIT活用

今日、職場に、グーグル本社のドラモンド(Drummond)上級副社長が、来てくださいました。グーグルは、そのIT技術を活用して、大震災の発生直後から、現在の復興においても、大きな貢献をしてくださっています。概要は、こちら
例えば、安否情報を簡単に登録、検索、閲覧できる「パーソンファインダー」を、発災後2時間で、立ち上げてくださいました。2011年5月頃には、登録件数が67万件を超えていたとのことです。このサービスは、ご自身も宮城県出身の河合さん(本社のグループプロダクトマネージャー)が、作ってくださったとのことです。
今回の大災害では、ITが大活躍したことでも、歴史に残るでしょう。これまで、災害時の情報と言えば、現地の情報を政府が取り寄せることに重点が置かれていました。しかし、政府の情報を、現地に伝えることも重要です。これまでは、それは、テレビや新聞に頼っていました。インターネットによって、格段に多くの情報を手軽に伝えることができるようになりました。パソコンだと、停電しているところはダメですが。
もう一つは、住民と住民との情報交換です。典型的なのは、安否確認です。これは、パソコンや携帯でできるようになりました。
そのお礼を伝えるとともに、今後の復興への支援をお願いしました。例えば、被災地の産品の紹介と販売です。小さなお店でも、インターネットで商品を売ることができます。まだ、このほかにも、いろんなことができそうです。アイデアを出すことを含めて、協力をお願いしました。

また、副社長には、「ぜひ被災地を見て、日本がいかに早く復旧したかを確認してほしい」とお願いしました。日本のマスコミは、とかく復旧が遅いと批判します。確かに、津波被害地や原発事故避難区域では、まだ復旧が進んでいません。それは、それなりの理由があるのですが。
私が見てもらいたいのは、そこを含めて被災地全体の姿です。それは、鉄道や道路などの復旧と、日本経済の復旧です。新幹線も高速道路も復旧しています。昨年の夏や秋には、日本のものづくりと経済はどうなるのか、悲観的な見方が支配的でした。自動車などの部品工場が被害を受け、サプライチェーンが寸断されたからです。それが、1年少しで、復旧しました。これには、諸外国の方は驚かれます。日本のマスコミは、「自虐的に」悪いところだけを取り上げますが、それだけを見ていると間違います。
グーグルは、「ITは、何ができて何ができなかったか」の検証もしています。
私も、グーグルの検索だけでなく、このホームページの表紙の下に、グーグルのサイト内検索をつけて活用しています。ページ数が増えて、どこに何を書いたかわからなくなっているので、このサイト内検索は便利です。手書きの日記帳では、こうはいきません。しかも、無料です。ありがとうございます。

高齢先進国日本、その2

オショティメイン氏は、次のようにも、話しています。
・・UNFPA(国連人口基金)の大きな使命は、人口爆発を防ぐことだった。過去60年間で、合計特殊出生率は、6.0から2.5へと半分以下になった。私たちは、産む、産まないは女性が選択すべきだという考えを広め、女性差別をなくすように求めて、出生率を低下させてきた。だが、それが高齢化社会をもたらしたわけではない。
高齢化は、衛生、環境、栄養、医療、保健のすべてを改善してきた結果、我々が勝ち取ったものだ。まさに祝福すべき成果なのである。
とはいえ、各国政府が必要な社会制度を整えなければ、たちまちさまざまな問題が噴出するだろう。素晴らしい制度を持っている日本でさえ、不断に努力する必要がある・・
日本は、世界のお手本になると期待している・・

出生率が、6.0から2.5へとなったのは、すごいですね。お母さんが産む子どもの数が、6人から2.5人に減ったのです。日本では、2人以下になっています。それでも人口が爆発的に増えているのは、寿命が延びたからです。特に、子どもの死亡率が減りました。
それを成し遂げた条件は、オショティメイン氏が述べているとおりです。日本も、戦後半世紀で(実際はもっと早く)それを達成しました。拙著『新地方自治入門-行政の現在と未来』で、解説しました。昭和30年代の保健婦さんの活動や、農水省が進めた生活改良普及員の貢献などは、今の若い人は知らないでしょうね。

交付税課の課長補佐の頃、1990年代ですが、中国共産党の視察団に、お話をしたことがあります。話題は、「日本はどのように地域間財政格差を緩和しているか」でした。
私の答えは、「工業再配置、公共事業による地方振興、それに国庫補助金と地方交付税による財政補填」です。
すると、幹部の方が質問しました。「日本では、人口移動を規制していないのか?」と。私は、「日本では、規制していない。その結果、都市部への人口集中や太平洋ベルト地帯への人口移動は起きた」と答えました。
彼の反応は、交付税制度に対する高い評価と、「中国とインドでは、人口爆発を防ぐこと(一人っ子政策)と、都市部への人口集中を緩和することが、人口政策の2大課題である」とのことでした。

企業による復興支援・基金によるNPO助成

三井物産が、社会的貢献(CSR)の1つとして、環境基金を設け、NPOなどの活動に財政支援をしています。このたび、2012年度の上半期の助成対象が決まりました。
昨年度から「復興助成枠」を作っていて、今回は次のような15件に、約1億円が助成されました。これまでに合計92件、約10億円を助成してくださっています。
このような、復興支援もあります。新聞に広告(公表)されていたので、ご覧になった方も多いと思います。あらためて、感謝とともに紹介します。ありがとうございます。
ところで、社外選定委員の総評では、・・「公」というものを官僚が独占(星野東大名誉教授)してきた日本では、今後ますます非営利組織の活動が重要になることは間違いありません・・とも述べられています。

責任者の発言

ある人との会話。組織の責任者、特に選ばれてなる人は、どうあるべきか。
なる前には、「私はこれをしたい」と言う。
なったら、「これはできるが、それはできない」と言う。
やめたら、「これをした」と言う。
そうありたいですね。

高齢先進国日本

10月6日の朝日新聞オピニオン欄、ババトゥンデ・オショティメイン国連人口基金事務局長のインタビューから。
・・国際高齢者デーの10月1日、国連人口基金は・・報告書「21世紀の高齢化、祝福すべき成果と直面する課題」を東京で発表した・・
日本は世界一の高齢社会だ。高齢者比率は、2012年の統計で31.6%で、世界で唯一30%を超えている。だが今回日本を選んだ理由は、それだけではない。
例えば「敬老の日」の存在は、世界が見習うべき慣行だ。60歳を超えても働き続けられるし、起業したければ融資も受けられる。国民すべてが加入する医療保険システムや年金制度、支援が必要な人たちを登録し、必要に応じてケアを提供する介護保険システムもある。認知症の対策を全国規模でとっている点はとりわけ評価できる。大切なのは、高齢者をコミュニティーの一員ととらえる考え方だと思う。こうした日本の取り組みは、途上国の多くにとって非常に参考になる。ぜひ広く世界に伝えてほしいと願っている・・

高齢社会については、日本が世界の最先端を走っています。そしてその対策も、たぶん先頭を走っています。上に引用したように、国際機関からも評価してもらっています。この日本の経験を、諸外国に「輸出」しましょう。かつて日本が、先進諸国にいろんな技術や社会制度を学んだように。