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インドネシア政府幹部への説明

昨日11月12日には、インドネシアの防災庁幹部など国と地方の復興関係者の訪問を受け、日本の復興についてお話をしました。インドネシアも、大きな津波にしばしば襲われています。
事前に資料を用意し、インドネシア語に翻訳しておきました。通訳を介してですので、あまり細かいことを伝えることは難しいです。そこで今回も、写真を多用し、解説もわかりやすいことを心掛けました。英語と違い、通訳者が通訳しているのを横で聞いていても、どこまで話が進んだかまったくわかりませんでした。

自民党政治の50年

13日の日経新聞に「自民党50年」が載っていました。その中で「高度経済成長の波に乗り、富の分配を努めた前期。冷戦終結で反共の目標を失い、中道勢力との連携で何とか政権を維持してきた後期」との総括があります。よく言い当てていると思います。ただし、財政面からの分析を続けるなら、「高度経済成長の波に乗り、富の分配を努めた前期」の続きは、「経済成長が止まった後も、赤字国債でその路線を続けた後期」だったと思います。これは、自民党への批判でなく、日本の政治と行政への評価です。
私の主張は、「新地方自治入門」に書いたように、戦後日本の国民と国家の目標は豊かになることであり、それに成功した。その間、政治と行政は経済成長の上がりである税金で、公共サービスと社会資本整備をした。それが、日本社会を豊かになることに寄与し、政治と行政も成功した、です。政治=自民党政権と、行政=各省・官僚は、行政サービスを拡充するとともに、公共事業や補助金を配分し、減税や租税特別措置という「補助金」を配分したのです。これは、地域別・業界別に行われ、「主計局-各省(各局)-族議員-業界」という鉄のトライアングルを作りました。また、このような業界別でなくても、公共サービスとともに本格的増税をしたことがないというかたちで、国民全体に利益を還元したのです。できたのです。
経済成長が止まり、税収が増えなくなっても、借金(国債と地方債)で、この構図を続けました。いえ、続けています。「新地方自治入門」p125図表5-2をご覧下さい(戦後日本の経済成長と税収に載せてあります)。これまでのような、族議員の集合体である自民党や各省官僚制は、この構図に適した仕組みです。富の配分政治を変えるためには、族議員を打破し、各省官僚制を変革しなければなりません。
同じく日経新聞「風見鶏」では、西田編集委員が「シンクタンクで行こう」を書いておられました。「霞ヶ関の官僚機構と二人三脚で、自民党は結党以来の50年間、ほぼ一貫して政権を担ってきた。霞ヶ関は自民党の知恵袋であり、シンクタンクとも言える存在だったが、自民党は50周年記念事業の目玉として独自のシンクタンクを創設する」「霞ヶ関の発想からは出てこない政策が必要になっている」「小さな政府と言っても、党内でイメージが定まっていない。自分の首を絞める話だから、こういう問題意識は役人からは絶対出てこない」
2つは別の記事でしたが、期せずしてシンクロナイズ(同調)していました。

社会科学による大震災の分析5、その3

日本学術振興会「大震災に学ぶ社会科学」第2巻『震災後の自治体ガバナンス』第5章、北村亘・大阪大学教授の「被災自治体に対する政府の財政措置」から。
・・・一連の分析を通じて明らかになったことは、広範囲での甚大な被害からの復旧・復興に対して、政府は、発災直後の2011年度の一連の補正予算などで巨額の財源を確保し、特別な税財政制度の整備を行ったということである・・・また、政府の巨額の財源は、被災地域の地方自治体の状況に応じて柔軟に交付されていることも明らかになった。第1に指摘しておくべきことは、発災直後に被災3県を中心に予算が交付されたあと、2012年度には実際のまちづくりの担い手である被災市町村にまで財源は到達したということである・・・
・・・2011年3月の発災直後から今日までの政府の対応は、常に厳しい批判にさらされている。どうしようもない苛立ちや焦りは政府関係者の失言などで増幅されることもあった。しかし、財政力の乏しい東北地方の自治体に、裁量度の大きい交付金の交付や予算年度を越えて執行できる取り崩し型基金の創設という形で潤沢に財源を供給したことは、広範囲を襲った大規模災害における1つの財政モデルを提供している・・

むすびのごく一部だけを引用したので、先生の検証を、ぜひ原文でお読みください。地方団体の方とマスコミの方には、読んで欲しいです。
公平な評価を、ありがとうございます。日本のマスコミと学界では、ともすれば、というかほぼ確信的に、「政府は批判すべきもの」という前提があります。このように客観的に検証していただくと、ありがたいです。マスコミは、このような事実と評価は報道してくれないのでしょうね。そして国民は、批判記事ばかりを読むことで、「政府は悪い奴」と思いこむのでしょうね。A新聞さん、Y新聞さん、M新聞さん、N経済新聞さん。誉めてくれとは言いませんが、たまにはこのような視点からの記事を書いてくださいよ。

園遊会

今日12日午後に、園遊会にご招待いただき、キョーコさんと参加してきました(NHKニュース)。広々とした庭園、着飾った人たち(といっても、男性はモーニングか紺のスーツで代わり映えしませんが)。非日常の世界がありました。
このような社交の場は、もっとほかにもあって良いと思うのですが。高級料理店も和洋中と、たくさん増えています。おじさんたちが集まって、酒を飲むだけではなく、一工夫欲しいですね。

復興推進委員会

今日11月11日、復興推進委員会を開催しました。取り組みと課題を報告したほか、大臣から観光に力を入れたい旨の発言があり、委員からもぜひ進めるべきだとの意見が相次ぎました。日本への外国人観光客が急増していますが、東北地方は増えず、ある人の言葉を借りれば「一人負け」の状態です。復興のためにも、地域の活性化のためにも、訪問客を増やす必要があります。これまでは、住宅やインフラの復旧などに重点を置いてきましたが、5年を迎えるいま、次に進める段階に来ています。
また、来年で5年の節目を迎えるので、復興の進捗を全国に向けて発信するべき、国が前面に立って進めて欲しいとの意見もあり、取り組むことにしました。
定例の資料を更新したので、ご利用ください。また、パンフレットを新しくしました。