これに関連して、かつて「公務員のスト権」について議論したことを、思い出しました。国家公務員と地方公務員は、ストライキが禁止されています。しかし、業務の内容を見たら、民間企業の中に、もっと国民生活に不可欠な部門=ストをされたら困る部門があります。
サービスの提供が停まると、個人の生活や社会の活動に大きな被害を及ぼすものです。たとえば、電気やガスの供給、銀行や通信、運輸のシステム、医療などです。そこで、公益事業については、ストをする場合に、事前の届け出が必要です(労働関係調整法)。医者の場合は、病人が来たら診察義務があります(医師法)。事前にストがあるとわかっておれば、国民も予定を立てて備えることができます。計画停電は、東日本大震災の直後に東京電力が実施しました。もっとも今の社会では、通信会社がストをして電話や電子メールが使えないとなると、大変なことになるでしょう。
しかし、もう一つ、より深刻な部門があります。危機管理や危機対応の部門です。例えば、ガス漏れを修理に行くガス会社の部門、電力会社の原発運転部門、民間病院でも救急部門などです。ガス漏れを修理に行く部門がストをしたら、ガス漏れがあったときに大災害を招きかねません。原発運転部門が予告どおりストをして、そのときに事故が起こったら、大変なことになります。このような場合の備え(法的規制)は、どうなっているのでしょうか。また、インターネット上でサイバー攻撃などを監視して、ソフトに穴があったらそれを防ぐ仕事をしているIT会社も、今や重要な危機対応部門です。
なお、冒頭に「公務員と比べたら」と書いたのは、これらの業務に比べて、××省の職員給与を計算する部門や統計部門などは、重要ではありますが、少々ストをしても国民生活には直ちには影響はないだろうということです。