11日の朝日新聞「舟橋洋一が聞く」は、シンガポールのリー・クアンユー元首相へのインタビューでした。リー首相は、ルック・イーストを掲げ、日本をお手本として国家の発展を進めた方です。アジアの指導者が、日本と世界の将来、そして日本がなすべきことを、どう考えているかを知ることは、大切なことだと思います。もちろん、外国人の話を盲目的にありがたがることは、私は反対です。しかし、外国の有識者の厳しい意見にも、耳を傾けるべきでしょう。
その点で、日本人は、日本人論が好きだという説があります。私は、「これまでの外国人による日本評、あるいは日本人による日本人論は、日本をほめて欲しい、日本だけが特殊だという説を補強するために利用されることが多かった」と考えています。アジア各国が経済的にテイクオフしない時、「日本だけが非白人国で経済発展に成功した」とほめて欲しかったのです。それは、日本人の自意識をくすぐります。だからこそ本が売れるのです。たぶん、これまで流行ったほどには、今後は日本人論は流行らないと思います。悲観論は流行るでしょうが、それは売れませんよね、よほど自虐的でないと。