このような分析を進めると、次のようなことも見えてきます。
これまで、審議会は「官僚の隠れ蓑」と批判されてきました。それは、委員が各省の意向で選ばれ、審議会の運営が「根回し」「ご説明」などにより実質的に官僚によって取り進められることによって、審議会は官僚が実質的に決めた政策に「お墨付き」を充てるものになっているのではないかという批判です(拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」)。私も、よくそう説明していました。
ところが、この批判もよく考えると、変な批判なのです。すなわち、この批判は、「政策は官僚が決めるもの」という観念にとらわれています。本来、民主主義国日本にあっては、政策は選挙で選ばれた政治家が決定するはずです。そこには、政策立案は政治家が官僚に丸投げし、官僚は自らは正統性がないので有識者の意見を聞いたという形を取る、という演技が透けて見えます。
例えば税制改正なら、首相・財務大臣・総務大臣のリーダーシップ、政府税制調査会、与党(税制調査会)の関係が、問題になるはずです。それは、誰が財政に責任を持つのか、また、国民に対して責任を持つのかということです。