13日の日経新聞に、大林尚編集委員が、後期高齢者医療制度の政府与党見直し案について、「応分の負担、根幹崩すな」を書いておられます。
・・これほど評判の悪い制度も珍しい。野党や一部メディアから「姥捨て山」「家族の分断」などという批判が渦巻いた。だが、この批判は必ずしも的を射ていない。
・・膨張が避けられない医療費を各世代がどう分かつかを考慮した結果、この制度に行き着いた。対象を高齢者に限っているだけに、年金が少ない人の負担をある程度軽くする必要はある。しかし見直し案は、負担軽減策をちりばめたように見える。しかも、2008-09年度に必要になる約890億円をどうやって調達するか、明示していない。与党の文書は「財源措置は政府の責任で適切に対処する」と、人ごとのような書き方だ。
・・財政規律回復へのタガが外れたといっていい。それは将来世代への借金のツケ回しを意味する。
・・悪評がいっこうに収まらないのは、野党のネガティブキャンペーンに押されて、与党が防戦一方になっているのも一因だ。ここは無責任な批判を逆手にとって、将来世代のためにも高齢者層に相応の負担を求める意味を、愚直に説明する粘り強さが、政権与党に必要だ。