日韓関係の過去と未来

10月22日の朝日新聞「百年の明日。ニッポンとコリア」は、韓国併合100年記念の座談会でした。
小此木政夫教授の発言から
・・日韓には不幸な過去の歴史がある。そのため我々は過去から現在を、現在から未来を考える習性が身についているが、時には未来から現在を考えてみたい。20年後の日韓関係は、どのようなものだろうか。日韓はすでに民主主義と市場経済、人権・人道という普遍的価値を共有している。技術に依存する貿易国家という産業構造や少子高齢化という点も共通する。安保体制でいえば、米国を通じ、日韓は「疑似同盟」の関係だ。大衆文化の交流も進んでいる。こうした流れから、将来は一見して区別しがたい双子のような国として、中国の周辺に存在するだろう。だが、日韓は良き友でありライバルだ・・

若宮啓文さんの発言から
・・この100年に朝鮮民族は3つの悲劇に見舞われた。35年間の日本による支配、解放後の民族の分断、そして内戦。そんな中で民主化と経済発展を遂げた韓国には、敬服する。
戦後の日韓関係を、3期に分けたい。国交がなかった65年まで韓国では反日が進み、日本では植民地支配を反省する機運がなかった。第2期は韓国の軍事政権時代で、「軍事独裁の国」と「過去を反省しない日本」が互いの嫌な点を我慢して国交を正常化。経済協力の実を上げたが、時に矛盾が噴き出した。第3期は韓国の民主化宣言(87年)以降。交流は次第に自然になり、歴史認識の問題でも日本の首相らの謝罪が相次いだ。併合100年の今年、日韓は真の「成熟時代」に入るべきだ。その際に大事なのは、なお不満はあれ、共に影響し合って、過去のどの時期に比べても互いに見違える存在になったという基本認識だ・・

深川由起子教授の発言から
韓国の経済的な成功やそれを土台にした政治的、社会的成熟は、日韓関係の発展に大きく貢献してきた。
貿易、投資、技術移転などの拡大は、日韓に「経済関係」という第1に柱を生んだ。経済的成功は韓国に膨大な中間層を生み、民主化と言論の自由が進んだ。多様な価値観と社会の多元化が促され、両国は「体制の共有」という第2の柱を得た。さらに市民団体が影響力を持ち、草の根交流が拡大。年間500万人近い往来など日韓関係はグローバル化の中で相対化され、「社会的紐帯」という第3の柱ができた・・