雑誌「ウェッジ」11月号は「特集 民主主義は 人々を幸せにするのか?」でした。
記事の一つ、佐藤卓己・上智大学教授の「ネガティブ・リテラシーを持ち 情報過剰時代を生き抜く」に、次のような文章があります。
・・・そもそも自民党総裁選がこの構図で行われたのは、岸田文雄内閣の退陣表明のためだ。外交でも経済でも大きな失策はなかった岸田内閣だが、自民党派閥の裏金事件を背景に内閣支持率は低迷した。「支持率が20%を切れば退陣」が21世紀日本政治の常識である。与党である自民党と公明党の支持者が3~4割だとすれば、支持率20%派与党支持者の過半数も不支持ということになる。
これを世論駆動の「ファスト政治」と私は呼ぶ。特に小泉純一郎内閣以後の短命内閣はいずれもメディアの世論(人気)調査報道で首相が選出され、内閣支持率が20%を割る「賞味期限切れ」で退陣した。
逆にいえば、安倍晋三長期政権はこの内閣支持率を何よりも重視し、人気取りイベントや即時報酬的なバラマキ予算を次々に繰り出した結果であり、これを政策本位の政治と評価することは難しい。そうした「ファスト政治」によって長期的な展望が日本政治に見えないことへの不安を感じる人は少なくないはずだ・・・