再チャレンジ支援策を考えていると、行政のあり方を考えることにつながります。ここでも何度か書きましたが、日本の行政は、任務と手法について、大きな曲がり角にあります。再チャレンジ支援策は、それが典型的に表れるのです。
これまで中央省庁は、いわゆる業界の振興を主な任務としてきました。産業の振興であり、公共サービスの拡大です。それらは、業界を通じて行われてきました。しかし今、再チャレンジ支援政策が対象としなければならないのは、人、国民一人一人です。ここに、行政の大きな転換の方向があります。任務=対象の転換です。金融行政や食の安全などを、このHPでは代表例として示しました。
また、従来の行政は、産業の振興や公共サービスの拡大であったので、「財政資金による整備や支援」と「法令による規制や保護」で達成することができました。今、再チャレンジ支援策が取り組まなければならないのは、従来の規制を改革することとともに、社会の仕組み、国民の意識の改革です。その際、規制の改革は、法制度の改革で達成できますが、社会の仕組みや国民の意識改革は、予算と法律では達成できないのです。この例としては、男女共同参画社会形成があります。
このように、再チャレンジ支援策は、行政の任務と手法において、これまで100年の行政と違った、新しい次元への挑戦でもあるのです。拙著「新地方自治入門-行政の現在と未来」の続編は、このようなことも、盛り込まなければなりませんね。