仕事になると、急に再チャレンジの記事が、気になります。なるほどと、勉強になるものも多いです。11日の読売新聞「安倍政権に望む」は、三浦展氏の「格差拡大、若年層に絞り対策急げ」でした。安倍政権は格差を固定化させない再チャレンジ政策などを行う方針だ、という問いかけには「対策を若年層に絞った点は評価したい。専門家は『格差の6割は高齢者が増えた分だ』などと言う。しかし、私の著書『下流社会』がベストセラーになったのは、高齢者が買ったからではなく、若者が読んだからだ」。格差是正はどのように進めていくべきかとの問には、「独身で親に経済的な面倒を見てもらっているパラサイトと、2人の子供を抱えた既婚者とを同列には論じられない・・・」。
週刊「東洋経済」10月14日号では、八代尚宏教授が「時代に逆行する雇用の規制強化」を書いておられました。
「安倍新政権の大きな課題は再チャレンジ政策だが、これは働き方の多様化や雇用の流動化なしには実現できない。雇用と年功賃金が保障される正社員と、そうでない非正社員との大幅な賃金格差を是正するためには、1600万人もの非正社員を正社員にする法律を作ればよいという論理はあまりにも無責任である。規制で雇用を安定化させるという考え方は、派遣社員の契約期間を制限し、その後、引き続き働いてもらうには正社員としての雇用申し入れ義務を企業に課している現行の派遣法にも存在する。こうした規制は、企業に対してむしろ派遣期間の短縮化を強いており、派遣社員の雇用を逆に不安定にしている」
「日本のような正社員と非正社員の身分格差は、賃金の年功制や過度の雇用保障から派生している。これを欧米のような同一労働・同一賃金の職種別労働市場に近づけるためには、有期契約の長期化等、非正社員としての雇用の安定化を図る一方で、仕事能力にかかわらず雇用が保障される正社員の既得権の見直しが重要である」