連載「公共を創る」第197回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第197回「政府の役割の再定義ー成熟社会の到来と変化する国のかたち」が、発行されました。

前回から、若者が公務員を目指さないこと、採用されても早期に退職する者が増えてきていること。その背景に、転職自由社会が到来し、社員や職員の人事政策の前提としていた日本の労働慣行 が崩れつつあることを説明しています。

早く必要な技能を身に付けて、自分の考えを実現していきたい人。会社を否定するわけではないが、自分の職業人生のための過程(ワンステップ)にすぎないと早期の転職を考える人が増えています。これは、年功序列による職員の選抜と技能や経験の蓄積という、従来の企業側の戦略とは相いれない思考です。

このような変化は、職場だけでなく、私たちの暮らしのかたちを変えました。暮らしを形作る主要な枠組み、修学、働き方、家族の形が、昭和後期の経済成長期とともに、平成時代にも大きく変わったのです。それぞれ自由になり、選択肢も広がったのですが、その結果、従来の日本人に安心を提供していた血縁、地縁、社縁が薄くなりました。