吉田書店から「岡義達著作集」が出版されました。絶版になっていた岩波新書『政治』が読めるようになったことは、喜ばしいです。
『政治』は、政治を見る際の、見方の枠組みを示しています。「政治」は人によって意味するところが異なります。その違いはどこから来るのか、では共通するのは何か。最大公約数を探ります。
岡先生の政治学は、象徴論と分類されるものです。人と人との関係を、力や金銭ではなく、意味の共有として考えます。そして、時代を超えた共通項を剔出します。政治とは何か、政治学とは何かを考えたい人には、ぜひ手に取って、挑戦してほしいです。
前にも紹介したように、苅部直東大教授の政治学の入門書『ヒューマニティーズ 政治学』(2012年、岩波書店)の読書案内の最後に、次のように書かれています。
・・そして最後に、ある意味で大人向け、もしくはプロ向けの、「政治」に関する本を二冊。岡義達『政治』(岩波新書、1971年)と佐々木毅『政治の精神』(岩波新書、2009年)。どちらも、新書版とは思えないほどに読み口の重い本であるが、それは決して抽象的で難解という意味ではない。じっくり読み解いていけば、「政治」という営みがまとう、意味の分厚い塊がしだいに溶け出してくるように感じられるはずである・・
吉田書店は、よい本を出してくださいますね。ありがとうございます。「『解(ほど)けていく国家―現代フランスにおける自由化の歴史』」
「岡義達著作集2」に続く