18日の日経新聞は、「コムスン不正請求問題。介護保険、自治体チェック不十分」を解説していました。2000年に介護保険制度が導入されてから、2007年3月までに、指定取り消しなどの処分を受けた介護保険事業所は、全国で478件になるとのことです。介護が行政(自治体)による「措置」から、民間事業所と要介護者との「契約」になりました。すると、事業者が不正をしていないかを検査監督する必要が出てきたのです。類似の例として、建築確認があります。耐震性能を偽装したマンションが、昨年大きな問題になりました。これも、建築確認業務を民間に開放したことから、生じました。
もっとも、官が直営していると安心かというと、そうではありません。社会保険庁のずさんな年金記録問題は、官であっても問題を生むことを、しかも民間より大きな問題を生むことを示しました。
課題は、官の直営であっても、民の活用であっても、検査監督が重要だということです。しかし、事前調整型行政から事後監視型行政への転換は、まだ始まったばかりです。事後監視手法に慣れていないのです。また、人員も必要になります。金融行政が、事前調整から事後監視型に転換しましたが、その際には膨大な検査員の増員が必要だったのです。