連載「公共を創る」第165回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第165回「政府の役割の再定義ー組織の目標と幹部の役割」が、発行されました。
行政組織において、どのようにしたら政策や業務の見直しが進むかを議論しています。今回は組織の目標という観点から考えてみます。
業務の見直しを進めるには、上司が部下にその目標を示すことが重要でした。それに対して、政策の見直しを進めるために、組織の目標はどのように設定されているかです。

各課の目標はどのようにして設定されるのでしょうか。その目標は、課長が部下に与える目標の出発点であるはずです。まず課の目標があり、それを分配したものが各職員の目標になっているはずです。
ところが現状では、国では府省の任務と各局・課の所掌事務は明示されているのですが、それらの組織が達成すべき目標、すなわち整理すべき課題と解決の方向は記されていません。

組織の目標には「所管している制度の運用」「所管行政に関する課題への対応」という二つの軸があるのだと思います。
一般化すれば、前者の既存制度の運営は、課長以下の職員が主に担うことであり、省の幹部である局長が細かいところまで関与する必要はないでしょう。
それよりも局長が力を割くべき主たる役割は、社会全体を見渡しながら、その中で自らの所管行政に関する課題を発見し、その解決を組織の目標の中に組み込むことです。
この点が、まだ十分に理解されていないようです。