日本の大学は社会から期待されていない

8月19日の日経新聞「教育岩盤・突破口を開く」、吉見俊哉・国学院大教授の「「若者だけの大学」脱却を」でした。

社会人に学び直しが求められる時代を迎えた。社会学者の吉見俊哉・国学院大教授は大学は若者が社会に出るための「通過儀礼」から脱却し、新しい価値を生み出す力を育む手助けをする存在になるよう訴える。

――学び直しは必要ですか。
「人生で大学には3回入るべきだ。高校卒業後の18〜21歳、30〜40代、50〜60代にそれぞれ大学に入ることを勧めたい。30〜40代は仕事に慣れ管理職に進むか別の道に挑戦するか考える時期。50~60代は定年後のキャリアを描く時期。人生を選び直す好機だ」
「経済成長が限界を迎え、職場内の人材育成が機能しなくなっている。大学は人生の『マルチステージ』をつなぐ役割を果たして欲しい。硬直化した労働市場に変化が生まれるはずだ」

――学び直しで大学を選ぶ人は多くありません。
「日本の大学は社会から期待されていない。入試と就職の間の『通過儀礼』と捉えられている。入試で測られる偏差値は企業から信頼されているものの、大学で学ぶ効果はよく分からないと思われている」