5月26日の読売新聞が「G7 政策立案の指標見直し 脱経済偏重「幸福を追求」」を載せていました。
・・・今月11〜13日に新潟市で開かれた先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、「幸福の追求」が議論された。経済成長に限らず、様々な側面から幸福度を捉え、政策に生かそうとする動きが広がっている。
G7で話し合う議題は、議長国の日本が設定した。金融システムの安定やウクライナへの支援といった喫緊の課題に加え、幸せを実現するための政策をテーマにしたのは、国内総生産(GDP)の成長が重要であることに変わりはないものの、それだけでは限界があるとの問題意識からだ。
GDPは経済の大きさを測る指標として各国が重視しているが、無料のデジタルサービスや無償のボランティアなどは反映されない。経済規模が大きくなっても環境が悪化したり格差が拡大したりすれば、人々の幸せにはつながらない。
G7では、GDPでは表すことのできない、多様な価値を重視した政策のあり方を巡って意見が交わされた。13日に採択された共同声明では、「幸福をよりよく評価するための指標を、いかに実用的かつ効果的な方法で政策立案に組み込むか、検討する必要がある」との文言が盛り込まれた・・・
・・・他方、すでに多くの先進国や国際機関は、幸福度を表す指標を作っている。幸せの程度は主観的な感情であるため、「最近の生活にどの程度満足していますか」といったアンケート調査で測定。失業率や平均賃金など、幸福度と関係の深い統計データを組み合わせ、指標群(ダッシュボード)として示すのが一般的だ。
政策現場での動きは、2008年のリーマン・ショックの後に目立つようになった。過度な利益の追求が経済危機を招いたとの反省から、「豊かさ」を見直す機運が高まった。
経済協力開発機構(OECD)は11年、各国の生活の豊かさを示す「より良い暮らし指標」を作成した。国民生活に密接に関わる住居や仕事、健康など11項目で構成する。
また、国連の研究組織は12年以降、14年を除いて国ごとの幸福度を測定し、結果を「世界幸福度報告書」として公表している。
測定では、米ギャロップ社の世論調査をベースに「人生選択の自由さ」などを評価し、1人当たりGDPや健康寿命など六つの要素をもとに数値化する。
今年のランキングで、日本は137の国・地域のうち47位だった。これまでの順位を見ても40〜60位台で推移しており、先進国では下位にある。上位に北欧諸国が目立つのは、毎年の傾向だ。
もっとも、このランキングには批判が多い。日本をはじめアジア諸国では、人生に対する評価を聞かれて「普通」といった中間的な回答をすることが多く、個人主義的な傾向の強い欧米諸国に比べ、数値が高くなりにくいとされる。幸福度の捉え方は、社会や文化によって異なるのが実情だ・・・