5月24日の朝日新聞くらし欄「コロナ5類、専門家たちの葛藤2」、押谷仁・東北大教授の発言から。
・・パンデミック対策として集中治療室(ICU)や人工呼吸器が足りなくなる状況を誰も考えていませんでした。政府が考えていたのは初期対応だけ。少数の感染者が発生した際に保健所が入院調整し、患者は感染症指定医療機関に入院し、保健所が聞き取り調査をするところまでです。
こうした対応ではパンデミックが起きると3日で破綻しますが、医療が維持できなくなることは「起きないこと」になっていました。原発事故が「起きないこと」になっていた福島の事故の背景と同じです。
感染症疫学の専門家の仕事は「Aの選択だと1千人亡くなる」「Bの選択だと1万人亡くなる」などと示すことです。どの選択をするかは、選挙で選ばれた政治家が決め、選択をした理由を説明するべきです。
日本の政治家はそれをしておらず、専門家が対策を決めているかのように誤解され、批判の矛先が向きました。政府は「感染対策に万全を期した上で経済を回す」と言いますが、おとぎ話でしかないと思います。対策緩和で感染リスクがどの程度高まるかは、政府が説明すべきです・・・