昨日紹介した9月8日の日経新聞、被災地の産業復興特集に、次のような記事もあります
東日本大震災の直後、東北の地方銀行最大手の七十七銀行は、三陸沿岸などの津波被災地で通帳や印鑑を失って途方に暮れる住民の預金引き出しに、上限10万円として応じました。
件数は、3万9030件。大勢が臨時窓口に押しかけ、本人確認も十分できず住所・氏名・連絡先と拇印をもらうだけというケースもありました。預金残高10万円未満なのに、10万円を持ち帰る人もいました。
多額の損失やむなしと思える状況ですが、結局損金発生はたったの2件でした。残高を超えて引き出した人は、後日、超過分を入金して帳尻を合わせました。損失発生率は0.005%です。氏家照彦頭取は「天文学的数値。良いお客様を持った」と、感謝しています。
日本社会、特に東北地方の、律儀さとまじめさを示すデータです。大災害後に暴動も略奪も起きない、冷静で成熟した社会。これは、他の先進国でも発展途上国にもないすばらしいものです。日本社会を支えている社会的共通資本でしょう。