特別支援学校生の増加はよいことか

4月1日の朝日新聞オピニオン欄、菅原麻衣子・東洋大学教授の「特別支援学校生の増加 共生社会の視点で検証を」から。

・・・3月2日付の本紙で、全国の公立特別支援学校で3740教室が不足していることが報じられた。特別支援学校に在籍する子が10年前から16%増えたことを、文部科学省の担当者は「特別支援学校への理解が深まっているからでは」とコメントしたが、これには疑問を感じる。
なぜなら、世界の潮流は日本の逆をゆくからだ。障害のある子とない子が共に学ぶ「インクルーシブ教育」の進展が評価されている国では、特別支援学校・学級の設置は抑制の方向にある。通常の学校・学級で、いかに個別に支援し、学びやすい環境を提供できるかが追求されている。障害者の定義は国によって異なる面があり一概に比べられないが、日本はこのまま特別支援学校・学級の増加傾向に合わせて、施設の総量を増やすことに注力するのでよいのだろうか・・・

・・・問題なのは、日本ではなぜ特別支援学校・学級を選択する子が増え続けているのか、十分に検証されていないことだ。友達や先生に負担をかけるかもしれない、学校にエレベーターがないから……。それなら支援が手厚い特別支援学校・学級に行こう、と消去法や諦めから選択させていることはないか。増加した要因分析や評価が急務であると考える・・・