「声を上げない社風」の続きです。11月30日の朝日新聞「形ばかりのガバナンス改革 社外取締役、機能せず「お飾り」 相次ぐ企業不祥事」
・・・みずほFGも三菱電機も東芝も、社外取締役が多数を占め、先進的なガバナンス体制といわれる「指名委員会等設置会社」だ。改正会社法により導入され約20年になるが、東証に上場する約3800社中、移行したのは約80社にとどまる。人事も報酬も監督も社外取締役を中心に進めるガバナンスの「優等生」に不祥事が目立つのはなぜだろうか。
みずほの社外取締役には元最高裁判事や元大手監査法人トップ、元富士通社長などそうそうたる顔ぶれがそろう。三菱電機や東芝も同様だ。繰り返す不祥事をみれば、金看板はただの「お飾り」になっていたといわれても仕方がない。
社長や業務執行を兼ねる取締役を監督するのが社外取締役たちの役目だが、社内にネットワークがあるわけではない。生え抜きの社長や会長らに情報が集まり、社外取締役との間に「情報格差」が生まれるともいわれる。むしろ、金看板は、社長たちの考えの追認機関となり、監督機能をきちんと果たしていないのではないか。
社外取締役の起用を求める2015年のコーポレートガバナンス・コードの導入で、独立社外取締役が全取締役の3分の1以上を占める東証1部上場企業は7割を超えた。ただ単なる数合わせでは意味がない。不祥事があった場合には社外取締役にも報酬返上を促すなど、企業統治の要として責任を厳しく問うべきだ。
内輪の論理が強くなり過ぎると、社会が企業に期待するものと衝突しかねない。その利害関係を調整するのもガバナンスの大切な役割だ。カーボンニュートラルなどの環境対策をはじめ、賃上げや投資の好循環、労働者の人権問題など、企業には持続的な成長だけではなく、より多くの社会への還元が求められるようになった。形ばかりのガバナンスを続けているようならば、やがて社会への「裏切り」を招くことにもなりかねない・・・