総務省が、「届出避難場所証明事務処理要領」を、全国の自治体に通知しました。これは、元の市町村を離れて避難している住民のために、現在いる場所の証明書を発行しようというものです。
避難している人たちの多くは、住民票を元の市町村に残しています。いずれ、戻るのですから。ひとまず、避難先の自治体に住民票を移して、元の住所に戻る際に住民票を戻すということも可能ですが。住民票を、現在いる場所(避難先)に移さなくても、行政サービス(教育や福祉)は受けることができるようにしてあります。
ところが、民間サービスで、住民票がないと困る場合があることがわかりました。
自動車や携帯電話を買おうとすると、避難先での住民票を求められる。クレジットカードを作ったら、住民票のあるところに送られる。不在の時に、郵便物が配達され、後で受け取る際に現住所を証明するものがないので、受け取れないなどです。
「住民票を、元の住所と現在の避難地の2か所で出せばよい」という意見もあります。しかし、2か所に住所があると、2か所に税金を納めなければならず、選挙権も2つあることになります。これは困ります。
そこで、住民票は元の市町村に残しつつ、避難先に住んでいることを元の自治体が「証明する」ことにしました。
避難している人たちは、今いる場所を元の市町村に届け出ているので、事務自体はそんなに難しくありません。ただし、様式などを統一しておいた方が、その証明書を見る人たちにとって便利なので、そのひな形を総務省が示したのです。
避難元市町村は、順次、証明書を発行する予定です。
総務省の後輩たちが、良い方法を考えてくれました。私は、「被災者支援や復興は、これまでにないことを考える、行政のフロンティアだ」と言っています。その一つの例です。ありがとう。