3月10日の朝日新聞に、3県住民の復興評価調査結果が載っていました。「(いま伝えたい「千人の声」2012→2021)アンケートから:上 東日本大震災」
地元の復興が順調に進んでいるかを4段階で尋ねたところ、「進んでいる」「まあまあ進んでいる」の合計が3県全体では81%だった。県別では、岩手95%、宮城90%に対して、福島は50%にとどまった。
この質問は、2013年から毎年尋ねている。13年は岩手・宮城が20%超で、福島は11%。岩手・宮城と福島との差が年々開く傾向があった。被災前、福島県大熊町に住んでいたいわき市の女性(53)は「人が戻らない町。形を整えるのも大切だが、現実的でない環境。廃炉する場所、町に安心した生活はあるのか」と訴えた。
震災前と比べ、近所同士の交流が活発かどうかを尋ねると、「交流がなくなった」「交流が減った」の合計は、岩手65%、宮城63%、福島79%だった。福島県楢葉町から会津美里町に避難した女性(82)は「楢葉町から離れているので交流の機会はなくなった。婦人会で集まりがあるときは、できるだけ出かけていこうと思っている」と答えた。宮城県亘理町の男性(71)は「津波で空き地になった宅地が多いが、年2回、草刈りやごみ拾いを行っている」とした。
10年後の31年は「震災から20年」となる。その頃の地域の雰囲気や活力について、今と比べて「変わらない」とみる人が3県とも40〜50%台。「とても明るくなる」「やや明るくなる」の合計は、岩手、宮城が26%、福島が30%だった。
「心の復興」について、震災直後の最も悪い状態を1とし、震災直前に完全に戻った状態を10として10段階で尋ねたところ、3県全体の平均は6・4だった。2017年は6・1で、以降はほぼ横ばいだった。県別では、岩手7・0、宮城6・7に対し、福島は5・3で、心の復興でも差が出ている。
10に達しない理由を三つまで聞くと、「近所づきあいがなくなった」が最多の44%で、この質問を始めた17年より9ポイント増えた。「住宅」や「家族との別居」の悩みが減り、個々の生活基盤の改善がうかがえる一方で、「町の活気が戻らない」が大きく増え、近所づきあいがなくなったことと合わせて、地域のつながりの再生が難しい実態が浮かんだ。
震災後10年間で受けた行政からの支援や対策について、3県全体では「満足している」が11%、「どちらかといえば満足している」が53%、「どちらかといえば満足していない」が23%、「満足していない」が13%だった。
ただ、福島の満足度は低い。「満足している」「どちらかといえば満足している」の合計は、岩手81%、宮城60%に対して、福島では48%にとどまった。