在宅勤務が変える仕事の仕方

在宅勤務の処方箋」の続き、会社側の課題です。

20日の日経新聞は、「職場には戸惑いの声 時間管理「難しい」68%」が載っていました。エン・ジャパンが中小企業491社を対象に実施した調査です。
それによると、テレワークの導入で難しかったこと(複数回答)は「社員の時間管理」が68%と最多。このほか「利用条件の設定」や「業務ルールの設定」「社員への指導・業績評価」などです。
よかったことは、「通勤困難の社員が継続して働ける」「業務効率の向上」「多様性のある働き方を選べる」などだそうです。

在宅勤務は、仕事の仕方を変えるよいきっかけです。
4月14日の読売新聞夕刊に、柳川範之・東大経済学部教授へのインタビュー「働き方 今こそ変える!」が載っていました。柳川先生は、このページでも紹介したことがあります。独学で大学に進みました。「柳川範之・東大教授の独学勉強法

・・・柳川 もし今、このIT技術がなかったとしたら、どんな隔離生活になっていたか。無理して会社に行くか、家でじっとしているしかなく、かなり悲惨な事態になっていたはずです。それがこの技術があるからこそ、家でもある程度、仕事や勉強もでき、ネットでの注文や医療もできる。
会社に行けないから、仕方がなくオンラインで仕事するという空気もありますが、変革の契機と前向きに考えたほうがいい・・・

・・・柳川 第一に、働くイコール会社に行くこと、と思ってきた人は、意識を変えざるを得なくなる。家で仕事をするからには、それぞれがすべき仕事の中身を、自分で考えざるを得ない局面が増えるからです。
——部下を怒り、駄目出しばかりしていた人、「仕事が忙しい」と深夜帰りしていた人が家でガミガミ、ゴロゴロしていたら、仕事の内実がバレそうですね。
柳川 怒ることが必要な局面もあるでしょうが(笑)、オンライン会議になると大事な会議だけ開催することになるので、いらぬ説教は減るでしょう。
——在宅勤務は公私の区別がつきにくく、長時間労働が懸念されています。ストレス蓄積で虐待、DVの増加も心配されています。
柳川 技術革新の時代にあって、失敗がない体制をつくってから動こうとする日本は、米中に比べて対応が遅いとされてきた。しかし、もはやできる範囲でテレワークをせざるを得ない以上、やりながら真剣に試行錯誤するしかない・・・