以前から疑問に思っているのですが。
日本美術を専門にした大きな美術館がありません。山種美術館、三井記念美術館、泉屋博古館など、小ぶりで良い民間の美術館は、いくつもありますが。
国立には、東京国立博物館、国立西洋美術館、国立近代美術館はあるのです。国立日本美術館はないのです。たぶん、こういうことだと思います。
文物については、博物ということで、国立博物館でも集めた。美術は、西欧の美術を紹介するために、力を入れた。他方で、日本美術は、国家が集めなくても、身の回りにたくさんある。ということではなかったのでしょうか。
欧米でも、美術館、博物館は、よその国から集めてきた珍しいものを展示したようですから。美術品は、購入者や支援者がないと、政策は成り立ちません。スポンサーです。王侯貴族やお金持ちです。
で、日本でも、藩主や財閥、お寺が持っていました。いくつかの美術館はその系統です。維持できなかったものは売られて、散逸あるいは美術館に収まりました。
なぜ、このようなことを指摘するのか。海外からの訪問者に、「日本美術を見るならここに行きなさい」と紹介する場所に悩むからです。
日本美術をたくさん所蔵している美術館は、東京国立博物館、京都国立博物館、九州国立博物館のようです。
東京国立博物館は、それなりに日本の文物を紹介するには良いのですが、分野が広すぎます。ハニワから刀までありますからね。近年開かれる特別展も良い企画があるのですが、焦点を何に絞っているのか、わかりにくくなっています。日本人を相手に、珍しいものを見せるのか。その際に、外国人はどう扱っているのかです。
外国人、あるいは日本人でも若い人に、日本美術を見せる施設や工夫が欲しいです。実物はいくつもの美術館に分散保管されているとして。系統だって見せる施設。そしてこの時代ですから、インターネットで多くのものを見ることができる仕組みです。
日本美術だけでなく、伝統芸能の世界も、外国人観光客に近寄りやすくなっているのでしょうか。