3月23日の朝日新聞オピニオン欄「改憲議論とアメリカ」、阿川尚之さんの発言(3月28日の記事)の続きです。
・・・私も改憲論者ですが、大幅な改正、新憲法の制定は、約70年間、最高法規として機能してきた憲法の正統性を傷つける可能性があります。米国の憲法史から学べることの一つは、条文ごとに修正の是非を議論し、実質的改憲についても議論を重ね、大方の国民が納得する憲法の改変を一つ一つ慎重に実現しながら、憲法全体の正統性を保ってきたことでしょう。
保守派が憲法の根本的見直しを主張する一方で、リベラルの側が一切改正すべきでないと主張しているのは皮肉です。9条をめぐる議論をはじめ、私にはいずれも「鎖国状態」、国内だけで通じる「一国立憲主義」に思えます。
米国憲法制定の際には、独立した13の旧植民地の安全保障が強く意識されていました。日本でも、現行憲法はもちろん明治憲法、さらに古くは律令制度を採用したのも、当時の国際環境に対応し国家の安全を保障する必要があったからだと思います。憲法を考えるには、安全保障や国際関係からの視点が欠かせません・・・