3月26日の朝日新聞1面トップは、「避難指示区域、除染完了へ、今月末、帰還困難区域に重心」でした。
・・・東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性物質を取り除くため、環境省が福島県内11市町村の避難指示区域内で進めてきた除染作業が、目標の3月末で完了する見通しになった。政府は今後、残る帰還困難区域の除染とインフラ整備に福島復興の重心を移す・・・
前例のない作業です。どのような方法が合理的か、はぎ取った土や草木はどこにどのように保管するのか。それを試行しながら、進めました。関係者の努力と、作業員のおかげで、ここまで来ることができました。6年間に2.6兆円の費用が投じられました。環境省の「除染情報サイト」。
事故直後は、いつになったら放射線量が低下し、人が戻ることができるのだろうかと思い、今日の日を想像できませんでした。なにより、膨大な数の避難者の生活をどうするかの方が、重要課題でしたから。
なお、記事では、東電社員の支援活動も取り上げられています。住民の留守宅の後片付けや草刈りなどです。これまでに延べ30万人が参加しています。案外知られていない活動です。東電のサイト。
また、社会面では、「除染後も消えぬ不安 避難8万人、帰還戸惑う住民も」を載せていました。
・・・原発事故から6年。飛散した放射性物質を除去するという前例のない除染事業が3月末でほぼ完了する。約2・6兆円を投じた一大事業となったが、放射線への住民の不安は残ったままだ。いまなお避難する約8万人の住民の帰還を促すテコにはなっていない・・・
政府としては、住民が帰還できるように、地域のにぎわいを取り戻せるように、除染、インフラ復旧、生活環境整備を進めています。
避難した住民の意向は、早く戻りたい、しばらく待つ、戻らない、分からない、と分かれています。それぞれにご事情があり、また考えがあります。それを尊重すべきです。
特に、帰還困難区域については、戻れないことを前提に、東京電力が、財物について全額を損害賠償し、故郷を失うことについての精神的賠償もしました。
住民のそれぞれの意向に沿った、条件整備をすることが、政府の責任です。