大統領予備選 ~その1~

2004年はアメリカ大統領選挙の年。共和党の大統領候補者はブッシュ現大統領で決まりですが、民主党は1月から各州で自らの大統領候補者選びの作業(予備選)を進めています(7月末に開催される民主党の全国大会で正式な大統領候補が決定されます。)。
民主党の大統領候補者選びには、プライマリー(予備選挙)とコーカス(党員集会)という2つの方法があります。
まずプライマリーですが、これは政党登録者による「選挙」であり、通常朝から夕方まで各州の投票所で投票が行われます(第一の段階としては郡よりも小さな地区レベルで行われます。)。
他方、「コーカス」は政党登録者による「集会」です。同集会については、①集会参加者が自分の支持する候補者ごとのグループに分かれる、②分かれたグループの人数に基づき、さらに上位の予備選へ各グループが派遣できる代議員数を決定する(各地区の予備選の後、各郡における予備選が行われ、最後に州の予備選が行われます)といった形で進められるということ以上の情報を持ち合わせていないのですが。
寒い冬の平日夕方(6時半ごろから)に党員が集会場に集まり、わいわいがやがやいいながら自分の党の大統領候補を決めていくというのはなかなかおもしろい制度じゃないかと思ったりします。
ちなみに、今年のアイオワ州(地区レベル)のコーカスへの参加者数は約122,000人。1992年の予備選では約30,000人、2000年の予備選では61,000人だったといわれていることから、今年の大統領選への興味は高いといえるのではないでしょうか。
1月19日のアイオワ州での予備選(地区レベルのコーカス)により開始された民主党の大統領候補者選びは、10以上の州で一斉に予備選が開催された3月2日の「スーパーチューズデー」の結果、ケリー上院議員が民主党の大統領候補者として指名を受けることが確実になり、ほぼ終結しました。
昨年末の段階における各種世論調査では三番手以降と目されていたケリー上院議員ですが、最初の予備選の地オハイオ州でトップとなったことにより「モーメンタム」をつけ、その後の予備選でも勝ちつづけました。
インターネットを駆使した選挙戦術(資金集めを含む)、イラク戦争反対、ブッシュ減税撤廃の主張等により昨年末の世論調査ではトップを走っていたディーン前バーモント州知事、労働組合に強い支持基盤を持ちディーン氏の一番のライバルと目されていたゲッパード下院議員は、早々と有力候補のリストから消えていきました。
米国では世論調査機関等が発達しており、選挙の事前予想が積極的に行われておりますが、まあどこの地でも選挙の予想というものは当てにならないということなのでしょう。
ケリー上院議員が民主党の大統領候補者に事実上決まったことに伴い、今年秋の大統領本選に係る世論調査(ケリー対ブッシュ)が盛んに行われるようになってきました。
米紙USAトゥデー、ギャラップ社などが2月に行った世論調査結果によると、ブッシュ大統領とケリー上院議員の間で現在大統領選が行われた場合、ケリー氏に投票すると答えた人が55%でブッシュ大統領の43%を12ポイント上回っており、AP通信が4日発表した世論調査結果によると、米大統領選でケリー上院議員がブッシュ大統領と争った場合、大統領の支持率が46%、ケリー氏は45%となっています。