5日の毎日新聞は、麻生福岡県知事・淺野宮城県知事・増田岩手県知事・石井岡山県知事の会談を載せていました。三位一体改革の行方について、骨太の方針2005や義務教育費国庫負担金などを議論しておられます。
「明治以来の強固な制度、ヒエラルヒーを変えるわけだから、相当なエネルギー、破壊力が必要です。いろいろなあつれきが短期間にはあるでしょうが、それを経験しないと次の価値創造ができない」
「分権は極めて高度な政治問題です。この国のかたちをどう変えるのか、日本の将来をどうするのか。前回衆院選挙でも、各党がプログラムを出した。きちんと実行しようとしているのか、そういうことを検証し、迫っていかないと」
「我々は誘惑され、捨てられたようなものです。ただ、昨年、小泉首相が『3兆円の税源移譲をやれ』と言ったのは、すごい決断だった。これをものにしないと、次の機会はいつになるか。つい最近まで『補助金増やせ』ばかりやっていたのが一変したのはすごいこと。当然のように起きた変化ではなく、どこかでガラッと変わったんです」
「それはやはり小泉首相の登場が大きい。ただ、これだけ期待値、期待感が高まって、もし裏切られたら、ものすごい怒りに変わりますよ」(7月5日)
6日の朝日新聞「私の視点」には、木村良樹和歌山県知事が「地方の裁量広がる税源移譲を」を書いておられました。和歌山県では、高校の奨学金が税源移譲されたことを受けて、貸与の条件を見直したこと。また、補助金申請のための上京旅費が500万円節減できたこと。などの実績を紹介した上で、奨励補助金廃止によって地方の実情にあった事業ができること、それで住民の満足度が高くなることなどを主張しておられます。
また、6日の朝日新聞や読売新聞は、地方6団体が、残る6,000億円の補助金廃止案として、約1兆円の削減リスト原案をまとめたと、伝えています。(7月6日)
「・・・『地方分権は大事だ。しかし、教育の方がもっと大事だ』昨年、国と地方の協議の中で、そのようなご発言が席上ありました。私は、これを聞いて、『ああ、地方分権もここまで来たか』と、正直感慨深いものがありました。それまで、地方分権が良いものとされたのは、日本の社会経済各分野と深刻にぶつかることがない、お題目に過ぎなかったからです。財源と権限がセットになって地方のものとなり、地域主権が初めて現実のものとなるかもしれない、そのときに我が国の社会経済がどのように変貌するのか、誰もが確信を持てないのでしょう。
地方分権も大事、教育も大事です。そして、この2つは、概念上も、実際上も、対立するものではないはずです。これからの地域主権の世の中で、どのように義務教育を責任をもって実施していくか、という視点から、前向きに将来のシステムを検討していくべきだと考えます。・・・」(7月11日)
9日の毎日新聞は連載「知事たちの闘い-地方分権は進んだか」第17回を載せていました。「国との協議の場-距離というハンディ」です。(7月11日)
13日から徳島市で、全国知事会議が始まりました。13日の産経新聞社説(主張)は、「全国知事会、数合わせの改革にするな」を書いていました。日本経済新聞は「どうする義務教育・インタビュー」(下)で、中山文科大臣と石井岡山県知事へのインタビューを載せていました。
また、日経は1面で「どうする義務教育」を連載していました。国庫負担金廃止議論が、マスコミに教育について関心を持たせることになり、国民に教育を考える機会を創ったというところでしょうか。どんどん、教育の中身や質について、議論をしてほしいです。そして、ようやく文科省も議論に入った、と思いたいです。記事では、少人数学級すら認なかった事例が生々しく書かれています。
国庫負担行政・上意下達行政の悪弊を、早くやめたいですね。もっとも、文科省だけでなく、この状態に安住している教育委員会と教員の意識改革も必要です。(7月13日)